OWV|唯一無二の色を紐解く、1stアルバム「CHASER」全曲解説インタビュー

08
Question

──「Roar」のようにギラついていて、まっすぐに道を突き進む意思が反映された曲をOWVの王道とするなら、アルバムの8曲目の「Question」はまた新しい一面を見せるような曲です。陰りのあるようなR&B色の濃いトラックはもちろん、自分に問いかけながら進んでいく歌詞の内容にも驚きました。

浦野 そうですよね!

中川 僕らも新鮮でした。

本田康祐

本田 今までOWVは王道のR&Bみたいな曲をあえてやってこなかったんです。デビュー1年目はまずOWVの色を濃いものにしたいという思いがあり。それでシングルではちょっとトライしづらかったんですけど、アルバムに自分たちを見つめ直すようなエモーショナルな曲を入れて、1枚の中で緩急が付けられたらいいんじゃないかと思ったんです。「僕たち、こういう曲もやれるよ」という投げかけでもあったりして。

──レコーディングではどのようなことを考えながら歌いましたか?

佐野 これまでOWVは前だけを見て、がむしゃらに泥臭く強気で挑んでいくような曲を歌ってきましたが、この曲では僕たちの軌跡をしっかりたどっていて。僕たちにはオーディション番組に出て、落ちて、そこからグループを組んでスタートしているという独特の背景がある。その道をこのタイミングでもう1回見つめ直しています。当時の感情や選択肢、その時々の葛藤、あとはコロナ禍で思うようにいかなかった去年のことを思い出しながら、「絶対に負けないぞ」という強い意志を込めて歌いました。過去をもう1回振り返ったうえで、自分が選んだ道は間違っていないし、このグループでテッペンを目指すぞ!という曲です。

本田 再確認だよね。

中川 人間って完璧な人はいないから、迷いや葛藤を見せることによって、OWVとしての魅力ももっと深いものになったんじゃないかなというふうに感じました。

──確かに等身大で、人間っぽさを感じる曲ですね。リスナーの方々も自分の感情に重ね合わせることができるような曲なんじゃないでしょうか。

本田 そうですね。

中川 葛藤しながらも、最後はあきらめずに突き進んでいく内容になっているので、落ち込んでいるときに聴いていただけたら感じるものがあるんじゃないかなと思います。

──こういったエモーショナルな雰囲気のある曲だからこそ、OWVの歌の表現の深さをより感じました。この1年を通して、皆さんそれぞれ歌の表現というところに関してかなり手応えがあるんじゃないかなと思うんですが、いかがでしょうか?

本田 それはあります。根本的に音楽の知識がついていることが一番大きいのかなと。

佐野 歌声に個性が出るようになったなと思いますね。

浦野 僕はメインボーカルという立場でもあるし、やっぱり歌には力を入れていかなきゃいけないと思っていて。この3人から吸収したり、今まであんまり聴かなかった洋楽を聴くようにしたりして、音楽の幅をどんどん広げていけるように努力しています。

──初ワンマンで披露された「Scattered」での浦野さんのアカペラ、すごかったですね。

浦野 ありがとうございます。あれは1つの挑戦だったんですけど、僕としては課題も見つかったので、どんどんそういう機会を増やして技術的な面でもメンタル的な面でも強くなっていきたいです。

──中川さんは「UBA UBA」の取材で「もともとボーカルがやりたくてこの世界を目指した」とおっしゃっていましたが、その後もがっつりボーカルラインを担当していますね。

中川 OWVとしてボーカルラインのチャンスをもらって、今こうやってパートをいただけていることがめちゃくちゃうれしくて。もっと勉強しようと思うし、自分の声について研究したい。「よりよい曲をQWVの皆さんに届けられるように」という思いでやってきて、1年ですごく成長できたなと思います。

09
PARTY

──「Question」のシリアスな雰囲気から一転して、「PARTY」はポップなEDMチューンです。これはライブを想定して作った曲ですよね?

