ナタリー PowerPush - ONE OK ROCK
熱狂の横アリ&ツアーを振り返る
ONE OK ROCKは昨年10月に5thアルバム「残響リファレンス」を発表後、11都市14公演におよぶレコ発ツアーで全国各地のライブハウスを盛り上げた。その手応えを持って、今年1月21日・22日に臨んだ横浜アリーナ2DAYS公演「ONE OK ROCK 2011-2012“残響リファレンス”TOUR~YOKOHAMA ARENA SPECIAL FINAL~」。2日間で2万4000人のファンが彼らの全身全霊のパフォーマンスに熱狂した。
今回、このライブの模様と全国ツアーのドキュメンタリーがDVD / Blu-ray化。ナタリーではメンバー全員にインタビューを行い、今作の裏話をはじめ、4人の関係性や、今のONE OK ROCKの強みと課題を訊いてみた。
取材・文 / 鳴田麻未
ドキュメンタリーはツアーの楽しさが詰まった良い内容
──今回のDVD / Blu-rayでは、横浜アリーナでのライブの模様と「ONE OK ROCK 2011-2012“残響リファレンス”TOUR」のドキュメンタリーが楽しめますね。まずはこの作品の感想と見どころを教えてください。
Taka(Vo) ライブDVDはこれまでに2枚出してるんですけど、今回、個人的にはこのタイミングでドキュメンタリー映像を入れられたことがすごくうれしくて。っていうのも、やっとバンドとして固まってきた今のツアーの裏側を作品にできて、僕らのリアルな感じが出せたかなって。横浜アリーナでのちょっと緊張してる自分たちとまた違った一面が観られるので、撮って良かったなって思ってます。
Toru(G) ドキュメンタリーは、俺らも観てて単純に面白いなって思いました。ほかの人はどう思うかわからないけど、笑って楽しんでもらえたらいいですね。ライブ本編は、観て改めてそのときの緊張感を思い出しました。
──当日は緊張されてたんですか?
Toru そうですね。ストリングスのアレンジだったり、新しいことに挑戦した部分もあったし。でも横浜アリーナのステージに立てるっていう喜びもあったし、バンドの通過点として精一杯やり切らないといけないライブでもありました。だからただ緊張したというより、しっかりと緊張感を持って臨んだライブでしたね。
──Ryotaさんはどうでした?
Ryota(B) 普段、ライブでもインタビューでも俺とTomoyaの2人はそんなに喋らないんで、クールだと思ってた人はこのドキュメンタリーを観たらビックリするのかな(笑)。今回のツアーは俺ら自身も本当に楽しかったんで、その楽しさが前面に出た映像になってます。地方の公演の様子も入ってるんですけど、各地で盛り上がりも違うんで、そういうのも楽しんでもらえたらいいかな。横浜アリーナでのライブは、ずっと立ちたかった場所っていうのもあって、すごく楽しかったです。でも改めて映像を観たら課題もありつつ。徐々にステップアップしていきたいなと思いました。
Tomoya(Dr) 俺も、この作品はツアーの楽しさがギュッと詰まった良い内容だなって思いました。ライブは、本番のことはあんまり覚えてないんですけど、改めて客観的に観てみたらいろんな課題が出てきて、これからクリアしていかないと、みたいな。そういう意味でも今の俺らがそのまま映像として作品になったなっていう感じです。
2万4000人にどんなことを伝えられるんだろう
──ここからはONE OK ROCKのライブに対する姿勢について聞かせてください。バンド史上最大規模となった横浜アリーナ公演は、どんな目的を持って行われたんでしょうか。
Taka 僕らは常に一生懸命やるっていうスタンスでライブをしてて、それは横浜アリーナでも変わらなかったです。でも正直、1万2000人、2日間で2万4000人を前にして、どんなことを伝えられるんだろうって考えたとき、とても1つには絞れないんですよ。ひとつの言葉をテーマにすると、そのテーマに当てはまる人が2万4000人の中に何人いるんだって話になるんですよね。
──はい。
Taka だからやっぱり僕らにできることは、一生懸命やって、言葉だけではなく、自分たちの内側から出るパワー、いわゆる音楽の力っていうのをしっかりと見せること。それによって来てくれた人の明日が変わってく、みたいなことができればと思っていました。僕らが会場にいる全員を100%勇気付けることはできないけど、やっぱり同じ空間にいる以上は僕らの一生懸命やってる姿が伝わって、その人の何かに生かしてもらえればいいなって思うんですよね。
──それまでツアーで回ってきたライブハウス公演とは、やっていて感触も違いました?
Taka やっぱり大きな会場は、ライブハウスと違ってお客さんとの距離も遠いし、届いてるかどうか不安になるんですよね。だからアルバム「残響リファレンス」は、最初に「座ってても立ってても暴れててもしっかり届くような曲」をテーマとして掲げて、まさに横浜アリーナでのライブを前提としたアルバム作りをしたんです。そういう意味で横浜アリーナ公演とそのほかの公演は別物というか。
──確かに「残響リファレンス」のリリース時、TakaさんやToruさんは「遠くまで届くようなサウンドを意識した」とおっしゃっていましたね。実際に会場で音を鳴らしてみて、手応えは感じられましたか?
Toru もちろん遠くのほうは見えづらいし、演奏中はなかなか実感できない部分もあったんですけど、アンコールで客席が明るくなって、冷静に全体を見たときに、100%じゃないけど後ろのほうまで届いたのかなって実感が湧きましたね。さらに改めて映像で観たら、みんなすごく楽しんでくれたのかなとも思えました。
収録内容
Disc1
- LOST AND FOUND
- 皆無
- 未完成交響曲
- じぶんROCK
- Re:make
- 世間知らずの宇宙飛行士
- Mr.現代Speaker
- アンサイズニア
- カゲロウ
- Wherever you are
- エトセトラ
- カラス
- Pierce
- C.h.a.o.s.m.y.t.h.
- Liar
- Let’s take it someday
- Rock,Scissors,Paper
- NO SCARED
- 恋ノアイボウ心ノクピド
- 完全感覚Dreamer
- Nobody’s Home
- キミシダイ列車
Disc2
- Tour Documentary
ONE OK ROCK(わんおくろっく)
Taka(Vo)、Toru(G)、Ryota(B)、Tomoya(Dr)の4人からなるロックバンド。2005年に結成され、エモ、ロック、メタルの要素を取り入れた骨太なサウンド、激しく熱いライブパフォーマンスで若い世代を中心に支持を集める。2007年4月に1stシングル「内秘心書」を、同年11月に1stアルバム「ゼイタクビョウ」を発表。その後も次々と楽曲を発表し、ファンを獲得していく。そして、2010年6月にアルバム「Nicheシンドローム」を発表、11月には全国ツアーの一環で初の日本武道館公演を実施する。さらに2012年1月には、5thアルバム「残響リファレンス」を携えたツアーのファイナルとして横浜アリーナ2DAYS公演を大成功に収めた。同年5月には、この横浜アリーナ公演の模様を収めたDVD / Blu-ray「“残響リファレンス”TOUR in YOKOHAMA ARENA」をリリース。