この1年半は新たなPASSPO☆を見せるための準備期間

──前回のシングルが2014年8月にリリースされた「向日葵」ということで、およそ1年半ぶりのシングルなんですね。PASSPO☆は結成以来シングルCDのリリースが1年以上空いたことが今までなかったので、クルーにとってもパッセンジャー（ファン）にとっても待望の作品だったんじゃないかと。率直にここまでシングルを出さなかったことについてはどう思ってますか？

玉井杏奈　PASSPO☆としてはこの1年半の間にまこっちゃん（奥仲麻琴）とさこてぃ（槙田紗子）の卒業があったり、PASSPO☆がプロデュースする新ユニットのぷちぱすぽ☆が結成されたりといろんなことが起きすぎて、正直「Mr.Wednesday」を出すって話になったときに「そういえば全然シングルを出してなかった！」って気付いたくらいで。でも新しいことを常に皆さんに届けてこれたと思うから「1年半立ち止まってたな」とはまったく思ってません。本当に気付いたら1年半経っていたって感じです。

藤本有紀美　でも今までは1年のうちに3回くらいはシングルをリリースしてたから「向日葵」を出したあとの冬には「え、出さないの？」ってパッセンジャーから言われました。

根岸愛　シングルは出してませんけど、オリジナルアルバムの「Beef or Chicken?」は昨年5月にリリースしてますし、その中で新曲は何曲か発表しているので曲数自体は増えているんですよ。だからまったく変化がなかったわけではないんですよね。あとはクルーが卒業したことでフォーメーションも新たに組み直さないといけなくなって、全曲の振り付けを修正してました。それがけっこう時間もかかって大変だったので、シングルのリリースがなくてヒマだったってことはないですね。むしろめちゃくちゃ大変だったし、7人体制になってからやっぱり若干お客さんが減っちゃったので、みんなで「がんばろうね」って気合いを入れて地道にやるべきことをやってた時期でした。だから今回、シングルをやっと出せるっていうのはうれしかったんですけど、1年半という期間は新たなPASSPO☆を見せるための準備期間だったのかなって思います。

森詩織　その準備期間中は私たちが昨年打ち出した“アメリカンガールズロック”っていうコンセプトをライブでブレずにやってこれて。自分たちのやりたいことをちゃんと整理できた期間でもあったから、実は私たちとしてはとても有意義な1年半だったんですよ。

──確かに、昨年は新しいPASSPO☆としてのロックを追求してた年だったのかなと思います。そもそもアメリカンガールズロックというコンセプトにたどり着いたのはどういう経緯で？

安斉奈緒美　もともと私たちって結成した頃からそっちの路線ではあったんですよ。初期の楽曲の「GPP」とかモロにアメリカンだと思いますし。

増井みお　PASSPO☆の楽曲ってひと口にロックって言ってもいろいろなタイプがあるじゃないですか。もちろんどれもいい楽曲だと思うんですけど、ちょっとバラバラになり過ぎてるイメージがあって。そんなときに「キャンディー・ルーム」（2013年5月発売の8thシングル）っていうアメリカンガールズロックな曲ができて、初期のPASSPO☆以来のこのアメリカンな感じがやっぱりしっくりきたんですよ。パーティ感のある曲をやってるときが一番楽しいなって気付いて。

根岸　それでみんなで話し合って「やっぱりこういう曲をもっとやりたいよね」ってことになって。

安斉　私たち、湿気のない明るい感じの曲が好きなので、今の7人だったらこっちの路線なんじゃないかって。

玉井　ほかにこの路線でやってるグループも見当たらないしね。

藤本　いろんな顔を見せられるPASSPO☆っていうのもよかったんですけど、私たちのことを知らない人から「PASSPO☆ってどんなグループ？」って聞かれたときに、ハードロックな路線よりもパーティ感のある陽気なアメリカンガールズロックのほうが7人のイメージにぴったりのような気がして。

玉井　そうそう。“PASSPO☆と言えば”っていうのが欲しかった。

──さまざまなロック路線の楽曲をやってきたPASSPO☆も魅力的だったと思うんです。でもこう言ったらなんですけど、とっ散らかっちゃったイメージもあって。

岩村捺未　それです！ とっ散らかっちゃったんですよ！ この6年間で。

一同　あはははは（笑）。

玉井　でも6年間でとっ散らかったからアメリカンな路線がやっぱりいいよねってたどり着いたというか。とっ散らかってることに気付いてなかったら、まだいろいろと模索していたかもしれない。最初の頃の私たちがやってたことが今のPASSPO☆にとってベストなんだと気付けたのはよかったと思います。

──「Mr.Wednesday」で打ち出していることは、実は新しいPASSPO☆ではなく原点回帰であると？

岩村　はい。PASSPO☆を始めた頃の私たちに戻りました。

森　「Let It Go!!」とか初期のナンバーを聴いてもらうとわかりやすいと思います。今打ち出してることは私たちが最初の頃にやっていたものだし、それが今の私たちにとってベストな楽曲だと思ってます。

岩村　元クルーのむっしゅ（佐久間夏帆）も「今のPASSPO☆なら戻りたい！」って言ってるくらいで（笑）。

やりたいことはちゃんと伝えていく

──「Mr.Wednesday」はもうイベントで披露してますけど、パッセンジャーの反応はどうですか？

玉井　同じ路線の「HONEY DISH」をアルバム「Beef or Chicken?」の中で昨年発表したんですけど、パッセンジャーからの人気も上々で、今のPASSPO☆を代表するような楽曲に育ってくれて。そういう下地が2015年のうちにできていたから、「Mr.Wednesday」も初披露のときからパッセンジャーの反応がすごくよかったです。

岩村　事前に告知はしていたけど新曲初披露の日にはパッセンジャーもたくさん駆けつけてくれてうれしかったよね。

根岸　びっくりしました。まさか会場を埋め尽くすほど集まってくれるなんて。

岩村　しかもPASSPO☆の現場に4年ぶりに来ましたとか、けっこうひさしぶりの人もたくさんいて。この日のためにパッセンジャーがみんなで協力して呼びかけてくれたみたいなんです。なんか最近のパッセンジャーってめっちゃ団結力があるんですよ。

安斉　私たち今まで感謝の気持ちをあまり言葉にしてこなかったんですけど、新体制で再スタートするにあたってもっとストレートに言葉にしていかないとダメなんだなって思って。事前告知からたくさん観に来てほしいってストレートにお願いしたこともあって、「Mr.Wednesday」の初披露はたくさんの人が集まってくれたし。だから私たちはやりたいことをみんなにちゃんと伝えていこうって決めたんです。

根岸　昨年末の全国ツアーでもクルーの1人ひとりがフライト（ライブ）の最後に感謝の気持ちを伝えるっていうのをやったんですけど、そういうのは大事だなって。

森　Twitterとかブログに書いたりもしてるけど、やっぱり直接言葉にする機会をうちらは与えられてるんだから、そこでちゃんと言うべきだって気付いたし、伝わり方も全然違いますね。6年やっててやっと気付いた（笑）。