ナタリー PowerPush - 関取花

“弾き語りの人”が歌う 自分の原点と今の気持ち

シンガーソングライター関取花が約1年半ぶりの新作「いざ行かん」を発表した。

3枚目のミニアルバムとなる今作で関取は、自身の原点だという「弾き語りの人」に回帰。自らの声とアコースティックギターを武器に、彼女一流の独創的ながらもスムーズなメロディと、リリカルながらも力強い言葉を聴かせる6曲をラインナップした。さらに関取は今作にラキタらとの共演などでも知られるドバ、野村卓史(グッドラックヘイワ etc…)、岡田拓郎(森は生きている)を招聘。名うてのプレイヤー陣とのセッションという新機軸も打ち出している。

2012年の2ndミニアルバム「中くらいの話」リリース以来、さまざまなフェスやイベントに出演してきた関取が、今シンプルな編成で歌う意味とは? 本人を直撃した。

取材・文 / 成松哲 撮影 / 高田梓

知らない人に会いに行きたかった

──関取さんにナタリーにご登場いただくのは前作「中くらいの話」をリリースした2012年11月以来(参照:関取花「中くらいの話」インタビュー)。2012年の秋からこの冬までってどんな1年半でした?

関取花

けっこう大きな変化があった気はします。フェスだったり、イベントだったり、全国津々浦々いろんなところでライブをやるようになりましたし。

──フェスやイベントに打って出ようと思ったきっかけは?

ちょうどオファーをいただくようになったからっていうのも理由の1つなんですけど、もう1つ「中くらいの話」を出したことで、やっと自己紹介できる状態になったというか。その前に出した「THE」ももちろん悪いアルバムではないし、19歳だから歌えることを歌えたつもりなんですけど「私がやっていることは何か」を紹介する盤ではなかったので。

──1stアルバム「THE」は「私は1人だ」「誰も助けてくれない」っていう「10代が抱える心の“えぐみ”」を出した作品なんだけど、その後ツアーを回ってみたら、大勢の人が観に来てくれて、実は1人じゃなかったことに気付いたって言ってましたもんね。

だから「中くらいの話」は「私の名前は関取花です」「私の好きな音楽はこれで、好きな世界観はこれです」って改めて皆さんに伝えるアルバムにしたくて。そして実際にそういうアルバムができあがったとき「これを持って私のことを知らない人たちに会いに行きたいな」「今まで行けなかったところに行ってみたいな」ってすごく思うようになったんです。

──実際「New Acoustic Camp」や「BEATRAM MUSIC FESTIVAL」のようなフェスに打って出て手応えや発見ってありました?

「New Acoustic Camp」では一番小さいステージに出たんですけど、そのステージから見える景色がすごく気持ちよかったので、私自身、すごく気持ちよく歌ってたらジワジワ人が集まってきてくれて。だんだん人が集まってきてくれたのは「BEATRAM」のときも同じだったんですけど、そういう経験をしたことで「気持ちを込めて歌えば聴いてもらえる」「大丈夫なんだ」って思えるようになったのは収穫でした。この1年半で「ちゃんと歌えばちゃんと伝わるんだなあ」みたいなことを本当に実感できた気がしています。

「私はこういう人ですよ」っていうアルバム

──今回のアルバム「いざ行かん」にはいわゆるバンド形式の曲が一切ない。どの曲もアコギ弾き語り主体の編成になっています。

関取花

私のレコーディングやライブに普段参加してくれてるバンドメンバーって、皆さん、自然に集まってきてくれた人たちなんです。まだ弾き語りだけでやってた頃に出会った人たちで、なんとなく「そういえば花ちゃん、バンド付けてやったりはしないの?」って言われて「おおっ!」ってなって組んだバンドで。だからもともと仲がよかった上に、この1年半、一緒に全国遠征しているうちにさらに距離は縮まったんですけど……。

──それはそれでいいことなのでは?

確かに皆さんと一緒だと安心できるんですけど、なんかだんだん自分が弾き語りの人じゃなくなっている気がしたんです。バンドと音を出すのを楽しんでいるうちに、逆に「もともと私は自分の言いたいことをバーっと歌に乗せて届けたい人だった」「もう1回1人で歌ってみないと『仲がいい人たちと楽しく音楽できればいいじゃん』ってことで話が終わっちゃう」「前に進めない」って不安になったというか。しかも全国遠征している中で、ちゃんと歌えばちゃんと伝わるっていう発見もあったから「じゃあいっそ少ない人数でやってみよう」ってことにしました。

──まさにアルバムタイトル「いざ行かん」的な心境だった?

そうですね。曲の内容的にも前回の一歩先を目指してますし。前回のアルバムは「私の好きな音楽や世界観はこれですよ」っていうことを提示するアルバムだったんですけど、それで伝わるのは関取花の好きな音楽や、関取花のやる音楽のことだけじゃないですか。今回はその先。関取花自身のこと、「私はこういう人ですよ」っていうことを明確にするアルバムを作りたかったんです。

関取花(せきとりはな)
関取花

1990年12月18日生まれの女性シンガーソングライター。幼少期をドイツで過ごし、日本に帰国した後の高校時代より軽音楽部で音楽活動を始める。2009年には「閃光ライオット2009」に出場し、審査員特別賞を受賞して大きな注目を集めた。2010年に初の音源となるミニアルバム「THE」をリリースし、全国ツアーを開催。その後約半年の活動休止を経て、再びライブ活動を本格化させる。2012年には神戸女子大学のテレビCMソングに採用された「むすめ」が話題を呼び、同11月には「むすめ」を含む全6曲収録のミニアルバム「中くらいの話」をリリースした。2013年には新曲「最後の青」が引き続き神戸女子大学のCMソングに採用される一方、ワンマンライブや対バンライブに加え「New Acoustic Camp」「BEATRAM MUSIC FESTIVAL」などのイベント、フェスでの演奏活動も積極的に展開。そして2014年2月、ドバ、野村卓史(グッドラックヘイワ etc…)、岡田拓郎(森は生きている)が参加した3rdミニアルバム「いざ行かん」を発表した。