Saucy Dog|アットホームさとバランスを武器に前進

改めて問いかける、Saucy Dogってどんなバンド?

──改めて読者やファンの方に、Saucy Dogがどんなバンドなのかということを伝えられればと思いまして、ご自身の言葉で説明いただけますか? 先程「リベンジエピソード」にはそれぞれ持ち味のあるバンドばかり出ていたというお話をしていましたが、ではSaucy Dogはどんな持ち味のあるアーティストなんでしょう。

せとゆいか(Dr, Cho)

せと ライブの空気感とかもそうですけど、アットホームなバンド、ですかね。自分たちでそういう雰囲気のバンドになろうと思ったわけではなくて、お客さんに言われて自覚したところで。「それが武器かもね」という話を3年くらい前の列伝ツアー(2018年に開催されたツアー「スペースシャワー列伝 JAPAN TOUR 2018」)のあとにしました。

石原 最初の頃のライブは悪い意味でアットホームだったというかさ、大学生みたいな感じがあったよね(笑)。

せと そうね。内輪ネタ満載な感じが(笑)。でもほかに同じ雰囲気のバンドがいるかと言われたら、もしかしたらあんまりおらんのかもなとあるとき気付いて。

秋澤 僕は、僕らがどんなアーティストだと感じるかは人それぞれかなと思っていて。The Beatlesだって昔はキャーキャー言われることが多くて、今でもアイドル的な存在だと思っているファンもいるだろうし。

石原 ……どのバンドも考えてるのかな。自分たちはどんなバンドなんだろう?って。俺たちも一時期めっちゃ考えたじゃん。俺たちに武器はあるのかって。

せと あるんじゃない? でないとブレちゃいそう。ライブの方向性とか。

石原 だよね。それこそTHE BAWDIESさんとかgo!go!vanillasさんとかはさ……。

せと 武器あるやんね。あとsumikaとかもね。

石原慎也(Vo, G)

石原 そうそう。自分たちも楽しむし、目の前の人も楽しませる感じじゃん。俺たちはどうだろうと考えたときに、そういう人たちのことを参考にするべきなのかなと。

──「リベンジエピソード」のMCでもそうおっしゃっていましたよね。

石原 はい。だからさっき挙げたバンドのようなハッピーさはけっこう意識していますね。

せと でもさ、Saucy Dogはその3バンドみたいに「エンタテインメント!」みたいな感じではないんよね。

石原 そうなんだよね。そこ!

せと ステージの上から楽しませるんじゃなくて、同じ場所でみんなと一緒に楽しむ感じというか。

石原 同じ土俵に立つみたいな感じだよね。うーん、クリープハイプとか自分たちのバンドのこと、どんなふうに考えてるのかな……。己の道を行くって感じだよね。

せと 確かに。クリープだったら尾崎(世界観)さんは尾崎さん、アジカン(ASIAN KUNG-FU GENERATION)だったらGotchさんはGotchさんの「僕はこういう人です」という感じがすごくあるよね。

石原 そうね。俺らもボーカルがコアにいて四肢があるような、誰か1人でも欠けたらダメなバンド。……そうか、そういうことか、俺らって。なるほどな。俺はバンドの右腕や左腕じゃないのかも。

せと 違うかもね。あと思い出したのが、友達に「Saucy Dogはこのメンバーじゃなかったら売れてない」と言ってもらえることが多くて。

秋澤 それは言われる。先輩にも言われたな。

──なぜこの3人だったから人気が出たのだと思いますか?

秋澤和貴(B)

秋澤 バランスですかね。この3人は、キャラもそうだし考え方も全然違うんですよ。でも自然に出てくるそれぞれのサウンド感はマッチしていて。そういうところが誰か1人欠けてもダメなところに通じているんじゃないかな、と楽器のスタッフさんが言っていました(笑)。

──それは秋澤さんもそう思います?

秋澤 そうですね。3人でやり始めたときから思っていました。絶対にいいものができると。大変なことは多いですけど、まだまだ3人で面白いこともできそうだし、楽しいですね。

石原 俺もこの2人を見つけて、誘って、入ってくれることが決まったときに「これは来たな!」と思いました。最強の武器を手に入れた感じというか。自分は歌う力とメロを作る力はあったけどほかの要素は持ってなかった。ベースも弾けないし、ドラムも叩けないし、リフもわからないし。秋澤は邦楽ロックには疎かったですけど、洋楽に特化しているという特殊能力を持っていて。

秋澤 特殊能力かな(笑)。

石原 で、ゆいかは逆に王道の邦楽ロックやポップスに特化している。そういう自分とは違う武器を持っている2人が入ってくれることが決まったときは「よっしゃ!」と思いましたね。

無駄なケンカが減った

──3人とも少し前と比べて関係性が変わったというか、雰囲気が柔らかくなったように感じるのですが、皆さんとしてはどうですか?

