頼ってほしいからがんばってる

ハヤシ　ここ最近、ヤノの演奏がだいぶ変わってきて、俺なんかほとんどシーケンス聴いてない。ドラムばっか聴いてる。

フミ　うん。ライブでね。シーケンスは何かの合図ぐらいの感じで。きっかけとして。

ハヤシ　そうそう。何かが変わった気がするんだよね。曲作りのやり方がだいぶ変わってきてるから。「Lucky Star」の制作もそうだし。3人で作ることが増えてきて、そこでのヤノの意見も新鮮だし。前は合わせるだけで精一杯だったけど、今は3人でやってくって決めてガツガツやって、去年1枚アルバム出して、「15th P」を出して、15周年のライブやって、その後のライブからヤノのプレイがだいぶ変わってきた印象がある。自信なのか、自分が3人の中の1人なんだという自覚がちゃんと出てきたのか。それは音で聴いてわかる気がする。

──ああ、それがさっき言った「バンド感」につながってくるんですね。

ハヤシ　うん、だと思う。それを聴いて自分たちも演奏してるからね。

──それだけヤノくんの演奏が安定してきて、彼に頼っても大丈夫になってきた。

フミ　うん、そうそう。

ハヤシ　それはほんとに感じます。

ヤノ　頼ってほしいからがんばってるんです！

ベースの演奏のテーマは「楽しむ！」

──フミちゃんは今回演奏面でのテーマは？

フミ　楽しむ！（笑） 音とかもね、気持ち良ければそれでいいじゃんって。全く悩むことなかったですね。

ハヤシ　そう。ベースの音作りに関しては全く迷うところはなかったですね。出す音が良かったから。「High Kcal」って曲に関してはいつものベースの音を変えようか、ちょっとあったけど、ほかは全くなかった。

フミ　この音じゃない必要性ってあるのかな？ みたいな。

ハヤシ　ケースから出してそのまま弾いてOK、みたいな（笑）。

──その迷いのなさはちゃんと音に出てますね。確信をもって弾いてる感じ。

フミ　うん。だからこそ楽しむっていうのがテーマになったのかな。

ハヤシ　曲作りでいろいろ悩んだところはあったけどね。

フミ　いろいろトライしたことはあったけど、いざレコーディングになったら、もう、やるのみ！みたいな。

ハヤシ　だからポリはいつもレコーディングは早いのよ。その前のプリプロのときがえらい大変。設計図を書くまでが超大変なの。

──ふむ。今回は何が一番大変だったんですか。

ハヤシ　ええとね、「Round The World」はもう、半分トラウマ（笑）。11バージョンぐらい作った（笑）。元々全然違う曲だったのよ。TALKING HEADSみたいなゆったりした曲だった。そこから半年ぐらいかかった。最後の最後にまたコロコロ変わっていって。

──そういう曲は諦めてボツにしようとは思わない？

ハヤシ　なぜかこの曲はボツにしたくなかったんだよね。最後の最後にこの形に落ち着いて。やっとできたー！って。

──そういう苦労の跡は全然うかがえないですけどねえ（笑）。

ハヤシ　この頭のリフって、元々間奏だったの。全然違う曲の間奏が、この曲のデンデンデデン～ってリフになったの。詰め込みすぎてた感があって、それを整理するのに時間がえらいかかった。

──その設計図の段階では、2人の意見も入ってくるわけでしょ。

ハヤシ　うん、そうなんだけど、この曲に関しては、もう2人も言い疲れたって感じで（笑）。

フミ　まだやんの？って（笑）。

ハヤシ　やりたいなら気の済むまでやれば？って。そこまで行っちゃったパターン。

──そういうの、よくあるんですか。

フミ　たまに。この曲まだ生き残ってたんだ、みたいなのがあって（笑）。

ハヤシ　最近そういうのは捨てるようにしてるのよ。打ち込みすると、シーケンスにもお気に入りの音色があってね。曲のカラーとして打ち込むんだけど、それをバンドアンサンブルに展開すると、合わなかったり地味だったり聞こえなかったりするじゃん。こだわって打ち込んだけど、バンドサウンドが映えないとか引き立たないときは、昔はとっておいて、音を重ねたり工夫をして活かすようにしてたけど、今はもう、どんどんミュートしてカットしちゃう。それで違うシーケンスを足したりして、違うアプローチをとってみる。