音楽ナタリー PowerPush - OKAMOTO'S

プレス担当ハマ・オカモトが“渾身の力作”をプレゼン

ジャケットへのこだわり

──ジャケットもかなりインパクトがありますね。洋楽の国内盤7inchアナログレコードを模していて。

最高ですよね、これ。あとで詳しく話しますけど、「Dance With Me」と「Dance With You」はこれから制作するニューアルバムの軸になる2曲で。アルバムはストーリー性のある内容にしたいと思ってるんですね。今はまだそのストーリーのアウトラインが浮かんでるくらいの段階ですけど、このジャケットが上がってきたときに「この男は完全にストーリーの主人公像にピッタリだね!」とメンバーみんなで盛り上がりましたね。ジャケットデザインを手がけてくださった菅谷(晋一)さんが曲の内容を絶妙に汲み取ってくれた結果がこういう作品になったと思うんです。

──ええ。

7inchのサイズ感も含めて、すべてがうまくハマったなと。今回は本当のレコードをリリースするわけではないですが、僕らはデビューしてからずっとアナログを切りたいと言い続けていて。そろそろそれに決着を付けたいなと思ってるんですよ(笑)。このジャケットがその布石にもなったらいいなって。

──「Dance With Me / Dance With You」は今までクリエイトしてきたOKAMOTO'Sのロックの範ちゅうやリスナーの想像を飛び越えるようなインパクトのある2曲で。くるりの岸田繁氏をプロデューサーに迎えた「Me」に特別な感触を覚えたからこそ、メンバー4人だけで「You」を完成させるためにシングルのリリースを延期したこと(参照:OKAMOTO'S「アイデア実現のため」ニューシングル発売延期)もあると思う。

そうですね。

──「Me」はどのように生まれたんですか?

まず、4人で作ったデモ……それは「You」の原型でもあるんですけど、その作品のプロデュースを岸田さんにお願いすることになりまして、その音源を岸田さんに聴いてもらったんです。岸田さんも忙しい人ですから、スケジュールに余裕のない中での制作だったんですけど。最初に「You」の原型を聴いてもらったときに岸田さんから言われたのが、「この曲で何を聴かせたいのかわからんし、歌詞の言葉もうまくハマってないから、どうしたらいいかわからない」と。

「踊りに合わせて演奏してみて」

──言わばダメ出しから始まった。

OKAMOTO'S

そう、ニュアンス的にはダメ出しから始まりましたね。そこから「You」にあるコード進行や、四つ打ちのリズム、テンポ感、打ち込みの要素などを岸田さんが全部削って、サウンドの勢いを抑えたより原始的な方向にしていったんです。一緒にスタジオに入って、岸田さんが僕らの前で踊り始めて(笑)。「俺が踊ってる感じに合わせて演奏してみて」と指揮者のような感じで原型を崩していったんですね。そういう楽しい作業を数時間続けて。でも、次に岸田さんに会うときにはもうレコーディングしなきゃいけないスケジュールでしたし、そこで完成図が見えたという空気にはまったくならなかった。それで、初日の作業が終わったあとに岸田さんとメンバーの5人で餃子屋に行って遅くまで話し合って、さらに5人でLINEのグループまで組んで。その中で「どうする?」ってなったときに岸田さんから「4人で歌詞を書いたほうがいい。歌詞になってなくてもいいから4人が思ってることを自由に書いて送ってほしい」という提案をもらったんです。そこからLINEのやりとりなどを経て選ばれたフレーズが「Me」のド頭の語りの部分で1つにまとまったんです。

──あそこのポエトリーリーディング調のセクションに今のOKAMOTO'Sが訴えたいこと、そしてこの曲で提示したいことの源泉が生々しい筆致で凝縮されていて。

そうですね。基本的にショウが語っている中で、途中でサイドMC的にボーカルがダブルになって、3人のメンバーそれぞれの声が重なるんですけど、あの部分はその歌詞を書いたメンバーの声が重なってるんです。岸田さんが最初に「この曲で何を聴かせたいのかようわからん」と言ったのは、4人の統一した思いが感じられなかったということなんですよね。僕らはそれを考えてるつもりだったけど、しっかり自覚できていなかった。あのド頭の語りの歌詞を4人で書かせることで、それを確認させたかったんだと思います。実際にあの部分ができたときに曲のテーマがハッキリ定まった感触がありましたし。結果的に岸田さんから「今までOKAMOTO'Sの歌詞をいいと思ったことはなかったけど、今回初めていいと思った」という言葉も聞けて。

ニューシングル「Dance With Me / Dance With You」 / 2015年6月17日発売 / アリオラジャパン
初回限定盤 [CD+DVD] / 1500円 / BVCL-656~7
通常盤 [CD] / 1200円 / BVCL-658
CD収録曲
  1. Dance With Me
  2. Dance With You
  3. ZEROMAN(Single ver.)
初回限定盤DVD収録内容
  • 「Dance With Me」レコーディング・ドキュメンタリー映像
OKAMOTO'S(オカモトズ)

OKAMOTO'S

オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎に由来する。抜群の演奏力とアグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、2010年3月にはアメリカのショーケースイベント「SXSW」に出演。続けて行った全米ツアーでも高い評価を受けた。次世代のロックシーンを担うホープとして注目を集める中、2010年5月に1stアルバム「10'S」でメジャーデビュー。2011年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '11」に初出演を果たし、10月には初のアジアツアーを開催した。2014年は8月にRIP SLYME、奥田民生らを迎えてコラボレーションアルバム「VXV」をリリースし、秋にアニバーサリーライブツアーを実施。2015年3月には初の映像作品「OKAMOTO'S 5th Anniversary HAPPY! BIRTHDAY! PARTY! TOUR! FINAL @ 日比谷野外大音楽堂」を発表。6月には岸田繁(くるり)のプロデュース曲「Dance With Me」と、「カップヌードル」CMソングの「Dance With You」を収録した両A面シングルをリリースする。