音楽ナタリー Power Push - Psycho le Cému
奇抜コスプレバンドが歩んだ15年の“あきらめないDAYS”
今のこのタイミングでしか出せない曲「あきらめないDAYS」
──今回、3794日ぶりのニューシングルとしてリリースされる新曲「あきらめないDAYS」はどのように制作されていったのでしょうか?
seek 15周年としてまずはライブをやりましょうということが決まったんですけど、その中で「せっかく5人が集まったんやったら新曲作ろうよ」ってDAISHIが言い始めて。
Lida 再始動ってなったときに何かアイテムがあったほうが、僕らもそうですし、お客さんとしてもいいんじゃないかなって。
DAISHI うん。あとは、せっかく新しい衣装を作るんだったら、Psycho le Cému としてはやっぱりMVも撮りたいなって思ったんですよね。
seek で、そこからそれぞれが曲を作って持ち寄った感じですね。ひさびさにPsycho le Cémuの曲を作るのは難しかったですけど。
──どんなところが難しかったですか?
seek やっぱり過去に作った作品がハードルとしてあるので、それを越えなきゃっていう気持ちが強かったんですよ。あとは今どんな楽曲を作るべきなのかっていうこともすごく考えましたし。とは言え、面白い作業でしたけどね。みんながどんな曲を作ってくるのかが楽しみでしたし。
──「あきらめないDAYS」はLidaさんが作詞作曲を手がけた楽曲です。これがシングル曲になった決め手は?
seek けっこうすんなり決まったよね?
Lida うん。今のこのタイミングでしか出せない曲かな、と思えたのが一番の決め手ですかね。歌詞的に、現状のリアルなPsycho le Cémuの気持ちを自然と書くことができたので。曲調に関しては当時のPsycho le Cému感と、今どきの世間に受け入れられるような音楽性を踏まえて作っていきました。
──気持ちが鼓舞されてワクワクしてきますよね。新たな始まりにふさわしい雰囲気。
Lida “あきらめないで”って言うてますからね、歌詞で。
DAISHI タイトルはダジャレですけどね(笑)。最初の仮タイトルは英語だったんですけど、「カッコつけすぎなんちゃうん?」ってことになり。
seek さっきの衣装の話じゃないですけど、絶妙なダサさをどう盛り込むかっていう。
Lida で、僕がポロッと言った「あきらめないDAYS」に決まって。そこから歌詞の“あきらめないで”のところを“あきらめないDAYS”に変えたりしましたね。
DAISHI もう歌録りは終わってたんで、そこだけもう1回歌い直したっていう(笑)。
──Psycho le Cémuとしてはレコーディングも約10年ぶりだったわけですよね? そこでもスキルアップを実感する瞬間があったんじゃないですか?
seek そうですね。DAISHIさんに「seek、ベースうまなったな!」って言われましたね。
DAISHI プロデューサーの岡野(ハジメ)さんにも「みんなうまくなったな」って言ってもらえて。「パッと言ってもパッとやってくれるな」って。昔は岡野さんに言われたことがすぐできなくて、「1週間ください!」みたいなノリだったから。
ずっとイチャイチャしてますよ
──そしてカップリングにはseekさん作詞作曲の「VIOLETTA~ヴァイオレッタ~」という曲も収録されています。
seek Psycho le Cémuが結成した当初の90年代後半のヴィジュアル系っぽい曲を今やったらおもろいんちゃうかなっていう発想からできた曲ですね。当時のヴィジュアル系ってシンコペーションの曲が多かったんですけど、最近あんまり聴かないなと思ったので、ここでは思いっきりシンコペーションしたろ!っていう(笑)。
Lida 歌詞も含め、「あきらめないDAYS」とは違う色を見せられたのがよかったと思いますね。
──この曲は西寺郷太(NONA REEVES)さんがサウンドプロデュースを手がけていますね。なかなか面白い組み合わせだなあと。
DAISHI うん、西寺さんとやることを含め、Psycho le Cémuとして新しいことができた気がしますね。ボーカリストでもあるプロデューサーとやるのは初めてだったので、すごく面白かったです。
seek 岡野さんとは以前にもご一緒したことがあったんですけど、西寺さんとは初めてですからね。Psycho le Cémuというバンドに対して、初顔合わせだからこその気付きがきっとあったと思うんですよ。そういう部分も含めてパッケージできたんじゃないかなと思います。現場の雰囲気もすごく明るくしてくれたので、ほんとに楽しかったです。
──Psycho le Cémuのレコーディングは楽しそうですよね。メンバー同士、すごく仲がいいし。
DAISHI ピリピリすることはないもんね。
Lida ずっとイチャイチャしてますよ。
DAISHI 特にAYAくんとリーダー(Lida)がね。
seek ヤバいですよ。「この年齢で、その距離でじゃれ合う?」っていう(笑)。
Lida 密着してますからね、体が。
DAISHI で、会話は小2っていう(笑)。
10月のライブでは先につなげるパフォーマンスを
──本作のリリース後、10月には「Psycho le Cému TOKYO MYSTERY WORLD ~名探偵Dと4人の怪盗たち~」と題した2本のライブが開催されます。またもPsycho le Cémuらしいエンタテインメントが繰り広げられそうですね。
DAISHI はい。昔から探偵モノというコンセプトをやりたいなって気持ちがあったんですよ。ミステリーなのでライブ中のお芝居がなかなか大変そうではありますけど、必死に作り込んでいる最中なので楽しみにしていてほしいですね。
──2DAYSですけど、内容はそれぞれ違うんですよね?
