ハルシのギターが大暴れ
──では、2025年第1弾シングル「あのね、」について聞かせてください。テレビアニメ「この会社に好きな人がいます」のオープニングテーマとして制作された楽曲ですが、すごくポップですね。
そうなんですよ。この作品自体は知っていて、タイアップの話をいただいたときは「うわ、来た!」と思いました(笑)。もともと恋愛ソングを作るのは苦手なんですけど、社内恋愛を描いたラブコメだし、直球の恋愛ソングを作らなくちゃなって。まずは原作をめちゃくちゃ読み込んで、資料を作るところから始めて、「みっちゃん(ヒロインの三ツ谷結衣)、このシーンではこう思ってるはずだよね?」って、頭の中で会話しながら、「Aメロにはこの言葉を入れて……」みたいな感じで書いていきました。
──かなり理詰めで書かれた歌詞なんですね。
基本的に理詰めなんですよ、私。ただ、恋愛ソングはそれだけでは足りない部分があるような気がしていて、そこが私にとっては難しいところですね。アニメを観ている人にも楽しんでほしいけど、アニメや原作の内容を知らない人が聴いても「いいな」と思ってもらえて、それぞれの恋愛経験と重ねられるような曲にしないと。そういう緊張感を持ちながら作っていました。
──サウンドに関しては?
明確なオーダーはなかったんですが、とにかくさわやかでポップなサウンドにしようと思ってました。「何か引っかかりを作らないと、普通の曲になっちゃうな」という感じもあったので、そこはハルシにギターを弾きまくってもらって。
──速弾きのフレーズが炸裂してますね。
大暴れです(笑)。Bメロなんて「ボーカルが歌ってるとき、普通はこんなに弾かないよね」みたいなフレーズになっていて。アレンジの段階で「このフレーズでいきます」と作ってきてくれたんですよ。最初は「え、これ大丈夫?」と思ったんだけど(笑)、入れてみたら「いいね」って。ハルシの得意な部分をたくさん出してくれたし、のびのびやってくれましたね。去年末のCDJ(「COUNTDOWN JAPAN」)で初披露すると決めたときも、メンバーはかなり積極的だったんですよ。普段「ライブで新曲やるからね」と言うと、ハルシが「難しいから嫌」「覚えてない」とか言いがちなんですけど(笑)、「あのね、」に関してはハルシも思い入れがあるみたいで、すぐに「わかりました!」って。毎回そうだといいなと思います(笑)。
──雫さんの声のかわいい成分が多めに出ているのも「あのね、」の聴きどころだと思います。
あの声、ひねり出したんですよ(笑)。我々は曲調もいろいろだし、全部同じような声で歌うわけにもいかなくて。「あのね、」に関してはなるべくかわいい声で歌うほうがオケにも合うだろうなと。レコーディングのときは1コーラス分のオケをずっと流しながら、「どの声でいく?」と選ぶ作業をやったんですよ。「喉の使う場所をもうちょっと上にしようかな」とか「もう少し締め気味のほうがいいかな」と検証して。
──もともといろんな声色を使い分けられるタイプなんですか?
だんだんできるようになってきました。そもそも私、自分の声がそんなに好きじゃないんですよ。聴いてくれてる人には申し訳ないんですけど、声の魅力では押せないと思っているので、曲にフィットする歌い方をしたほうがいいなって。いろんな女性ボーカルの曲を聴いて、マネして声を出すという練習をしているうちにいろいろと使い分けられるようになってきました。
“今まで厳しすぎた”雫に起きた変化
──2025年はポルカにとって結成10周年のアニバーサリーイヤーです。10周年については、どんな思いがありますか?
思い返すと「早かったな」と思います。大変なことが起きたときは「長いな」と感じていたけど、過ぎてしまえば早い。相対性理論を感じてます(笑)。あと、嫌なことは記憶がちょっと薄くなっているというか、忘れかけているところもあって。さっきも言いましたけど、笑って話せるようになってよかったなと思ってます。
──ファンの皆さんは10周年を記念した特別な活動を期待しているでしょうし、「こんなことをやってほしい」という声もたくさん届いてますよね?