中川 はい。わかりやすいですよね(笑)。

浦野 「派手にやる準備はAlright?」って言ってますもん。「Question」で過去を1回見つめ直したうえで、悩みが解決したということですよね。「PARTY」は「そのまま行こうぜ!」というポジティブな曲だから。

──「PARTY」はライブで聴きたい楽曲のファン投票で2位ということで、まさにライブでそういう役割を果たしているという。

中川 よくできた子です。

浦野 この曲も、好きでいてくれてるファンの方が多いイメージがありますね。

本田 「PARTY」にはいろいろと気付かせてもらいました。こういう曲があると、こんなにもライブの幅が広がるんだなって。差し色みたいなものをもたらしてくれる曲だなと思います。戦隊ものでいうとシルバーみたいな。僕の中では新鮮な曲だったし、ライブでやっていて楽しいです。

浦野 ファンの方々とライブで楽しめる曲でありながら、OWVでちょっと会話をしている感じもある曲なんですよね。例えば「何時だろうと関係無い 繰り出そうぜ Go outside」とか、「こんな風にして何年先 笑ってようぜ Side by side」とか。OWVで楽しく、おじいちゃんになっても笑い合っていようねという内容にも取れる曲なので、歌っていて本当に気分が上がる曲です。

佐野文哉

──「PARTY」と「What you waitin' for」で“OWVのEDM”が確立されているような感じがして。これも1つのOWVの色になっているように思います。

本田 そうですね。

佐野 ただ、この色は……今はペンで丸を書いたところなんですよ。

──というと?

佐野 まだ、丸の中は塗っていない。枠が完成したところなんです。

──OWVのEDMはまだまだ奥が深いということですね。

浦野 ふふふ。これからのOWVのEDMを楽しみにしていてほしいです。

本田 僕らの中でも「OWVのEDMってどういう感じ?」という話をよくしたりするので。今はまだ内緒ですけど(笑)。

中川 ひと言で言うと、飽きさせません! 期待していてください。

10
Fifth Season

──そして最後に温かなミディアムバラード「Fifth Season」が来ます。「Fifth Season」といえば、結成1周年記念日に行われた1stライブのラスト、この曲を披露する前の本田さんのMCもすごく印象的でした。これまでの1年を振り返って、「これからも春夏秋冬、どうかOWVと一緒によろしくお願いします」と(参照:OWVが結成1周年記念日に初ワンマン、2度目の春を経てさらなる未来へ)。

浦野 あれはどういう気持ちで言ったんですか?

佐野 もう1回今言ってみます?

本田 いや、もう言えないです(笑)。

浦野 そんなスラスラ言えたら、台本あるみたいだから(笑)。

本田 でもそのときは、コロナ禍でなかなか会えなくても結成から1年間応援してくれたQWVのみんなとの今の空間を“5つ目の季節”と例えて思いを話させてもらいました。僕たちにとってこの曲はQWVのみんなへのメッセージソングで、すごく思い入れのある曲なんですが、心に染みる言葉がたくさん入っているので、聴いてくださった方々が自分の日常に重ね合わせられる曲なんじゃないかなとも思っていて。皆さんそれぞれの思い入れを持ってもらえたら、僕はすごくうれしいです。

──歌詞には「薄紅の花が咲き⻘い鳥は歌う 懐かしい風が吹き三日月に酔う」と花鳥風月が入っていたり、全体的に日本の四季の景色を感じます。メンバーカラーも入っていて。

浦野 そうですね。サビは「手を繋ぐ桜道」だったり「花火に浴衣の君」だったり、わかりやすくデートしてる感じがあって。手を取り合って進んでいこうという曲になっています。

佐野 僕たちは世間から見たら、J-POPとK-POPの絶妙なラインにいると思うんです。でも、僕たちとしてはどっちを目指しているわけでもなく、「いいものだから取り入れていきたい」というスタンスなので、ここで日本の四季を歌えたのもよかったなって。ジャンルにとらわれていない感じが、僕たちが目指している唯一無二の音楽につながっていくんじゃないかなと思っています。

