仲悪いのに一緒にいられるって、そっちのほうが意味がわからないです

──しかし、ある意味ではメンバーの意見をここまで採用しまくるスタッフもすごいですよね。懐が深いというか。

岩村　本当にそう！ 最近のPASSPO☆がこだわっている「アメリカンガールズロック」というコンセプトも、メンバーが7人になったとき、自分たちから社長に「これがやりたいです」って主張したんです。

玉井　あのときは人数も減ったということで、スタッフさんも心配していたんですよね。

根岸　「新しくメンバーを入れるか」とか「路線をまるっきり変えちゃうか」とか、いろんな話が出てきたんですけど。最終的には私たちのほうから「やりたいことがあるので、一度見ていただけませんか？」ってお願いしたんです。

安斉　あのときは本気でお互いにぶつかったよね。でも今思うと、あれがよかったんだと思う。あそこで意見を言い合ったからこそ、今があるのは間違いないし。あそこがPASSPO☆の分岐点だったな。

──思いがけず心に沁みる話になりました。

藤本　いやー、いろいろあるんですよ、長いことやっていると（笑）。

根岸　あのとき、みんなでずっと話していたもんね。しゃぶしゃぶ温野菜でさ。

──今年、結成9年目でしたよね。単純な疑問として、なんでそんなに仲がいいんですか？ 一緒にいて飽きません？

森　それ、よく言われるんだよなー。

増井　でも逆に仲悪いのに一緒にいられるって、そっちのほうが意味がわからないです。仕事仲間なのは理解できるけど……。

安斉　むしろ、そっちのほうが尊敬しちゃうよね。

──だからって仕事が終わって家に帰ってまでメンバーとNintendo Switchで通信プレイする必要がありますか？

増井　Nintendo Switchを持ってるメンバーの間で「スプラトゥーン2」専用のLINEグループを作っていますからね（笑）。

根岸　確かに異常だよね、冷静に考えてみたら（笑）。

玉井　私がまだ十代の頃にちょっと悲しかったのは、ライブの打ち上げとかをやっても私だけ未成年だから先に家に帰るんですよ。「みんな、楽しそうだな。うらやましいな」って、その頃はよく思っていました。

岩村　最年少だもんね。

玉井　でも20歳を超えたら、腹を割ってなんでも話せるようになって。それはもちろんアルコールの力を借りてなんですけど（笑）。言いたいことがあっても本人に言わない状態って、ただの陰口になるじゃないですか。それは絶対よくないですから。あくまでも相手のことを真剣に考えたうえで、きちんと話すのが大事だと私は思うんです。そういう意味じゃ、メンバー全員が20歳を超えてさらに絆が深くなった気がしますね。

岩村　PASSPO☆はタイプがバラバラな7人なんですけど、「私が！ 私が！」っていう人は意外に少ないんですよ。みんな、「PASSPO☆がよくなるためにはどうすればいいか？」ってことを第一に考えているので。それは歌割りに関しても同じで、私たちは「ここは誰が歌ったら曲がよく聞こえるかな」って発想なんですよ。だけどほかのアイドルさんの話を聞くと、「もっと自分のパートが欲しい！」って思うのが普通らしいんですよね。そこは自分たちと違うなって思います。

安斉　だから最終的には信頼関係ですよね。「この子はこういう声で、こういうことが得意」っていうことをお互いに熟知しているので。全員が、7人のプロデューサーをしてる感覚と言うか。

森　PASSPO☆って全員が同じ目標に向かっているグループなんですよ。それがチーム感につながっているのかもしれない。

とにかく続けていくことが大事だと思う

──皆さんが今持っている目標はなんですか？

根岸　昔は遠い目標を立てて夢見ていたんですよね。「いつか日本武道館に立ちたい！」とか。だけど今は「じゃあ武道館に立つためにどうするか？」「その前にこの公演を成功させないといけないよね」って感じで、もっと地に足が付いている感覚があるんです。自分たちがやるべきことが見えてきたと言うか。

──アイドルが日本武道館を目指すっていう構図は、一時期、お約束みたいになっていましたからね。でも今のPASSPO☆を見ていると、果たして大会場でライブすることがアイドルのゴールなのか、はなはだ疑問なんですよ。

岩村　武道館もやれるものならやりたいですけどね。でも今じゃないと言うか、無理してやってもしょうがないじゃないですか。

玉井　目標に関しては、とりあえずは11月に始まるツアー（「歌って踊って奏でるツアー 2017→2018」）を成功させる！

根岸　このツアーは2部構成になっていて、1部がバンド演奏、2部がダンスパフォーマンスなんですよ。来年2月のファイナルまで突っ走ります！

藤本　そして来年9月には中野サンプラザホールでワンマンフライト！ さらに2019年は、とうとうPASSPO☆結成10周年！

根岸　とにかく続けていくことが大事だと思うんです。そういう意味でも、私たちにとって10周年というのは大きな節目。目標とかモチベーションに関して言うと、10周年を派手に迎えるっていうのが今は一番かな。PASSPO☆はずっと続いていきますよ、北朝鮮からのミサイルが落ちない限りは。

岩村　ちょっと、やめてよー（笑）。

安斉　中野サンプラザホールは9人時代にもやったこともあるんです。だけどそのときはホールに慣れていないこともあって、私たち的にはすごく課題が残るフライトになったんです。次は納得できる内容にしたいし、ソールドアウトにもしたい。リベンジマッチでもあるんです。