ナタリー PowerPush - POLYSICS
バンド感全開の14曲 最新アルバム「Weeeeeeeeee!!!」
ガツガツ行くハヤシ、客観的に見るヤノ
──ヤノくんは今作全体についてどうですか。
ヤノ(Dr, Vo) 今回は選曲とか曲順で、自分が意見を言うことが多かった気がします。アレンジ面でも。楽曲面でも自分が入っていく割合を増やしたいなと思ってたので。それはいつも考えてたことですけど。
──自分が積極的に意見を言うことで、ポリの何が変わってきたと思いますか? あるいは、ポリのどこを変えたいと思います?
ヤノ 変えたいとは思わないですね。俺ここにいますよ的な。
──自己主張?
ヤノ 自己主張じゃないですけど、ただ単純に意見を言っていこうと。
──ヤノくんが意見を言うことで、どういう部分がポリに付け加えられたと思いますか。
ヤノ ……いや、あの、(小声で)大してないと思います。
一同 (笑)。
ハヤシ ヤノはそう言うけど、俺と違う視点ではあるよね。自分は結構、ガツガツガツガツいくタイプだから。ヤノは逆にそれを客観的に見て、自分と違う意見を出してくるのが新鮮だと思います。例えば、曲順だとわかりやすいんだけど、俺だと前半に激しい曲を詰め込みたいタイプなのね。なんとなくわかるじゃん?(笑) 最初が良ければいいじゃん、みたいな感覚なの。勢いで行きたいから。でもさっきも話に出たように、曲順が何パターンも出て悩んだときに、ヤノが作ったプレイリストを見ると4曲目に「Steam Pack」が入ってくるわけ。この曲を前半に入れるイメージはなかったんだけど、ヤノはBPMの流れを細かく考えたプレイリストを持ってくるんだよね。俺にはその発想はないの。で、「Steam Pack」っていうのはシーケンスを一切使ってない曲なんですよ。音数も少なくて、これが4曲目に入ることで、それまでのハードな3曲が続いた流れを一旦中和して、耳がリフレッシュされるような効果があるわけ。それは俺には全くない発想だったからさ。そうすることで、前半の流れがビシッと決まったの。
──なるほど、押しまくるだけだったのが、ヤノくんのアイデアによって、緩急のついた起伏のある流れになったと。
ハヤシ そうそう。そういう、俺にはない考え方をするから。
前に出ていくことで気付けたことが多い
──演奏面では何を考えましたか。
ヤノ いつもと同じですけど、シーケンスとうまく噛み合わせて、シーケンスがうまく活きるように、でもドラムも生の感じを出せるように。
──こないだのナタリーの「Everybody Say No」インタビューでも、シーケンスと合わせる難しさを語ってましたね。
ヤノ シーケンスがなくなることはないと思うので、それはずっと自分にとってテーマですね。でも今回はライブ感というか勢いがあった気はします、いつもより。だから俺は結構好きです。なんかこう……バンドに対して、自分ももうちょっとガツガツいかなきゃって、前よりもあった気がしますね。
──ドラムって普通ライブでは1カ所にいて動かないけど、ヤノくんは最近はよく前に出てきてますよね。
ヤノ あ……出てきてますか?
──出てきてますよ(笑)。
ヤノ 出てますね(笑)。まあ幅は広いほうがいいと思って。いろいろやってみたいんです。
──それもバンドに対してのアグレッシブな姿勢の表れですね。そのあたりは今回の初回限定盤のドキュメンタリーDVDにもたっぷり出てきますが、フロントに出てきてギター弾いたり、いろいろやるというのはどんな気持ちですか?
ヤノ 気持ちいいです! あと、そうすることでいろいろ気付けたことがあって。演奏する上でみんなドラムに対して何を要求するのかなって。
──何が要求されるんですか?
ヤノ やっぱりリズムが安定してることですね。
──それは、ドラマーとしては当たり前すぎる気がしますけど(笑)。
ヤノ いや、それってわかんないものなんですよ演奏してると。
フミ ドラムってちょっとわからないかも。
ヤノ そう。あと、ギター弾いてるときに何を聴いて合わすかっていうのも問題で。
──ヤノくんは何に合わせてるんですか?
ヤノ 打ち込みの、金モノだったりハットだったりキックだったり、いわゆる3点なんですよ。
──ドラムを叩くときは?
ヤノ それはクリックですね。
──3人とも?
フミ いや、クリックはヤノしか聴いてないですね。クリックを聴いたヤノの演奏と、シーケンスを聴いてます。
──ドラムの役割が重要ですね。
ヤノ そうなんですよ。シーケンスとずれてるとやりづらいだろうし。だからシーケンスに合わせることに徹して。
──シーケンスなしで好きに叩きたいと思わないですか。
ヤノ 思わないです。ポリでドラムを叩くということはそういうことだし、俺はそこの仕事に徹したいんです。それに、そこでも俺は快楽を得ているので!
──機械に合わせる快楽?
ヤノ ……まさに!
ニューアルバム「Weeeeeeeeee!!!」2012年12月05日発売 / Ki/oon Music
収録曲
- Sparkling Water
- Lucky Star
- Distortion
- Steam Pack
- Ice, Tights, Mike
- Why
- Quiet Smith
- Kitchen Ban Ban
- Lightning Express
- Raptus
- High Kcal
- Everybody Say No
- Round The World
- Weeeeeeeeee!!!
DVD収録内容
- Lucky Star(Music Video)
- Everybody Say No(Music Video)
- ライブセットリスト決定会議ドキュメンタリー“燃えよギター”
POLYSICS (ぽりしっくす)
ハヤシ(G, Vo, Syn, Programming)、フミ(B, Vo, Syn)、ヤノ(Dr, Vo)からなるニューウェイブロックバンド。1997年、高校生だったハヤシを中心に結成。1999年にアルバム「1st P」をインディーズからリリースし、2000年にメジャーデビュー。独自の音楽性と過激なライブパフォーマンスで人気を集める一方、2003年にはメジャー1stアルバム「NEU」をアメリカでリリースし、初の全米ツアーも実施するなど海外での活動も本格化させる。2010年3月には初の日本武道館公演を実施し、初期メンバーのカヨ(Syn, Vo, Vocoder)がこのライブを最後にバンドを卒業。以降は3ピースバンドとして活動を続け、バンド結成15周年を迎える2012年に記念アルバム「15th P」をリリース。同年3月にライブ通算1000公演を達成した。同年10月にシングル「Everybody Say No」を発表。12月にはニューアルバム「Weeeeeeeeee!!!」をリリースした。