AUN J CLASSIC ORCHESTRA「響(ひびき)~THE SOUNDS OF JAPAN」 PR

AUN J CLASSIC ORCHESTRA×森崎ウィン(PRIZMAX)×H ZETT M(H ZETTRIO)|10組のアーティストと作り上げた故郷に響く音

AUN J CLASSIC ORCHESTRAのコラボレーションアルバム「響(ひびき)~THE SOUNDS OF JAPAN」が6月12日にリリースされた。

「響(ひびき)~THE SOUNDS OF JAPAN」は結成11年目のAUN Jが制作した11枚目のアルバム。大黒摩季、森崎ウィン(PRIZMAX)、鈴木瑛美子、H ZETT M(H ZETTRIO)、タケカワユキヒデ(ゴダイゴ)、石井竜也(米米CLUB)、上間綾乃、レ・フレール、石丸幹二、渡辺美里という豪華アーティスト10組とのコラボが実現し、「和楽器の音は故郷に響く」をコンセプトとした全10曲が収められている。

音楽ナタリーでは、AUN Jより井上良平、井上公平、ゲストアーティストより森崎、H ZETT Mを招いたインタビューを企画。コラボに至った経緯や森崎とH ZETT Mが考える和楽器の魅力、「音楽に、国境はないが国籍はある」をテーマに活動を続けるAUN Jの今後について、じっくりと話を聞いた。

取材・文 / 渡辺裕也 撮影 / 堀内彩香

尾てい骨のあたりにズシン

──10組のゲストミュージシャンを迎えた、とにかく豪華なコラボレーションアルバムになりました。特に歌モノの多さが今作の大きなトピックですね。

左から井上良平(AUN J CLASSIC ORCHESTRA)、森崎ウィン(PRIZMAX)、H ZETT M(H ZETTRIO)、井上公平(AUN J CLASSIC ORCHESTRA)。

井上公平 僕らはこれまでにインストのアルバムを10枚以上作ってきたんですけど、こうして活動11年目に突入するとなったタイミングで、また何か今までとは違うことをやりたいなと思いまして。

井上良平 ボーカル入りの作品は以前にもクレモンティーヌさんと一緒に作ったことがあるんですけど(2015年10月発売「JAPON」)、今回はそれとまた違った切り口で、さらにインパクトのあるものにしたかったんです。そして僕が和楽器奏者としてずっと思っていたのが、「響」という漢字をテーマに作品を作りたいなということ。「郷」に「音」と書いて「響」。和楽器の音は故郷に響くんだってこと、これが日本人の誇れる和楽器の音色なんだってことが伝わるような、そんな作品にしたかった。今回それを10組のアーティストの方々の協力でついに実現することができたんです。

──ゲストとして参加された10組のアーティストは、どのようにして選ばれたのでしょうか?

公平 参加していただいた方々は全員が何かしらの形で僕らと関係があるんです。つまり、今回はこの10年間に僕らと接してきたミュージシャンにお声がけさせていただいたんですよ。

──そうだったんですね。では、森崎ウィンさんとはどのようなつながりがあったのでしょうか。

公平 あるときにうちのメンバーがミャンマーにイベントで呼ばれて、そこでウィンくんと一緒になったのが始まりだよね?

森崎ウィン(PRIZMAX) はい。そのときは日本とミャンマーとの文化交流のイベントで、和楽器の演奏をステージ袖から観てたのをよく覚えています。でも、まさかそのあとこうしてAUN Jさんのアルバムに参加させてもらえるとは思いもしませんでしたね。

──和楽器奏者によるグループと一緒に音楽を作るというのは、森崎さんにとってどんな体験でしたか?

森崎 まさに未知でした(笑)。中学2年のときに文化祭で箏の演奏をしたことがあって、僕にとってはたぶんそれが初めて聴いた箏の音だったと思うんですけど、それ以降は生で和楽器の演奏を聴く機会はなかなかなくて。そもそも和楽器の種類すら僕はほとんど知らなかったので、その演奏に乗せて歌うということがなかなか想像できなかったんです。だからこそ、本当に刺激的な時間でしたし、こうして自分が今住んでいる国の楽器に触れることができたのは、とても貴重な体験でしたね。

──実際に演奏を共にしてみて、和楽器への印象はどう変わりましたか?