そうですね。もちろんできるだけ叶えたいですけど、マンパワーにも限界があるし、どうしていこうかなと。なんて言うか、ちょっとラフに考えてもいいのかなと思ってるんですよ。例えばYouTubeに上げるコンテンツにしても、今まではしっかり整えた動画じゃないと嫌だったんです。今後はそうじゃなくて、あまり作り込まれてないポルカドットスティングレイをお見せするのもいいのかなと。しょうもないことをしゃべってるだけとか、ゲームやってるだけとか(笑)。
──さっきのライブの話と同じく、メンバーの素が見えてもいい?
やっとそういう気持ちになってきました。ハードルを下げるわけではないんだけど、基準を替えることでもっとたくさんのコンテンツを提供できたらなと。ちょっとね、今まで厳しすぎたんですよ、私が。ライブで使う動画にしても、しっかりカット割りしてないと絶対に見せたくなくて。今は「たまには撮って出しみたいな映像もいいかな」という感じに少しなってきました。
──これまで“ナシ”“却下”だったことにもトライしたい、と?
なんでもやりたいですね! ちょっとね、「ポルカドットスティングレイ、お高くとまってるんじゃないの?」と思われる節があった気がしていて。曲もちょっと技巧派だったりするので、「イケすかないな」と思ってる人もけっこういるんじゃないかなと思うんです。でも、実際私たちは根暗だし(笑)、私がうっかりハードルを上げすぎて、近寄りづらい感じになっちゃっただけなので。あと、フェスとかイベントにもめっちゃ出たいです! なぜか「誘っても出てくれなそう」という印象があったかもしれないけど、そんなことは全然ない。「どんどん誘ってください、がんばります!」というのがメンバーの本心なので、そこも誤解なきようにお伝えしていけたらなと。
今年は忙しくなります!
──去年は初の対バンツアー(「ポルカドットスティングレイ #ポルカVS ~お世話になった先輩を殴りに行く~」)もありました。
そうなんですよ。1月29日に対バンツアーの追加公演としてKANA-BOONとご一緒するんですけど(取材は1月上旬実施)、それもめちゃくちゃ楽しみです。ポルカとKANA-BOONは絶対に合うはずだと思っているし、特に私とユウくん(ウエムラユウキ)はKANA-BOONの「フルドライブ」が大好きで。当日はぜひ「フルドライブ」をフルでカバーしたいですね!
──新曲の制作も続いているんですか?
はい。アルバムを出したくて、デモ音源をがんばって作ってるところです。前作以降の“しょんぼり期間”を乗り越えて、次のアルバムは晴れやかにリリースしたいんですよね。ツアーも積極的にやりたいし、フェスやイベントにも出たいし、それ以外に単発の自主企画もやりたい。今年はもう出し惜しみなく……今まで出し惜しみしてたわけではなくて、単に手が回ってなかっただけなんですけどね。以前だったら「忙しいし、ちょっと無理かもね」と言いがちだったところでも、がんばって全部やりたい。今年は忙しくなります!
──素晴らしい。期待してます!
ありがとうございます。「踊る様に」のツアーのときは、メンバーもしょんぼりしていることが多かったんですよ。ようやくハッピーな状態になったし、次のリリースツアーは笑顔で回りたいですね。
公演情報
ポルカドットスティングレイ #ポルカVS 2025 ~若いやつをしばく~
- ポルフェス91 #ポルカVS ○○○○
2025年6月20日(金)福岡県 DRUM LOGOS
<出演者>
ポルカドットスティングレイ / and more - ポルフェス92 #ポルカVS ○○○○
2025年6月27日(金)大阪府 GORILLA HALL OSAKA
<出演者>
ポルカドットスティングレイ / and more - ポルフェス93 #ポルカVS ○○○○
2025年6月29日(日)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
<出演者>
ポルカドットスティングレイ / and more - ポルフェス94 #ポルカVS Chevon
2025年7月4日(金)東京都 Spotify O-EAST
<出演者>
ポルカドットスティングレイ / Chevon
プロフィール
ポルカドットスティングレイ
福岡出身の4人組ギターロックバンド。2015年に活動を開始し、2017年に1stフルアルバム「全知全能」でメジャーデビュー。結成5周年である2020年1月に、2万枚完全生産限定盤「新世紀」をリリースする。2020年12月に3rdフルアルバム「何者」、2022年9月に4thアルバム「踊る様に」を発表。2025年1月に結成10周年を迎え、テレビアニメ「この会社に好きな人がいます」のオープニング主題歌「あのね、」を配信リリースした。
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