──OWVのこれまでとこれからが詰まったミディアムバラードでアルバムが締めくくられるのは素敵ですね。

浦野 本当にアルバムの最後にふさわしい曲だと思います。

中川 あったかい感じがあるね。

佐野 OWVはバラードやミディアムバラードがそんなに多くはないんです。でも、この曲でも変わらず僕たちの前向きな姿勢やメッセージを届けることができている気がして。「僕たちがこれからもずっと大きな愛でみんなのことを包んで幸せにするよ」というメッセージも込められている楽曲なので、OWVの軸をミディアムバラードでもブレずに表現できているなと感じます。

──QWVの皆さんへのメッセージソングとして作ったということですが、側から見ていてもOWVのファンの方々って本当に素敵だなと思っていて。ナタリーは特にグッズ展開もさせてもらっているので、ありがたいことにQWVの皆さんからSNSなどを通してお礼の言葉をいただく機会も多いんです。OWVってすごく愛されてるんだなと外の人間が強く感じるくらいなので、中にいる4人はきっとその愛をものすごく感じているんじゃないかなと。

浦野 本当にそうです。感じているし、感じるからこそもっといい音楽を届けたいなという気持ちがどんどん強くなっています。

佐野 僕たちはオーディション番組の練習生というポジションからデビューして、ありがたいことにそのときから今までずっと応援して支えてくれている方々がたくさんいてくださるんです。ずっと僕たちの成長過程を見てきてくださって。だからこそ僕たちが表に出たとき、「大丈夫かな、がんばって」と我が子を見守るように心配させてしまうこともあったと思うんですけど、これからは皆さんが不安になることなく、自信を持って「これがOWVだ!」という気持ちになれるようなグループになっていきたいです。

浦野 うん。みんなが周りに自慢しても恥ずかしくないようなグループでありたいよね。

──結成から1年半、デビューから1年が経ち、今まさに5番目より先の季節を歩いているところだと思うんですが、2年目はどういうふうに過ごしていきたいですか?

本田 1年目は右も左もわからないことが多かったんですが、そんな中で僕たちなりにいろんな意見を出し合って、OWVのビジョンがすごく明確に見えてきたなと。2年目はそれを生かしてステップアップをしていく年になると思いますし、皆さんには期待してついてきてもらえたらうれしいです。ついてきてもらえたら、そのぶんだけ幸せにしますよということだけは言いたいですね。

OWV

浦野 期待を上回っていくのはもちろんプレッシャーではあるんですけど、そのプレッシャーに打ち勝って、QWVの期待をいい意味でずっと裏切っていけるようなOWVでありたい。ひと言で言うと、OWVは本当にQWVのことが大好きです!ということです。

中川 僕はどういうアーティストが人を魅了できるのかなと思ったときに、自分がずっと憧れてきた方々を考えると、人間性が大事なんじゃないかなって。その人からにじみ出る魅力があるかどうか。僕は次の1年活動していくうえで、人間としてもっと魅力的になれるようにがんばっていきたいです。それがOWVのステップアップにもつながるんじゃないかなと思っています。

佐野 僕はこの1年間活動してきた中でも、新しいボーイズグループがどんどん生まれているのを感じていて。

本田 そうね。

浦野 戦国時代ですから。

佐野 オーディション番組出身という肩書きも、特別な肩書きではない世の中になってきています。それは僕たちと同じく夢を追ってる方々がチャレンジする機会が増えてきているということなので、とてもいいこと。いい意味でライバル意識を持って、手を取り合って、2年目以降もこの世代のシーンを盛り上げていけたらいいなと思います。

10
ReiNa(コレオグラファー)
ReiNa(コレオグラファー)
  • My flow(コレオ)
  • Get Away(コレオ)

OWVの印象

一人一人それぞれのカラーがあって、個性あるグループだなと感じました! 振り落としの時は、4人とも積極的に質問してきたりなど一生懸命な姿勢が素晴らしいなと思いました。

コレオ制作でイメージしたこと、こだわったポイント

「My flow」は、力強い、パワーのあるエネルギッシュな振り付けにしました!
また、その力強さの中にも抜きや、ノリを入れることで1曲の中で緩急のある、波があるダンスにしました!

