何年経っても色褪せないMV
Psycho le Cémuは結成時から、衣装のほか、MVに対する意識も高かった。初期の作品を観ても色褪せないのは、ただ奇抜な衣装を着ているだけではなく、しっかりとストーリーまで作り込んでいるからだ。MV監督を務めた面々も豪華で「愛の唄」「With」はEXILEやONE OK ROCK、久保田利伸のMVも手がけている石井貴英。「あきらめないDAYS」はMr.Children、三浦大知、ゆずを撮った近藤廣行など、有名どころが顔をそろえている。
DAISHI 僕らのMVを観て「この映像、古いわー」って思わないでしょ。ファンタジーって色褪せないんですよね。流行りの服を着てるMVなら「昔はこんな服装してたわ」って懐かしくなるんですけど、僕らは違うんです。だって、こんな衣装も映像の撮り方も時代と関係ないですもん。映画「ハリー・ポッター」を観て、古いとか思わないですよね。あれは完成された世界観だからなんです。
Lida MVは曲を伝えたいわけではなくて、バンドやメンバーの個性を出すためのツール。あくまで音楽はBGMなんです。だからこそアレだけ場面転換を多くしてる。ちゃんと最初から最後まで観てほしいから、早送りさせないような工夫を凝らしてます。
seek 「道の空」って曲があるんですけど、あの曲のMVは演奏シーンがまったくなくて。王子のYURAサマと騎士のDAISHIで、王女のAYAくんを取り合う物語なんです。なんでかわからないけど、最後はAYAくんの爺やであるLidaさんとDAISHIが旅へ出るって流れで終わるんですけど(笑)。僕は一切メンバーと絡みのシーンはなくて、要所要所に妖精役で登場するんです。で、「最終的にseekは何回出てきたでしょう?」ってクイズ的な使われ方をされる。やっぱりそういうのができるバンドなんだろうなって面白みを感じますね。
彼らにはMV撮影で忘れられない思い出があるという。場所はウルトラマンやゴジラでもおなじみの東宝スタジオ。そこでPsycho le Cémuは「激愛メリーゴーランド」の撮影を行った。seekが後ずさりをするシーンで段差のあるステージから落下してしまったが、そのハプニングを生かそうと洞穴へ落ちるシーンに差し替えたそうだ。ぜひ映像で確認していただきたい。
Psycho le Cémuにとってヴィジュアル系とは
常識を打ち破る斬新な衣装、ファンタジー色の強いMV、つい笑ってしまうような芝居を取り入れたライブ、それとは逆に現実味を帯びた歌詞。これこそが彼らの真髄であり、どれだけ革新的なことをやってきたバンドなのかがうかがえる。常にカウンターなアプローチをしてきた彼らだからこそ、ヴィジュアル系のどこに影響を受けたのか聞いてみた。
新作「Light and Shadow」
そんな彼らが5月9日におよそ12年ぶりとなるオリジナルフルアルバム「Light and Shadow」をリリースする。すでにYouTubeで公開されている「Revenger - 暗闇の復讐者 -」のMVは、これまでのポップなイメージとは真逆のダークでスタイリッシュな映像に度肝を抜かれる。SNSでは「一体、どこのメタルバンドかと思った」「こういう感じの曲もできるんだ」など驚きの声も上がった。
seek 今までとは全然違う路線なんですけど、その意外性こそが僕ららしさやと思ってます。僕らの曲でベースに続いて歌い出すってこと自体、普通じゃないので。だから「意外だった」と言われるのはうれしいです。
DAISHI サビに関してはどの曲においてもシングルカットできるくらいメロディアスだと思います。僕らは衣装やパフォーマンスだけに注目されがちやけど、改めてこのバンドはメロディに対する意識が高いバンドなんやなって。それにPsycho le Cémuって世界観はファンタジーなんですけど、歌ってる内容は意外と人生の活力になる曲が多い。僕自身、「REMEMBRANCE」は何かつらいことがあったときに心の中で歌うんですけど、そうすると気持ちが楽になるんですよね。僕らはファンタジックな存在に見えて、実はリアルなことを歌ってるんです。
──ビジュアルと楽曲に良い意味でギャップがありますよね。
DAISHI 僕らって本当は心の底に入るような歌詞が多くて。「どうやって生きていくのか」というリアリティさが色濃い楽曲が多いと思います。
seek バンドを始めて19年が経つんですけど、まだ叶えられていない夢があって。それは日本武道館でライブをすること。だからこそ、夢を追い続ける姿にファンの方も共感してくれているんだと思います。ファンタジーなはずなのに現実味もある、そんな不思議な見え方をしているのがPsycho le Cémuなのかなって。
現在全国ツアー「『TOUR 2018 Doppelganger』~ゲルニカ団 漆黒の48時間~ / ~PLC学園 最期の48時間~」を開催中の彼ら。5月12日までツアーは続くので、ぜひ一度その目で目撃してほしい。
- Psycho le Cemu「Light and Shadow」
- 2018年5月9日発売 / Warner Music Japan
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豪華盤
[CD+DVD+フォトブック+グッズ] 15000円
WPZL-31426~7 -
初回限定盤
[CD+DVD] 5000円
WPZL-31424~5 -
通常盤
[CD] 3000円
WPCL-12849
- CD収録曲
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- Revenger - 暗闇の復讐者 -
- 妄想グラフィティー
- STAR TRAIN
- JUNGLE×JUNGLE
- 哀しき獣
- 絶望のゲルニカ
- 命のファンファーレ
- SILENT SHADOW
- ファイティング!