石原 前よりも平らになった感じがします。

せと 平ら(笑)。

石原 昔はどうしても「自分が自分が」と思っていたので。俺が引っ張っていきたかったというか。

せと それは言ってたな。

石原 ゆいかはゆいかでその時期にライブで「引っ張っていきたい」と言ってたし。引っ張り合いみたいになっていたんですよね(笑)。

せと そう思うと、今は無駄な喧嘩が減りましたね(笑)。

Saucy Dog

──それがパフォーマンスにも表れている気がします。それこそアットホームな感じが強まっていて。

せと コロナが大きかったかもね。たぶん各々気を付けていたからだと思うんですけど、コロナ禍になる前から無駄なケンカが少しずつ減っていって。1回目の緊急事態宣言が出て1カ月くらい会わない期間があったんですけど、それまではほぼ毎日会っていたので、そんなにストレスを感じることではなくてもピリッとした空気になってしまうことがあった。でも緊急事態宣言明けにスタジオに入った日、慎ちゃんがめちゃめちゃ楽しそうで。死ぬほどご機嫌やったよな?(笑)

石原 そやった?(笑)

秋澤 ひさしぶりに会ったクラスメイトみたいな反応してた。

──夏休み明けの学生のようですね(笑)。

秋澤 そうですそうです。すげえ楽しそうだった。

せと やばかったよな。ずっとニヤニヤしてた(笑)。

石原 ははは(笑)。

──では最後に。9月から12月にかけて全国ホールツアー「Saucy Dog ワンマンライブ 全国ドックラン!!“今度こそ、はじめてのホールツアー!”」が開催されますが、意気込みを聞かせてください。

石原 やっとですね。一度中止になって、改めて初めてのホールツアー。今も少しだけ不安はありますが、来てくれたら絶対に楽しませようと思っています。

秋澤 僕も楽しみです。Saucy Dogはホールが合うバンドだと思っていて。ホールならではの演出をしたり、普通のライブよりももっとアットホームな雰囲気にできたりしたらいいなと。

せと 「レイジーサンデー」の収録曲を多くやると思うんですけど、テンポがゆったりした曲が多いから、セトリを組むのが難しそうだなと思ってたんです。でも先ほど、コロナ禍で声が出せない分じっくり曲を聴いてもらえるんじゃないかという話を聞いて、確かにそうだなと思いました。しかもホールやからよりしっかり聴いてもらえそう。そう思ったら、不安が大きかったけど、楽しみになってきました!

Saucy Dog ワンマンライブ 全国ドックラン!!“今度こそ、はじめてのホールツアー!”
  • 2021年9月29日(水) 東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) OPEN 17:30 / START 18:30
  • 2021年9月30日(木) 東京都 LINE CUBE SHIBUYA(渋谷公会堂) OPEN 17:30 / START 18:30
  • 2021年10月6日(水) 大阪府 オリックス劇場 OPEN 18:00 / START 19:00
  • 2021年10月7日(木) 大阪府 オリックス劇場 OPEN 18:00 / START 19:00
  • 2021年10月9日(土) 愛知県 日本特殊陶業市民会館 フォレストホール OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2021年10月23日(土) 新潟県 新潟テルサ OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2021年10月26日(火) 北海道 カナモトホール(札幌市民ホール) OPEN 18:00 / START 19:00
  • 2021年11月20日(土) 香川県 サンポートホール高松 OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2021年11月22日(月) 福岡県 福岡市民会館 OPEN 18:00 / START 19:00
  • 2021年11月23日(火・祝) 広島県 JMSアステールプラザ 大ホール OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2021年11月28日(日) 宮城県 東京エレクトロンホール宮城 OPEN 17:00 / START 18:00
  • 2021年12月2日(木) 東京都 東京ガーデンシアター OPEN 18:00 / START 19:00
Saucy Dog(サウシードッグ)
Saucy Dog
石原慎也(Vo, G)、秋澤和貴(B)、せとゆいか(Dr, Cho)からなるスリーピースバンド。2013年11月に結成され、2016年8月より現在の体制で活動をスタートさせる。「MASH FIGHT!vol.5」でグランプリを受賞。2017年5月に初の全国流通作品となる1stミニアルバム「カントリーロード」をリリース。2019年4月に大阪・大阪城音楽堂、東京・日比谷野外大音楽堂でワンマンライブ「YAON de WAOOON」を行った。2021年2月には初の東京・日本武道館単独公演「Saucy Dog one man live『send for you』」を開催し成功に収めた。8月25日にこの公演の模様を収録したライブBlu-ray / DVD「『send for you』2021.2.5日本武道館」と5thミニアルバム「レイジーサンデー」を同時リリース。9月からは初のホールツアー「Saucy Dog ワンマンライブ 全国ドックラン!!“今度こそ、はじめてのホールツアー!”」の開催が控えている。