「Get Away」は爽やかな夏をイメージして作りました! 特にサビの振りがお気に入りで、ファンの皆さんやお友達、みんなが一緒に楽しめるような振り付けにしました!

Show-hey(コレオグラファー)
Show-hey(コレオグラファー)
  • PARTY(コレオ)

OWVの印象

本当に4人とも個性があって困っちゃいます。
可愛いとかっこいいと、真面目とコミカルの共存しているのが成り立つ4人の関係性や、振り付けや楽曲によってしっかりと魅せるパフォーマンスに昇華させていけるチーム力が凄いなと思いました。
シンプルに表現力の幅が広いなと。
そしてイケメン。
これはズルい。

コレオ制作でイメージしたこと、こだわったポイント

まず全体を通して、絡み合う感じもあり、それぞれが楽しんでる感じを出す事をイメージしました。
そして、PARTYを主催する4人組が集まったり離れたりしてみんなを楽しませて遊んでる感じを形にしていき、サビの部分では、激しい振りの中にグルーヴ感とキャッチーさを取り入れて、よりPARTY感と4人の主役感を出すようにしました。
冒頭に4人で作るPARTYの文字もお気に入りです。

Lauren Kaori(作詞家)
Lauren Kaori(作詞家)
  • Roar(作詞)
  • Get Away(作詞)

OWVの印象

王子感とBoy Next Door感が兼ね備わっているOWVはカッコいいのはもちろんのこと、なんだか寄り添ってくれているような愛情をメンバーのみなさんから感じます。それぞれの声やダンス、パーソナリティもステキで、自然と応援したくなる魅力を持っているグループだと思います。

作詞でイメージしたこと、こだわったポイント

どちらの曲も言葉を音として捉えた時にスムーズに流れてくれるワードチョイスを意識しました。「Roar」では4人だから表現できるそれぞれ違うことの尊さや高みを目指し続ける熱い思いを盛り込みました。「Get Away」は悩みを忘れさせてくれるような明るさで、先が見えないこの状況でも肩の荷を下ろし楽しむことができるんだと気づかせてくれるような内容になったと思います。

ツアー情報

OWV LIVE TOUR 2021 -CHASER-
  • 2021年11月7日(日) 大阪府 Zepp Namba(OSAKA) [第1部]OWV Talk & LIVE OPEN 14:30 / START 15:15 [第2部]OWV Live Stage OPEN 17:30 / START 18:15
  • 2021年11月14日(日) 宮城県 SENDAI GIGS [第1部]OWV Talk & LIVE OPEN 14:30 / START 15:15 [第2部]OWV Live Stage OPEN 17:30 / START 18:15
  • 2021年11月27日(土) 神奈川県 KT Zepp Yokohama [第1部]OWV Talk & LIVE OPEN 14:30 / START 15:15 [第2部]OWV Live Stage OPEN 17:30 / START 18:15
  • 2021年12月5日(日) 福岡県 Zepp Fukuoka [第1部]OWV Talk & LIVE OPEN 14:30 / START 15:15 [第2部]OWV Live Stage OPEN 17:30 / START 18:15
OWV(オウブ)
OWV
2019年に行われたオーディション番組「PRODUCE 101 JAPAN」に出演した元練習生の本田康祐、中川勝就、浦野秀太、佐野文哉の4名によって結成されたボーイズグループ。グループ名は「Our only Way to get Victory ~勝利を掴む僕たちだけの道~」というメンバーの思いが由来となっている。2020年4月にグループを結成し、9月に1stシングル「UBA UBA」でデビュー。2021年1月に2ndシングル「Ready Set Go」、3月に3rdシングル「Roar」をリリースした。結成1周年を迎えた4月に初のワンマンライブ「OWV 1st Anniversary Talk & Live “AWAKE”」を開催。7月に4thシングル「Get Away」をリリースし、10月に1stアルバム「CHASER」を発表した。11月より全国4カ所を回るライブツアー「OWV LIVE TOUR 2021 -CHASER-」を開催予定。ダンス、ボーカル、ラップにおいて高いスキルを持ち、テンポのいいトークにも定評がある。