PRIZMAX|2曲に詰め込んだ7人の集大成 初めて気付いた“自分らしさ”

PRIZMAXが12月18日にニューシングル「愛をクダサイ / Beginning」をリリースした。

メンバー7人体制となって初のシングルとなる今作には、森崎ウィン、ケビン、森英寿の3人が柔らかく歌い上げるミドルバラード「愛をクダサイ」と、パワフルなダンスナンバー「Beginning」という、大きく色の異なる2曲がパッケージされた。

音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューし、この2曲に感じたそれぞれの思いについて聞いた。また、このシングルは2019年いっぱいでグループを離れる福本有希にとって最後のリリース作品となる。別れを前に、有希とメンバーが抱いている今の感情とは。

取材・文 / 三橋あずみ 撮影 / 曽我美芽

それぞれの解釈、思い

──今回のシングルは両A面でのリリースです。1曲目の「愛をクダサイ」はサビの「愛をクダサイ」というフレーズの意味など、さまざまな受け取り方ができる歌詞の曲だなと感じたのですが、皆さんはこの歌詞を見てどのような感想を持ちましたか?

ケビン

ケビン 僕は夏の青春の曲だなと思ったんです。でも、この間ラジオで曲を解禁したら「冬の曲だね」という感想があって。本当に受け取り方によって180°印象が変わる曲なんだなと。それほど余白があって、それぞれの感受性に響く曲なんですよね。

清水大樹 ちなみに俺は冬派。

森英寿 俺は秋のイメージかも。メロディラインかな。

森崎ウィン この曲さ、イントロが少し「secret base ~君がくれたもの~」を彷彿とさせるんですよね。だからケビンはそこで夏っぽさを感じたのかも。

ケビン そうか。とにかく僕は恋というよりは友情の描写が浮かんできました。

小川史記

小川史記 俺も青春を感じた。

島田翼 自分は私事になってしまうんですが、先日大切な家族……おじいちゃんを亡くしまして。そのタイミングでこの曲のデモが上がってきたので、重ねちゃいましたね。亡くなるまでのしばらくの間は高知からこっちに来ていたからよく会っていたんです。寂しいというよりは満足できる別れ方ができたから、曲を聴くと改めて「あの時間、楽しかったな」と思えて。うん。そんな感じかな。

大樹 僕が思ったのは、この曲はホリック(PRIZMAXファンの呼称)に対しての感謝の歌というか。今のタイミングが自分の中でホリックとの向き合い方を改めて考える期間だったからかもしれないんですけどね。切ない受け取り方をすることもできるだろうし、メンバーのことを思うような受け止め方もできると思う。細かな感覚はそれぞれだと思うんですけど、僕らPRIZMAXとホリックの関係性の曲かな、とは思いました。

「愛をクダサイ」は心の叫び

──有希さんはどうですか?

福本有希

福本有希 そうですね……何かが終わって始まるような。今までいた場所から別の場所へ、新たなスタートを切るという意味の曲でもあるのかなと思います。「愛をクダサイ」という言葉が、これからの人生をどうか照らしてくださいと神様に言っている言葉のように感じたんですよね。「交わる時間の中で 迷うこともあったけど これから向かう場所が 見えた気がしたんだ」というフレーズを受けての「愛をクダサイ」だから。卒業ソングというわけではないんですけどね。

──この作品がラストシングルになる有希さんにとっては、自分の境遇と重なるところもあったりするのでしょうか。

有希 そうですね。このPRIZMAXというグループにいたことで新たに見えた道というのが僕にはあって。実際にその道を進むという決断を下した今、温かく見守ってほしいじゃないですけど、「愛をクダサイ」……なかなか使わない言葉ですけどね、僕の気持ちの1つの表現方法として、このフレーズもあるのかなと思いました。あと、最後のラップパート。大樹がどういう思いで書いたかはわからないけど、「ありがとう 君がNo.1」というリリックは、自分に対して言ってる言葉なのかなと感じて。

島田翼

 鏡に映る自分に言ってる言葉だと。

有希 うん。そうやって受け止めましたね。

ウィン 今この時期にこの楽曲を出すということに関して、僕らが求めていた曲が来たのかなという思いはありますね。楽曲の解釈については、今のリアルな僕を投影した受け止め方で言うなら、どこか悲痛な叫びのように感じました。やるべきことはわかっているし、自分が進んでいくことでいろんなことが進んでいく。けれど、決意したにも関わらずどこかで我慢していたり叫びたい気持ちがあって、それが「愛をクダサイ」というひと言に現れている気がするんです。だから僕にとっては、このタイミングで出すこの「愛をクダサイ」は、心の叫びなのかなって。そう思いました。

──本当に皆さんそれぞれに受け止め方が違っているんですね。ちなみに大樹さん、先ほど有希さんが言っていたラップパートは、どういったイメージで書き上げたんでしょう。

清水大樹

大樹 もともとの曲の世界観に加えて、制作のときにスタッフに言われたもう1つのテーマが、心のない人がいろんな人に接していくうちに感情が吹き込まれていくストーリーを描きたいというものだったんです。なのでそんなイメージを考えつつ、自分の中ではホリックに対しての思いもそうだし、有希の脱退のタイミングだったということもそうだし、いろんなことが重なった中で書いたものなので、いろんな要素が重なっていると思います。ただ、僕の中では人との出会いで感情が彩られたり、新しい感情が生まれたりする場所というのは、やっぱりステージだけなんです。ステージから見る客席の景色が自分に充実感を与えてくれるので……そういった思いを込めて書かせてもらいました。