ナタリー PowerPush - POLYSICS

バンド感全開の14曲 最新アルバム「Weeeeeeeeee!!!」

POLYSICSのメジャー通算11枚目のアルバム「Weeeeeeeeee!!!」が完成した。前作「15th P」が、ゲストを多数招いて作られた一種の企画盤だったので、3人だけで作ったオリジナルアルバムとしては「Oh! No! It's Heavy Polysick!!!」以来1年9カ月ぶりということになる。

先行シングル「Lucky Star」「Everybody Say No」を含む全14曲は、これぞPOLYSICSという充実の内容。猛烈なスピード感、徹底してソリッドでタイトな演奏、だがどこまでもポップでキャッチーな楽曲。まさに現時点でのポリの到達点と言っていい作品となっている。なお初回限定盤には「ライブセットリスト決定会議ドキュメンタリー“燃えよギター”」なるDVDが付属。これまたファンには見逃せない内容だ。この待望の新作について、メンバー3人に話を訊いた。

取材・文 / 小野島大 インタビュー撮影 / 佐藤類

今の俺らのムードにあった曲を選んだ

写真左からヤノ(Dr, Vo)、ハヤシ(G, Vo, Syn, Programming)、フミ(B, Vo, Syn)

──順調にアルバムが完成しましたね。

ハヤシ(G, Vo, Syn, Programming) そうですねえ……まあまあ順調だったかな。

フミ(B, Vo, Syn) まあまあ(笑)。あはは(笑)。

ハヤシ すんなりできたってわけでもないんですけどね。長かったよね、作ってる期間がね。

──どれぐらい時間かかったんですか。

ハヤシ この中で一番古い曲が2年前ぐらいにできた曲で。「Sparkling Water」と「Lightning Express」。そこからずっとツアーの合間にプリプロと曲作りをやってきて、残った曲なんですよ。

──2年前ということは「Oh! No! It's Heavy Polysick!!!」を出すのと前後してできた曲ですか。

ハヤシ そう。「Oh! No!~」はもう仕上がってて、そのあとできた曲ですね。

──実際の録音はいつから?

ハヤシ 「Lucky Star」と並行してアルバムの曲はどんどん録っていったから。だから録音期間そのものはそんなに長くないけど、曲作りも含めたら、制作期間は2年ぐらいですね。その間「15th P」があったんですけど、「Sparkling Water」なんかは「15th P」には入らない曲だったんですね。

フミ 候補には挙がったんですけどね。

ハヤシ コラボる必要のない曲だったから。じゃあこれはアルバム用の曲だねって。

──「Sparkling Water」は素晴らしい曲ですね。

ハヤシ おっ!! 来たよコレ!(笑)

──これぞPOLYSICSというか。ポリのいいところが全部出てる。

ハヤシ そう! そうなんですよねえ。

──全く意味のない歌詞も含めて(笑)。

ハヤシ はははははっ!(笑)

フミ ♪シュシュワ シュシュワ、ってね(笑)。

──曲はめちゃくちゃカッコいいのに、歌詞のメッセージ性や文学性は皆無という(笑)。

フミ それも含めて、この曲は今のポリだなって気がする。

ハヤシ シングルにしたかったぐらいなんですけどねえ。

──シングルにしなかったのはややこしい変拍子の曲だから?

ハヤシ そうそう(笑)。ノリづらすぎるからね。でもアルバムのどこで聴かせるかなと思ったら、やっぱり1曲目だろうって。

──でしょうね。インパクト強い曲だし。アルバムの構想が固まったのはいつ頃なんですか?

