ナタリー PowerPush - レキシ
4thアルバム「レシキ」掲げて「いざ武道館!」
レキシが通算4枚目となるアルバム「レシキ」をリリースした。今回のアルバムには阿部芙蓉美、いとうせいこう、怒髪天、二階堂和美、秦基博、ハナレグミ、持田香織(Every Little Thing)といった豪華な客演陣が参加。レキシが紡ぐ日本史の世界に華やかな彩りを加えている。
またレキシは8月20日(ハニワの日)に初の東京・日本武道館公演を行うことも決定。今回のインタビューではニューアルバムと来たるべき武道館ライブについて、レキシこと池田貴史に話を聞いた。
取材・文 / 大山卓也
悩んだ感を出したかった
──早くも4枚目のアルバムですね。今回のコンセプトは?
あの、4枚目ってけっこう迷うもんじゃないですか。
──確かにデビューから3枚は同じ路線で作って4枚目で次のステップに、みたいなケースは多いかもしれませんね。
そうそうそう。だからちょっとチャレンジして収拾付かなくなった感とか、なんかそういうのを出したいなって思ってたの。逆に言うと、そういう感じをどうやったら出せるんだろう?みたいなので悩んだ! 悩んだ感を出したかった(笑)。
──で、その結果は?
蓋を開けてみたら全然なんか……ポップだし、ちゃんとマニアックな要素も入ってるし、いい感じでバランス取れたなっていう(笑)。
──じゃあ4枚目だから何か新しいことを、とかそういうのは……。
いやいや、もうそんな余裕ないです(笑)。ガムシャラにやったらこうなったの。
──日本史について歌うというコンセプト自体は変わらないわけですし、4枚目はさすがにネタも切れるんじゃないかと思ってたんですが、全然大丈夫でしたね。
うん、しかもまだ20曲ぐらいストックあるしね。
──未発表曲が?
まあざっくりとしたタイトルと構想くらいは(笑)。
──例えばどんな曲があるんですか?
ええとね、このノートがレキシのネタ帳なんですけど。いいでしょこのノート。沖縄で買ったんです。曲作りで沖縄に行ったときにね。
──えっ、それって旅行じゃなくて?
いやいやいや(笑)、曲作りっていう名目でね、一応ギターも持ってったんですよ!
──で、収穫は?
結局「あー、作らなきゃなー」って2、3回思っただけっていう……(笑)。
──(笑)。沖縄で日本史的なインスパイアはあんまり受けなさそうですもんね。
でもほら、今回のアルバムには入らなかったけど(ネタ帳を見せながら)「刀狩の歌」とか。この「寺子屋ファンク」っていうのもちょっと響きいいでしょ? まだ全然曲になってないですけど。
──とりあえずタイトルだけ?
まあ単純に使ってない歴史ネタを並べてるだけっていう話もありますね(笑)。
遺跡に行ったらガイドさんを探せ
──曲のアイデアはどんなところから出てくるんですか?
それよく聞かれるんですけど、例えば遺跡に行って曲のアイデアが湧くかって言ったら、意外とそうでもなくて。
──ほう。
遺跡にはどっぷり歴史を堪能するために行くんです。曲のことは考えずに、地元のボランティアガイドさんに話を聞いて。基本的にボランティアガイドさんに聞かないと、遺跡は意味がないですからね。
──そういうもんなんですか。
そういうもんです! 遺跡に行ったらできるだけガイドさんを探して……現地のおじいちゃんおばあちゃんでもいいですよ。話を聞いたほうが断然面白い。むしろ俺はそれがないと意味ないと思う。
──レキシの楽曲制作は歴史ネタを決めるところから始まるんですか?
いや、トラックから作るときもありますよ。
──ほんとに?
詞も曲もトラックも全部バッて一緒にできるのが一番いいんですけど。一気にガッと集中して1時間ぐらいでデモができるのが理想で。なかなかやっぱ難しいですけどね。
- ニューアルバム「レシキ」 / 2014年6月4日発売 / 伽羅古録盤
- ニューアルバム「レシキ」
- CD+DVD / 3888円 / VIZL-677
- CD / 3132円 / VICL-64166
CD収録曲
- キャッチミー岡っ引きさん feat. もち政宗
- 年貢 for you feat. 旗本ひろし、足軽先生
- お犬様 feat. 尼ンダ
- RUN 飛脚 RUN
- salt & stone
- 僕の印籠知りませんか?
- 憲法セブンティーン feat. シャカッチ
- Takeda' feat. ニセレキシ
- ドゥ・ザ・キャッスル feat. 北のパイセン問屋
- アケチノキモチ feat. 阿部sorry大臣ちゃん
DVD収録内容
- バラエティ番組風ドキュメンタリー レキシ池ちゃんと東インド貿易会社マン、百休さんによる「ハニワどうでせう?」
- レコーディングドキュメンタリー
レキシ
1974年福井県生まれの池田貴史によるソロプロジェクト。池田は1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビューし、2004年からは100sのメンバーとしても活躍。その日本史マニアぶりを生かし、2007年にレキシとしての1stアルバム「レキシ」を発表した。レキシでは日本史の登場人物や史実をソウルフルなサウンドに乗せて歌う独自のスタイルで注目を集め、2011年3月に2ndアルバム「レキツ」、2012年12月に3rdアルバム「レキミ」をリリース。2014年6月に4thアルバム「レシキ」を発表した。同年8月には初の日本武道館公演を開催。