音楽ナタリー PowerPush - OKAMOTO'S

プレス担当ハマ・オカモトが“渾身の力作”をプレゼン

岸田繁が示した新機軸

──要は、OKAMOTO'Sが提唱したいことを1つの塊にして、それをもっと際立たせたほうが絶対にカッコいいじゃんということだと思うんですよね。

OKAMOTO'S

そう。歌詞の中に「ローリングストーンズが最高ってことになんで みんな気づかないんだろう?」というフレーズが出てきますけど、僕はそういう描写に対しては昔から否定的なスタンスだったんです。

──固有名詞が登場するような。

そうです。「別にそれは言わなくてよくない?」というスタンスで。あの歌詞はコウキが書いたんですけど、最初に上がってきたときも僕は「うーん……」という感じだったんですよ。ただ、そこも岸田さんが「いや、ハッキリ言ったほうがいいよ」と。僕は歌詞に関してはあまりアイデンティティがなくて、単純に聴いた響きで意見するのが自分の役割だと思ってるんですね。今回は言いたいことをハッキリ書いたほうがいいという意見にもなるほどなと思えましたし。

──アレンジにはくるりの最新アルバム「THE PIER」にも通じるような岸田氏ならではのアイデアが入ってますね。

そうなんです。そもそも完成したベーシックトラック自体もかなりよかったんですけど、岸田さんが「ここから俺がさらに壊すから」って言って(笑)。夜中の3時すぎまで1人で作業してくれたんです。

──そこでストリングスも含めてさらにいろんな音が加わっていった。

そう。歌録りのときに完成したアレンジを聴いたんですけど、メンバーは一様に興奮していましたね。「何これ!?」って。

──「Me」はOKAMOTO'Sのパブリックイメージを超えるロックアンセムでもあり、未体験のポップミュージックとしての刺激にも満ちている。だからこそ、「Me」のアンサーとして4人で「You」をブラッシュアップしようってなったんだろうし。

そうです。岸田さんに「You」の要素をバッサリ切られて、半ば一度あきらめた曲でもあったので。さらに、「Me」と「You」を聴き比べてもらうことで、岸田繁プロデュースではこうなって、4人で作るとこうなるという対比を見せられたらシングルのパッケージとしても面白いと思ったんですよ。ちなみに「You」の間奏は「Me」を作ってから出てきたアイデアで、あれは完全にThe Whoのエッセンスなんですよね。そこで派生する話があって。「Me」が生まれたときにショウから「この曲は次のアルバムのテーマソングであり、エンディングも担えるね」と。

来たるニューアルバムの展望

──次のアルバムはロックオペラのような性格を持ったコンセプチュアルな作品になりそうだと。で、ロックオペラと言えばThe Whoの「Tommy」を連想するという話の流れですよね。

まさに。「Me」がアルバムのエンディングだとしたら、「You」をプロローグにしようと。「You」で始まって「Me」で終わるという構成が一気に固まって。ロックオペラというとよくわからない人もいるかもしれないけど、簡単に言えば一貫した1つのストーリーの世界をアルバム1枚で表現するということです。

──かつストーリーという1本の線があれば、音楽的にもきっといろんなアプローチができますよね。

そうなんですよ。ロックオペラのようなコンセプトを持ったアルバムを作れば、リスナーもストンと腑に落ちると思ったんです。僕らがいろんなタイプの楽曲をやる大きな理由になる。ようやく自分たちが体現してきたパフォーマンスがきちんとアルバムにハマるのかなと思ってます。それは、一辺倒な音楽をやっているバンドにはできないことなので。

OKAMOTO'Sは圧倒的なロックバンド

──改めて、今作は重要なシングルになりましたね。

ハマ・オカモト(B)

うん、本当に。これは僕の個人的な思いではありますけど、自分たちの作品としては過去最高のクオリティの楽曲ができたなって。特に「Me」はヘタしたら、ライブでは100%再現することは難しいかもしれないけど、逆に言えばそれくらいの楽曲ができたことにものすごく手応えがあって。OKAMOTO'Sがずっとやってきたサビの連呼系の曲の最終形態ができたなと(笑)。

──確かにサビでワンフレーズを連呼してる曲が多いですよね(笑)。

そう、自分たちでも無自覚だったんですけど。でも、今までやってきたことが報われたなと思います。OKAMOTO'Sが圧倒的なロックバンドであることを示すシングルになりました。これは言い切れます。

──まずはリスナーの反応が楽しみですね。

聴いてもらえれば「すげえ!」と感じてもらえると思います。しかも今まで僕らが作った曲の中で一番共感性もあると思うんですよ。だから、このシングルを聴いて嫌いだと思ったら、嫌いでいい。それくらいの自信がありますし、ぜひこのシングルでOKAMOTO'Sを判断してほしいです。

ニューシングル「Dance With Me / Dance With You」 / 2015年6月17日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤 [CD+DVD] / 1500円 / BVCL-656~7
通常盤 [CD] / 1200円 / BVCL-658
CD収録曲
  1. Dance With Me
  2. Dance With You
  3. ZEROMAN(Single ver.)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「Dance With Me」レコーディング・ドキュメンタリー映像
OKAMOTO'S(オカモトズ)

OKAMOTO'S

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎に由来する。抜群の演奏力とアグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、2010年3月にはアメリカのショーケースイベント「SXSW」に出演。続けて行った全米ツアーでも高い評価を受けた。次世代のロックシーンを担うホープとして注目を集める中、2010年5月に1stアルバム「10'S」でメジャーデビュー。2011年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '11」に初出演を果たし、10月には初のアジアツアーを開催した。2014年は8月にRIP SLYME、奥田民生らを迎えてコラボレーションアルバム「VXV」をリリースし、秋にアニバーサリーライブツアーを実施。2015年3月には初の映像作品「OKAMOTO'S 5th Anniversary HAPPY! BIRTHDAY! PARTY! TOUR! FINAL @ 日比谷野外大音楽堂」を発表。6月には岸田繁(くるり)のプロデュース曲「Dance With Me」と、「カップヌードル」CMソングの「Dance With You」を収録した両A面シングルをリリースする。