DAISHI そうなんですよ。だからなおさら大変で。まさに“あきらめないDAYS”な日々を過ごしてます(笑)。
──10年ぶりのシングルが出て、ライブも決定している状況ですが、気になるのはバンドの今後の展望です。Psycho le Cémuはここからどうなっていくんでしょう?
seek 2月にやったライブは単純に「懐かしいな」っていう感覚で遊びに来てくれた方が多かったと思うんですけど、ここからはバンドとしての本質が問われていくことになるはずで。そこをしっかり見せていくことができなければPsycho le Cémuの未来はないんじゃないかなと。なので、10月のライブではしっかりと先につなげるパフォーマンスをしたいなと思ってます。その上でまた新曲もどんどん作っていきたいなと。
DAISHI 新しいリスナーさんにもどんどんアピールしていきたいですよね。「ダサッ!」「気持ち悪っ!」みたいな感じでもいいんで、僕らに引っかかってもらえたら。その上でライブを観てもらえればまた印象が変わってハマってくださる方もいるでしょうし。そういった出会いを楽しみに、ここから活動していきたいと思っています。とりあえず新しい衣装もけっこうなことになってるんで、楽しんでください(笑)。
- ニューシングル「あきらめないDAYS」 / 2015年9月16日発売 / Warner Music Japan
- 初回限定盤A [CD+DVD] 1944円 / WPZL-31077~8
- 初回限定盤B [CD2枚組] 2700円 / WPCL-12227~8
- 通常盤 [CD] 1296円 / WPCL-12226
CD収録曲
- あきらめないDAYS
(作詞・作曲:Lida / 編曲:Psycho le Cému&岡野ハジメ / プロデュース:岡野ハジメ) - VIOLETTA~ヴァイオレッタ~
(作詞・作曲:seek / 編曲:Psycho le Cému&奥田健介 / プロデュース:西寺郷太) - あきらめないDAYS(インストゥルメンタル)
- VIOLETTA~ヴァイオレッタ~(インストゥルメンタル)
初回限定盤A DVD収録内容
- あきらめないDAYS(Music Video)
初回限定盤B CD収録曲
- 激愛メリーゴーランド(ライヴ・ヴァージョン)
- 愛の唄(ライヴ・ヴァージョン)
- クロノス(ライヴ・ヴァージョン)
- 春夏秋冬(ライヴ・ヴァージョン)
- 道の空(ライヴ・ヴァージョン)
※2015年2月11日豊洲PIT公演のライブ音源
Psycho le Cému TOKYO MYSTERY WORLD ~名探偵Dと4人の怪盗たち~
- FILE 1 夜空に舞う怪盗
- 2015年10月2日(金)東京都 ステラボール
- FILE 2 盗まれたクロノス
- 2015年10月3日(土)東京都 豊洲PIT
Psycho le Cému(サイコ・ル・シェイム)
DAISHI(Vo)、Lida(G)、seek(B)、AYA(Dance, G)、YURAサマ(Dance, Vo, Dr)からなるロックバンド。1999年に結成。2002年にシングル「愛の唄」でメジャーデビューを果たし、奇抜な衣装を身にまとったコスプレバンドというスタイルとジャンルにとらわれない自由な音楽性で人気を博す。2006年に無期限の活動休止に突入し、メンバーそれぞれがほかのバンドで活動。結成10周年にあたる2009年に期間限定で活動を再開し、同年再び休止に入る。2014年10月には結成15周年を機に再始動し、2015年2月に5年ぶりのライブを開催。さらに9月に約10年ぶりのシングル「あきらめないDAYS」をリリースする。