ハヤシ 結構あとのほうだったよね。ツアーしてるときも曲作りはしてて、ふと気付くと曲もたまってきて。その中で、今の俺らのムードにあった曲を選んでいったんです。だから今回はコンセプトを特に決めずに作っていった感じかな。そうやって、アルバムの半分ぐらいの曲はできたので、あとはそこに足りない曲を作っていく作業。今までは、プリプロの段階で、こういうモードで行きたい!というのを曲で出していってムードを伝えて、「今回はこういう感じ」というのをなんとなく伝えて固まっていくんだけど、今回はそういうのはあまりなかった。逆に、今の俺たちがカッコいいなと思ってる曲をどんどん作って集めていって、結果的にアルバムのカラーが決まっていった感じですかね。

バンド感がうまく出てる曲が多い

──その中で、この曲がキーになった、というような曲はありますか。

ハヤシ(G, Vo, Syn, Programming)

ハヤシ この曲が、というよりは、全体の雰囲気だったよね。

──それは言葉にして言うと?

ハヤシ どうだろう……この曲は今の自分たちに合ってるよね、という感覚でしかないから。

──その「今の自分たちの感覚」とは?

ハヤシ 多分それは“バンド感”かな。バンド感が出てる感じ。ライブと直結した、この3人のバンド感がうまく出てる曲が多い気がするね、今回。

──なるほど。ライブで映えるような曲ということですか。

ハヤシ ライブとリンクするような曲を選んでいってる気がする。「Kitchen Ban Ban」はおいといて(笑)。ライブとあまりかけ離れた曲は入れてないイメージだね。

──単純に「良い曲」を順に選んでいったわけではない。

ハヤシ そうですね。バンド感もそうだし、バンドサウンドと電子音がうまくハマってる曲というのかな。

フミ なんか……結構好きにやってる感じの曲が多いなって思ってましたね。癖があるんだかないんだかわかんないような曲が多いなって思ってました。だから曲順を決めるのが難しい。

──癖っていうのは、それぞれの曲の個性ってことですか。

フミ そうそう。

──それぞれの曲が強く自己主張してるというより、全体が塊になってガーッと迫ってくるみたいな。

フミ そうそう、そういう印象を受けました。固まってひとつの塊になって、何かを主張してくるみたいなムードを感じてましたね。だからどんな曲順でもいける感じがあって、何パターンでも考えられるから、決めるのにすごく時間がかかりました。

ハヤシ 曲順は、どのパターンでもうまくハマるんですよ。最終的な曲順は、どの曲も活きる感じがあった。

ニューアルバム「Weeeeeeeeee!!!」2012年12月05日発売 / Ki/oon Music

ニューアルバム「Weeeeeeeeee!!!」
初回限定盤[CD+DVD] / 3500円 / KSCL-2163/64
通常盤[CD] / 3059円 / KSCL-2165
収録曲
  1. Sparkling Water
  2. Lucky Star
  3. Distortion
  4. Steam Pack
  5. Ice, Tights, Mike
  6. Why
  7. Quiet Smith
  8. Kitchen Ban Ban
  9. Lightning Express
  10. Raptus
  11. High Kcal
  12. Everybody Say No
  13. Round The World
  14. Weeeeeeeeee!!!
DVD収録内容
  1. Lucky Star(Music Video)
  2. Everybody Say No(Music Video)
  3. ライブセットリスト決定会議ドキュメンタリー“燃えよギター”
POLYSICS (ぽりしっくす)

ハヤシ(G, Vo, Syn, Programming)、フミ(B, Vo, Syn)、ヤノ(Dr, Vo)からなるニューウェイブロックバンド。1997年、高校生だったハヤシを中心に結成。1999年にアルバム「1st P」をインディーズからリリースし、2000年にメジャーデビュー。独自の音楽性と過激なライブパフォーマンスで人気を集める一方、2003年にはメジャー1stアルバム「NEU」をアメリカでリリースし、初の全米ツアーも実施するなど海外での活動も本格化させる。2010年3月には初の日本武道館公演を実施し、初期メンバーのカヨ(Syn, Vo, Vocoder)がこのライブを最後にバンドを卒業。以降は3ピースバンドとして活動を続け、バンド結成15周年を迎える2012年に記念アルバム「15th P」をリリース。同年3月にライブ通算1000公演を達成した。同年10月にシングル「Everybody Say No」を発表。12月にはニューアルバム「Weeeeeeeeee!!!」をリリースした。