森崎ウィン(PRIZMAX)

森崎 まず思ったのは「和楽器というものに対して、自分は勝手に距離を感じていただけだったんだな」ということですね。実際に演奏を聴いてみると、その音に身体が自然と反応していたし、なんとなく懐かしさもあって、本当に壁がないというか。あと、とにかく圧がすごいんですよ。僕の真後ろで和太鼓が鳴るたびに、尾てい骨のあたりにズシンとくるんですよね。僕は普段、ダンスボーカルユニットとしてイヤモニをつけてオケを聴きながら歌ってるんですけど、やっぱりその場で鳴らしている音を身体で感じながら歌うのは全然違いました。

公平 ウィンくんが歌ってくれた「Don't Cry」のイントロで鳴っている鐘の音は、ミャンマーの民族楽器なんですよ。

良平 そうそう。あの楽器は実際にミャンマーで買ったんだよね。

──「Don't Cry」は森崎さんが作詞も手がけられていて。

公平 そうなんです。もともとこの曲はある程度のメロディラインが決まっていたんですけど、ウィンくんの歌詞が入ったことによって、サビのメロディにいい変化が起きましたね。何よりも彼は声が素晴らしいので、曲調もバラード調に少し修正させてもらったり。

森崎 作詞するにあたって、AUN Jの皆さんから与えていただいたテーマは「アジア」だったんです。でも、正直そのテーマが僕にとってはすごく難しくて、最初は全然書けなかったんです。他の人が作ってくれた曲に歌詞をつけるという作業も初めてだったので、勝手にプレッシャーも感じましたし「これは困ったぞ」と。そんなときに仕事で来ていたミャンマーのホテルで、カカオ農園で働く男の子のドキュメンタリーをYouTubeで観ていたときに、ふと思ったんです。「この男の子に向けて歌詞を書こう」って。そこでようやく書けたのが「Don't Cry」だったんです。

──今アジアで働く1人の若者に向けて書いたのが「Don't Cry」だと。

森崎 ええ。これもアジアという大きなテーマを投げてもらえたからこそ、たどり着けた歌詞だと思ってます。

太鼓だけが鳴っている衝撃

──では、H ZETT Mさんとはどういったつながりでコラボが実現したのでしょうか?

公平 あれはもう9年前だったかな? 一緒に東京と大阪をツアーしたことがあるんですよ。そのときに何回かリハーサルしたうえで、本番も一緒にやったんですけど、これがもう、すごく楽しかったんですよ。

良平 僕らも鼻に色つけさせてもらってね(笑)。

公平 ピアノと和楽器のグループっていう、今思うとかなり新しい組み合わせでね。あまりにも最先端すぎたのか、お客さんはちょっと引いてましたけど(笑)。僕らとしてはそのときの手応えもすごく大きかったので、これはぜひ今回のアルバムでもお声がけさせていただこうと思ってました。

──これまでに数多くのミュージシャンと共演されてきたH ZETT Mさんにとって、AUN Jとのコラボはどんな体験でしたか?

H ZETT M(H ZETTRIO)

H ZETT M(H ZETTRIO) やはり和楽器というのは非常に魅力的ですよね。僕は西洋のオクターブをしっかり割った音階に従ってずっと音楽をやってきたので、それとはまったく別の響きを持つ和楽器への憧れはずっとありましたし、こうしてまたお声がけしてもらえたのは本当にうれしかった。それに9年前と今では私の方向性もまたちょっと違いますからね。当時の私は叫んだりしてましたけど、今はあのときよりも大人になったので(笑)。

公平 やはり彼はものすごいテクニックを持つピアニストですから、ここはぜひ技巧的な曲でいきたいなと思って、僕らからは変拍子の曲を用意させてもらいました。そこに彼のピアノが入ってきたことでいろんな色が見えて、そのイメージから「Geometric Life」というタイトルを思いついたんです。

H ZETT M 最初に送られてきた音源を聴いたときは、もう衝撃的でしたよ。だって、最初から最後までひたすら太鼓だけが鳴っているんですからね。そういう曲を渡されたことは今まで一度もなかったので、これはいったいどうすればいいんだと(笑)。「西洋的に拍子を当てはめていくと、恐らくこういうことなんだろうな」みたいな感じで勝手に解釈させてもらったんですけど、とにかく最初はあまりにもアブストラクトすぎたというか。

公平 それにH ZETT Mさんがアジアを感じさせてくれるメロディを乗せてくれたんです。最初にそれを聴いたときはもう、ぶっ飛びましたよ。

──なるほど。曲を作るときの発想が全然違うんですね。

H ZETT M 拍子って意識されるんですか?

公平 いや、だいたい流れで行く感じですね。基本的に僕らの場合は口唱歌ですから。「ドンドコドン!」とか、「スットコドットン!」みたいに口で伝えられてきたのが和楽器の音楽なので。

良平 今でこそ譜面で音楽を作るようになりましたけどね。

公平 その譜面を使うようになったのも、実はここ30年くらいなんですよ。しかも、その譜面は楽器によって全然違うんです。例えば箏の演奏者は尺八の譜面を読めないし、逆に尺八を演奏する人はほかの和楽器の譜面が読めない。要は1つひとつがソロ楽器として成り立っているから、それらの楽器が一緒にバンドをやるってこと自体が、そもそもありえないことだったんです。

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10年越しの思いが実現