ナタリー PowerPush - →Pia-no-jaC←
初ベストアルバム発売記念 HIROカホン講座&曲作りセッション
震災後は早く音楽で日本を元気にしたかった
──「EAT A CLASSIC 3」を3月2日にリリースして、その前後からキャンペーンで全国各地を動き回ってましたが、すぐに東日本大震災があって。多くのアーティストが音楽活動を自粛してた中で、→Pia-no-jaC←はかなり早いタイミングで活動を再開させましたね。
HAYATO 実は震災があった2日後から東北でのインストアライブツアーが決まってたんですけど、全部中止になってしまって。震災直後には「今は音楽をやる時期ではない」っていう空気があったけど、音楽をやってる身としては早く音楽で日本を元気にしたいと思って、3月下旬に京都からインストアライブを再開させたんです。
──震災後、最初のライブのことって覚えてますか?
HAYATO 正直、緊張しましたね。僕らはやるって決めたんですけど、正直「なんでこのタイミングでライブを再開するんですか?」っていう声も周りからあると思ってたんです。でも、実際にやってみたら本当にお客さんが喜んでくれて、「早くライブをやってほしかった」っていう声がすごく多く届いたんですよ。
HIRO ライブの前と後でお客さんの顔が違ったのが印象的でしたね。
HAYATO 本当に笑顔が広がっていく感じがわかりました。
HIRO →Pia-no-jaC←のライブって自分たちだけじゃなくて、お客さんも一緒に巻き込んで楽しむスタンスなんです。みんなで体を動かして手拍子していく中で、お客さんの顔が晴れていくのが一目でわかって、改めて音楽をやってて良かったなって思いましたね。
もう「熊蜂の飛行」はピアノを傾けないと弾けない
──4月から始まった全国ツアー「Travellin' Band Tour 2011」では、6月にツアーファイナルとして渋谷C.C.Lemonホール公演を行いました。
HAYATO 随分と長い時間やってたみたいですね(笑)。
──演奏してる側としては、そんなに長いライブだとは感じなかった?
HAYATO 全然! むしろあっという間やったんですよ。終わってから「3時間以上やってましたよ」って言われて、逆にびっくりしたくらいで。
HIRO ツアーを重ねていくうちに、だんだん演奏時間が延びていってたんですよ。
──手袋に蛍光塗料を塗ってブラックライトを当てたり、ピアノを斜めに傾かせて弾いたり、新しい試みもありました。
HAYATO そうですね。世界初のパフォーマンスじゃないかと。
──暗闇の中で演奏するのは大変そうでしたが?
HAYATO 最初は面白いことをしたいなと思って、手袋に蛍光塗料を塗ってブラックライトを当てて演奏しようって言ったんです。で、僕はお客さんに向かって横向きでピアノを弾くので、ピアノを斜めに立てて弾いたらもっと面白いんじゃないかってひとこと言ってしまったら、それに対応できるスタンドを作ってくれて。最初に斜めの状態で「熊蜂の飛行」を弾いてみたら背中がつったり腕の力が足りなかったりで1分ももちませんでした。
HIRO 完成したスタンドを見せてもらったときのHAYATOの表情が忘れられないです。スタンドがガーって上がった瞬間に「わー、これ高いっすねー」って(笑)。
HAYATO 僕は斜度45度くらいをイメージしてたんですが、スタッフの方が作ってくれたのは70度もあってほぼ壁状態(笑)。でも言ってしまった手前、「できませんでした」って言うのはカッコ悪いので、絶対に弾いてやろうと思って毎日トレーニングを積み重ねました。
──そんな無茶な姿勢でピアノを弾くと、普段使わない筋肉を使いますよね。
HAYATO 使いますね。ツアーが終わってからしばらくしてマッサージに行ったんですけど、骨盤が右と左でものすごくずれていて本当にびっくりしましたよ。それだけ無理してたんだなって。でも、もう「熊蜂の飛行」はピアノを傾けないと弾けないんじゃないかな。普通に弾くんじゃちょっと物足りないし。
HIRO HAYATOが「ここのこのフレーズはこうやってここの小指から入るような角度がちょうどいい」ってうれしそうにコツを話してくれるんですけど、そのテクニックをほかの誰が使えるのよと思って(笑)。うれしいのはわかるけど、ほかのピアニストに教えても絶対に縦にして弾く人はいないから。
HAYATO 僕はあの弾き方をどんどん極めていきたいなと。
HIRO いろんな曲をあのスタイルで弾いたら?
HAYATO そこからまたさらに、何か新しいものが生まれるかもしれないね。
DISC 1 [Original]
- 組曲『 』
- うさぎDASH
- 交響曲 第9番 ニ短調 作品125 「合唱」第4楽章 / ベートーベン
- 小フーガ ト短調 BWV 578 / J.S.バッハ
- 台風
- 花火 ~HANABI~
- Time Limit
- 美しく青きドナウ / ヨハン・シュトラウス
- 交響曲第9番 ホ短調 作品95「新世界より」第4楽章(First Best Ver.) / ドヴォルザーク
- 残月
- The Last Resort
- 輪舞曲 ~Rondo~
- 熊蜂の飛行 / リムスキー=コルサコフ
- ジ・エンターテイナー / スコット・ジョプリン
- Jack 2011
DISC 2 [Compilation&Collaboration]
- メインストリート・エレクトリカルパレード [ディズニーランドR] / 「Disney Rocks!」より
- ミッキーマウス・マーチ [ミッキーマウス・クラブ]&星に願いを [ピノキオ] / 「Disney Rocks!!」より
- さらば愛しきストレンジャー / 「NOT JAZZ!! BUT PE'Z!!!」より
- Typhoon (DAISHI DANCE Remix) / 「PIANO project.」より
- Pulse of the earth / 「PIANO project.」より
- 夜想曲第2番変ホ長調Op.9-2 / 「JAMMIN' with CHOPIN」より
- More SQ: クロノ・トリガー 風の憧憬 / 「More SQ」より
- Love SQ: ビッグブリッヂの死闘~妖星乱舞~片翼の天使 / 「Love SQ」より
→Pia-no-jaC←(ぴあのじゃっく)
ピアノのHAYATO、カホンのHIROにより2005年4月に結成されたインストゥルメンタルユニット。鍵盤を中心にしたシンプルな楽器編成ながら、ジャズともクラシックとも異なるエネルギッシュでオリエンタルなサウンドが、リスナーに強烈なインパクトを与えている。2008年の1stアルバム「First Contact」を皮切りに2年間で5枚のアルバムを立て続けに発表し、合計で45万枚のセールスを突破。国内外のフェス出演を含む、年間250本以上のライブを精力的に敢行している。2010年夏にはDAISHI DANCEとのコラボアルバム「PIANO project.」をリリース。さらに、同年8月発売の嵐のアルバム「僕の見ている風景」では、二宮和也から熱いオファーを受けゲストミュージシャンとして参加した。2011年1月には、クリエイティブディレクターの箭内道彦が手掛けるシューズブランド「ピーエフフライヤーズ」のCMソングに、アルバム「EAT A CLASSIC 3」の収録曲「ジ・エンターテイナー」を提供。同年4月からスタートした全国ツアー「Travellin' Band Tour 2011」のファイナル公演では、渋谷C.C.Lemonホールでのワンマンライブも実現した。なおユニット名は、左からピアノ、右からカホンと読むことができる。