音楽ナタリー Power Push - パスピエ

“永すぎた春”を経て、次のステップへ

パスピエが7月27日にニューシングル「永すぎた春 / ハイパーリアリスト」をリリースした。

今作のリリースタイミングからアーティストビジュアルやミュージックビデオで素顔を明らかにしたパスピエ。昨年末に東京・日本武道館での単独公演を成功させ、1つの節目を迎えた彼女たちは、なぜこのタイミングで素顔を見せることにしたのか。音楽ナタリーでは成田ハネダ(Key)と大胡田なつき(Vo)に顔出しをした理由や新作について話を聞いた。

取材・文 / 宇野維正 撮影 / 後藤壮太郎

顔出しは切り札

──最近、テレビでパスピエが演奏したりしゃべったりしている姿を何度か見かけて。このタイミングから顔出しをするっていうのを知らなかったから、最初はすごく驚きました。

成田ハネダ(Key) どのタイミングからどうやって出していこうかって話は、もう随分前からしてきたことで。そもそも僕らの隠し方って、全部を隠してっていうんじゃなかったし。3rdアルバム「娑婆ラバ」をリリースして、ツアーを回って、最終的に武道館公演(参照:パスピエ、“極めて楽しい”GOKURAKU気分な初武道館)もやれた2015年は僕らにとって節目だったんですよね。そこから、どうやってバンドの活動を展開していくかって考えたときに、そろそろ顔を出していろんなところに出ていってもいいんじゃないかなって。

──特に気負いもなく?

左から成田ハネダ(Key)、大胡田なつき(Vo)。

成田 まあ、それなりに葛藤はありましたよ。顔を出してこなかったパスピエが顔を出すというのは、ある種、切り札的なものでもあったので(笑)。ただ、僕らにとっては、やることは変わらないんですよね。いい曲を作って、毎回いいパフォーマンスをして。メディアの出方に関しては、あくまでもその外側のことですからね。

大胡田なつき(Vo) ミュージックビデオでも、アーティスト写真でも、これまで「顔を隠す」っていう縛りから生まれた表現は、いろいろやり切ることができたなって実感があって。そういう意味で、これからは「顔を出す」ってことから、またアイデアが広がっていくところもあると思うんですよね。と言っても「ここから全部出していきます」っていうんじゃなくて、デザインやアートワーク上の要請に応じて、出すときは出すし、隠すときは隠すしって感じでやっていければいいなって思ってます。

──先ほど、昨年の3枚目のアルバムと武道館公演で1つの節目を迎えたと言ってましたが、いわゆる“ニューカマー”としての季節を抜けた今、やっぱり心構えはけっこう変わってきましたか?

成田 心構えって言っていいのかはわかりませんけど、変わってきた部分はあります。今作「永すぎた春 / ハイパーリアリスト」も、これまでだとシングルでは「よりポップに」とか考えがちだったんですけど、改めて「パスピエの音楽はこれだ」って言える作品にしたかったんです。今は、これまでのファンにも、新しいファンにも、ここでもう一度自己紹介をするような気持ちでいて。もちろん反響は気にはなりますけど、内側から満足がこみ上げてくるような、そういう作品になりましたね。

ニューシングル「永すぎた春 / ハイパーリアリスト」 / 2016年7月27日発売 / unBORDE
「永すぎた春 / ハイパーリアリスト」
初回限定盤 [CD] 1200円 / WPCL-12400
通常盤 [CD] 1080円 / WPCL-12401
収録曲
  1. 永すぎた春
  2. ハイパーリアリスト
  3. REM
  4. 今日も雨
パスピエ
パスピエ

2009年に成田ハネダ(Key)を中心に結成。メンバーは大胡田なつき(Vo)、成田、三澤勝洸(G)、露崎義邦(B)、やおたくや(Dr)の5名。都内を中心にライブを行い、2010年3月に自主制作盤「ブンシンノジュツ」をライブ会場限定で発表。2011年に1stミニアルバム「わたし開花したわ」、2012年に2ndミニアルバム「ONOMIMONO」をリリースし、卓越した音楽理論とテクニック、ポップセンスで音楽ファンの話題をさらう。2013年3月に初のシングル「フィーバー」、6月にメジャー1stフルアルバム「演出家出演」、2014年6月に「幕の内ISM」と続々と作品を発表し、数々の大型ロックフェスに出演。2015年は9月にアルバム「娑婆ラバ」をリリースしたあと全国ツアーを行い、12月に初の日本武道館単独公演を成功に収めた。2016年4月に初の映像作品DVD「Live at 日本武道館 “GOKURAKU”」を発表。7月発売のシングル「永すぎた春 / ハイパーリアリスト」のタイミングで、これまで隠していた素顔を明らかにした。