“思わせぶりをされた子”の話
──さらにもう1つの新曲「消去。」は、かなり攻めたアレンジです。
初めての感じのアレンジで、歌うのもすごく楽しかったです。
──曲を作っている段階から、こういうダンサブルなアレンジをイメージしていたんですか?
そうです。アレンジャーのPiconさんに「すごくカッコよくしてください!」ってお願いして。これは以前からあった曲なんですけど、いつかリリースしたいなと思いながらここまできて、ようやくアルバムで日の目を見た感じです。めちゃくちゃイメージ通りの仕上がりなので、早くライブで披露したいです!
──この曲の歌詞のテーマは?
これは“思わせぶりをされた子”の話で。いつもの歌詞だったら「私なんて……」とマイナス思考の主人公にすることが多いんですけど、今回はちょっと強気な主人公にしてみました。
──リズミカルでテンポがよいからか、歌詞がいつも以上に詰め込まれている印象があります。
でも、歌いやすいんですよ。心情的にも、今までは悲しい気持ちになって歌っていたけど、この曲は歌詞的には悲しいものの、アレンジも相まって力強く歌えるんです。ここまでカッコいいイメージに振り切った曲は今までなかったので、歌っていて本当に楽しかったですね。
──確かに、今まで感じたことのなかった声の張り具合が新鮮で、一点突破していくようなパワフルさも伝わります。終盤にこういう盛り上がる曲を用意して、ラストはしっとり締めくくる。そういえば、アルバムの“わたしの幸せな結婚盤”のみ「幸せな約束。」のアコースティックバージョンが追加収録されていますね。
オリジナルバージョンももちろん最高なんですけど、私はこっちのバージョンもお気に入りで、最近は毎日聴き返すほどなんです。
──アコースティックバージョンは音数がグッと減ったことで、歌詞がよりストレートに響きますね。
そうなんです。オリジナルバージョンの幸福感が強いアレンジよりも、このポジティブな歌がより染みるというか。幸せを噛み締めている感があるんですよね。
成長過程を感じて
──こうしてアルバムという形で、新曲やこれまでの楽曲をまとめて聴くことで、新たな気付きもあったんじゃないでしょうか。
タイアップのおかげもあるとは思いますけど、「自分ってこんなにいろんなタイプの曲が作れるんだ」ってことでしょうか。それによって、今まで知らなかった新しい自分を見つけられた、そういうアルバムになったかなと思います。
──それこそ、タイアップがなかったら……。
全部失恋ソングになっていたかも(笑)。
──そう考えると、いろんなテーマを与えてもらえることで、りりあ。さんの引き出しが増えている。視点を変えると、このアルバムはりりあ。さんの成長過程を示した1枚とも言えそうですね。
うれしい。そう感じてもらえるとありがたいです。あと、このアルバムにはたくさんのアレンジャーさんが参加されていて。アレンジによってこんなにも曲の印象が変わるんだって実感しましたし、逆に弾き語りが物足りなくなるぐらい、アレンジって大事なんだなと気付きました。
──ここまでの集大成であると同時に、新たな可能性も感じさせるアルバムを完成させた今、ここからどんなアーティストになっていきたいか、自分の中での理想像はありますか?
理想像かあ……ないかもしれないです。本当に何も考えずに生きているので(笑)。
──直感に従って生きているんでしょうか。
そうかもしれない。直感だけで動くことが多いですし。
──でも、それが今のところ正解を導き出していると。その作為のない感じはりりあ。さんの曲からしっかり伝わりますし、それが“りりあ。らしさ”なのかもしれませんね。
ありがとうございます。そういった計算ができないタイプですし、何より周りからお尻を叩かれないと曲を作れないタイプなので(笑)。きっとそこは変わらないんだろうなと思います。
海外ライブもしてみたい
──3月下旬には新たな全国ツアー「春歌の軌跡」がスタートします。今回は北海道や福岡も加わった、全国5都市を回ります。
今からすごく楽しみです! 北海道と福岡ですものね。おいしい食べもの、たくさん食べようかな(笑)。3月下旬の北海道って、まだ雪は残ってますかね?
──3月ならまだ残っているんじゃないでしょうか。
スノボして帰ろうかな(笑)。
──当然、ライブはこのアルバムの楽曲中心かと思いますが、バンドアレンジで披露されるとどんな感じになるんでしょうね。
まだリハーサルが始まってないからわからないけど、「ごめんね。」とかライブで歌ったらすごい空気になりそうですよね。歌うなら、ライブ終盤がいいなあ……きっとボロボロになって、次の曲が歌えなくなっちゃうので(笑)。
──観ているほうも、気持ちが落ちたままになりそうですし(笑)。
ですよね(笑)。前回のツアーで学んだこともいろいろ生かしたいと思っているので、楽しみにしていてください!
──初アルバムに新ツアーと、2025年は序盤からいい形でスタートが切れそうですが、りりあ。さんは今年どんなことに挑戦してみたいですか?
海外のファンの方も増えたので、アジアとか海外でライブをしてみたくて。あとは……毎年、幸せな曲を増やしていきたいって言ってるんですけど全然増えないので、ここまできたら失恋ソングをどんどん増やしていこうかなと(笑)。もう全部失恋ソングにしちゃおうぐらいの気持ちで、2025年もたくさん曲を作っていければなと思います。
──それこそまるまる1枚失恋ソングで構成された、コンセプチュアルなアルバムも聴いてみたい気がします。
いいですね。でも、聴き終わったときにどんな気分になるんでしょうね?(笑)
公演情報
りりあ。OneMan LiveTour2025「春歌の軌跡」
- 2025年3月20日(木・祝)北海道 PLANT
- 2025年3月27日(木)福岡県 INSA
- 2025年4月1日(火)東京都 渋谷CLUB QUATTRO
- 2025年4月4日(金)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
- 2025年4月13日(日)大阪府 BIGCAT
プロフィール
りりあ。
シンガーソングライター。2019年秋にTikTokやYouTubeで顔出しなしで弾き語りのカバー動画を投稿し始めると、エモーショナルな歌声と豊かな表現力が瞬く間に話題に。2020年5月に各配信サイトでリリースした初のオリジナル曲「浮気されたけどまだ好きって曲。」はLINE MUSICウイークリーランキング1位を獲得した。2022年5月公開のアニメーション映画「バブル」ではヒロイン・ウタの声優を務め、エンディングテーマ「じゃあね、またね。」も担当。2025年1月には、テレビアニメ「わたしの幸せな結婚」第1期のオープニング主題歌「貴方の側に。」、第2期のオープニング主題歌「幸せな約束。」、テレビアニメ「らんま1/2」のエンディングテーマ「あんたなんて。」、カンテレ・フジテレビ系ドラマ「あの子の子ども」のオープニング曲「ねえ、ちゃんと聞いてる?」などを収録したメジャー1stフルアルバム「軌跡」をリリースした。3月から4月にかけてワンマンツアー「春歌の軌跡」を行う。