Perfumeロングインタビュー|声出しライブを解禁した“革命の日”に、3人は何を感じていたのか? (3/3)

やり方や方法を考えなかったのは、考えが足りなかった

──今となっては皆さんが日々Instagramを更新するのは当たり前のことになっていますが、ずっとSNSの個人アカウントを作ってこなかったPerfumeがプライベートなインスタのアカウントを作ったのも、この宮城公演がきっかけだったんですよね。

あ~ちゃん そうですね。仙台でライブをする前に、今回起きたことを踏まえて今のPerfumeの改善するべき点、こうしたらもっとよくなるんじゃないかということを、私からチームのみんなにメールで伝えさせてもらったんです。チームでその仕事をする人のリサーチ不足もあるけれども、平日にあの場所に行くのは難しいということも、私たちがもっとお客さんの身に寄り添えていたら気付けていたはずだし、ファンのみんなと直接話せる場があったらこんなことにはならなかったかもしれない。周りの言葉を聞くことで自分たちも刺激を受けることができるし、プラス、私たちがそれぞれ個人で好きなものを知ってもらえたり発信していけたら、もっとメンバーのことを知りたいと興味を持ってもらえたり、Perfumeの仲間になりたいと思ってくれる人も増えるんじゃないかな、と思ってインスタを始めることを提案させてもらいました。

──いいアイデアだと思いますが、逆になぜ今までそれをしなかったんですか?

あ~ちゃん 今までもそういうことはファンクラブ向けにやっていたから、会員のみんなを何よりも特別に思っていることをわかってほしくて、個人ではSNSを一切やってこなかったんですよね。「やってみませんか?」と提案されたことは何度もあったんですけど、「でもファンクラブがあるので」って、昔からの事務所の方針の名残でずっとやらないできたんですよね。だからその考えに至ったとしても、インスタを始めてもいいのか、最終的な判断はファンクラブ会員のみんなが「いいよ」って言ってくれるかどうかだなと思って。ちょうどそんなことを考えてたときに、さいたまスーパーアリーナ公演の初日はお客さんの80%以上がファンクラブ会員だったんです。絶好の機会!なのでMCで「インスタ始めてみようと思うんだけどどう?」って聞いたら、うおー!って盛り上がってくれて。ライブが終わったらその足でアカウント名を考えて開設しました。

──実際に始めてみて、どうでした?

あ~ちゃん なんでもっと前に始めなかったんだろうって(笑)。何度もチャンスはあったんですよね、ワールドツアーの際にも、「SXSW」や「Coachella」フェスのときにも。「ファンクラブの方たちを特別にしたい」のは今も変わらないけど、それしかやり方や方法を考えなかったのは考えが足りなかったです。今思うと、どちらの人とも密な関係にはなれると思うので。

──ファンの人と直接DMでやり取りしたりしてますもんね。

あ~ちゃん 本当に面白いんですよ。「ロンドン公演のチケット取ったよ! 行くね!」とか、「高校の友達だっけ?」みたいなDMが届いたりして(笑)。

──インスタにアップしたプライベートな写真が、ネットニュースに取り上げられたりもするようになりました。

のっち 最初はびっくりしました! ニュース見てたら「あ~ちゃん、きゃりー(ぱみゅぱみゅ)と旅行に行く」みたいな記事になってて、「芸能人やん!」って(笑)。

かしゆか 今までも「anan」の連載とかではそういう話をしてたけど、雑誌を手に取った人しかわからないですもんね。

あ~ちゃん そうだね。ラジオで話したりするけど、そのときの様子を写真や動画で見れるわけじゃないし。でも、まだまだインスタはヘタクソなんで、皆さんご指導くださいって感じです(笑)。

Perfume

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「自分たちはそういうライブができるようになったんだんだ」という驚き

──パッケージ化されたツアー映像を自分で観てみて、「ここが見どころだな」と思ったところはありますか?