- 大空を目指すあの花のように
- 豪華盤DVD収録内容
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- Psycho le Cému 15th Anniversary Live<TOKYO PARALLEL WORLD ~はじまりの奇跡~>完全版
- Psycho le Cému 渋谷公会堂 追加公演 「復活!理想郷旅行」(2002.5.11)秘蔵映像
- 「妄想グラフィティー」Music Video&Making Video
- 初回限定盤DVD収録内容
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- Music Video集(2015年の復活後の作品)
- 「Revenger - 暗闇の復讐者 -」Music Video&Making Video
- 「『TOUR 2018 Doppelganger』~ゲルニカ団 漆黒の48時間~ / ~PLC学園 最期の48時間~」
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- 2018年5月12日(土)
東京都 チームスマイル・豊洲PIT
第1部 ゲルニカ団 漆黒の48時間
OPEN 11:30 / START 12:30第2部 PLC学園 最期の48時間
OPEN 17:00 / START 18:00 - 2018年5月12日(土)
- Psycho le Cému(サイコルシェイム)
- DAISHI(Vo)、Lida(G)、seek(B)、AYA(Dance, G)、YURAサマ(Dance, Vo, Dr)からなるロックバンド。1999年に結成。2002年にシングル「愛の唄」でメジャーデビューを果たし、奇抜な衣装を身にまとったコスプレバンドというスタイルとジャンルにとらわれない自由な音楽性で人気を博す。2006年に無期限の活動休止に突入し、メンバーそれぞれがほかのバンドで活動。結成10周年にあたる2009年に期間限定で活動を再開し、同年再び休止に入る。2014年10月には結成15周年を機に再始動し、2015年2月に5年ぶりのライブを開催。さらに9月に約10年ぶりのシングル「あきらめないDAYS」をリリースした。2016年7月には再録曲を含むアルバム「NOW AND THEN ~THE WORLD~」を発表。2017年4月にはニューシングル「STAR TRAIN」をリリースした。2018年3月より全国ツアー「TOUR 2018 Doppelganger」を開催。5月9日に新曲だけで構成したニューアルバム「Light and Shadow」を発表した。
DAISHI 僕は確実な個性とセンセーショナルさに衝撃を受けました。X JAPANさん、LUNA SEAさん、BUCK-TICKさんを観たときって、まだヴィジュアル系って言葉もなかったんですけど、とにかく衝撃的やったんです。この世のものじゃない世界に触れたというか。男の人がメイクして、エナメルのパンツを履いて、首にヘビとか巻いてるし、「なんだコレ!?」って。そこから追求していくとヴィジュアル系から影響を受けた部分って「こんなのやったら楽しいやろ」というエンタテイメント性なんです。例えば僕らが雑誌の表紙に全裸で載ったとするじゃないですか。そのインパクトにも勝てるような衣装を毎回作りたいなと思いますね。全裸って人の注目を集めるうえで一番簡単な方法なんですよ。だからアレに負けちゃダメなんです。もっとアーティスティックに、僕らがBUCK-TICKさんを観たときのような衝撃を与えたい。それがバンドの目指す道です。