あ~ちゃん 私は映像チェックで感じたことをメモしてたんですよ(と言いながら自分のスマホを取り出す)。えっと、「プラズマDVD&Blu-rayの見どころ。ポリリズム。下からぴょこっと現れる虹色のっち」。

のっち あー、奇跡の“虹の中ののっち”ありました(笑)。

あ~ちゃん 「と、ポリループのほほえみゆかちゃん」……だそうです。

かしゆか ははは。

あ~ちゃん 「ここが死ぬほどかわいい」。

のっち わかる(笑)。

──「ポリリズム」と「ワンルーム・ディスコ」は初回限定盤の特典ディスクのみに収録されているので、なんのことか知りたい読者の皆さんは初回盤を購入してください。

あ~ちゃん ほかには「宮城公演はライブドキュメンタリーを今回急遽入れたのですが、もともと収録するつもりもなかったので、スイッチングアウトの映像(会場のビジョンで流れていた映像)しかなく、カメラの揺れもありますが、ありのままのライブ映像になっています」とのこと(笑)。

──なるほど。むしろそれがドキュメンタリーっぽくてよかったのかもしれないですね。商品化されると思っていないからこその素の表情というか。

あ~ちゃん あと初回盤の特典映像に入ってるツアーMCのハイライト、面白かったよね。いろんな場所でその場で思ったことを話しているシーンなので、「それぞれこんなことしゃべっとったんじゃ」って思い出して(笑)。

のっち 友達としゃべってるみたいで面白かった。あ~ちゃんが行った大阪のサウナの話とか(笑)。

かしゆか 全公演のMCを60分も収録しちゃうのがPerfumeらしいですよね(笑)。初日と最終日の密着映像が入ってるのもそうだけど、ツアーを続けていく中でどう変化していったのかが見えるから面白いと思う。

Perfume

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──確かに全公演のMCを続けて観ていると、ツアーの途中で何が起きたのかがなんとなくわかりますね。

かしゆか 「polygon wave」のライブはPrime Videoで配信されているから、観てくださった方がたぶんいると思うんですけど、あのライブとはまったく違う、メンバー3人だけにフォーカスしたライブなので、「polygon wave」を観た人にもこっちもぜひ観てほしいです。「最先端技術」みたいなのとは違う「人力の技術」が詰まってるライブなので。

のっち でも私はツアーの終盤になるまで、自分がLEDの映像を背負ってないことに気付いてなかったんですよ(笑)。ライブ後に振付がそろってたか確認するときも、3人の寄りの全身カットだけを観てチェックしてたから、全体の演出を客観的に見ないまま何日もライブをやってて。だから映像演出が何もないまま何曲もやっていたことにけっこう驚いて。あの大きさの会場でPerfumeがライブをしてLED背負ってないことって、本当にないんじゃないかな?

かしゆか うん。背中か床か、どっちかにあるよね。

のっち だから「自分たちはそういうライブができるようになったんだんだ」ってびっくりしたんです。もちろんそれはMIKIKO先生の空間演出能力の賜物だと思うんですけど、私たちにとってそれは今までにないチャレンジだったし、そんな挑戦をしてる私たちのことを観てほしいです。あと映像チェックをしていて驚いたのが、「Party Maker」と「Puppy Love」でのかしゆかとあ~ちゃんのファンサ(笑)。「あっ! すご! えっ! そんなに?」ってびっくりしました。

かしゆか 終わってだいぶ経ってから気付いてる(笑)。

のっち そうそう(笑)。私はセンターステージで前と後ろのお客さんを交互に煽ってたんですけど、両サイドにいたあ~ちゃんとかしゆかはお客さんのすぐ近くまで歩いて行って、めっちゃファンサしてて。そのシーンがしっかり抜かれてるので、これは皆さんにぜひ観てほしいですね。

プロフィール

Perfume(パフューム)

あ~ちゃん、かしゆか、のっちからなる3人組ユニット。2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsule(現:CAPSULE)の中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たす。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを完売させる。2012年10月にはアジア4カ国で初の海外ツアーを敢行。2015年にはアメリカ・テキサス州オースティンで開催された世界最大規模のフェスティバル「SXSW 2015」に出演し、インタラクティブメディアの祭典「SXSW Interactive」のヘッドライナーを務めた。2019年にはアメリカの野外音楽フェス「Coachella」への初出演を果たす。同年、初のベストアルバム「Perfume The Best "P Cubed"」をリリースし、これを携えて2020年2月に全国ドームツアーを敢行。2022年7月に4年ぶりのオリジナルアルバム「PLASMA」をリリースし、同作を携えて全国9都市でのアリーナツアーを開催した。2023年5月にはこのツアーの映像を収めたBlu-ray / DVD「Perfume 9th Tour 2022 "PLASMA"」を発売。6月3日には約9年ぶりとなるイギリス・ロンドン公演「Perfume LIVE 2023 "CODE OF PERFUME"」を開催する。