音楽ナタリー PowerPush -OKAMOTO'S
俺らにしかできない5組コラボと5周年
今年CDデビュー5周年を迎えたOKAMOTO'Sが、5組のアーティストとのコラボ曲を収めた“5.5thアルバム”「VXV」(ファイブバイファイブ)をリリースした。この作品で彼らと共演したのは、RIP SLYME、東京スカパラダイスオーケストラ、ROY(THE BAWDIES)、奥田民生、黒猫チェルシーという個性の強い男性アーティストたち。このラインナップがOKAMOTO'Sの豊かな音楽性を物語っているとも言える。
今回のインタビューでは収録曲すべてに触れ、メンバー4人にコラボアーティストへの思いや制作エピソードを聞いた。また、5年間の活動で得たもの、今のバンドの姿勢についても語ってもらった。
取材・文 / 鳴田麻未 撮影 / 上山陽介
確実にいい方向に向かってる
──新作の話題の前に、今年1月のアルバム「Let It V」リリース以降のOKAMOTO'Sについて少し聞かせてください。あのアルバムは、皆さんにとってもファンにとっても、OKAMOTO'Sの世間的な評価においても大きな作品になったと思うので。ライブで「Let It V」の曲たちを演奏しているのを観てそう確信しました。
オカモトショウ(Vo) そうですね。なりました、確実に。それはリリース後のツアーで証明されたと思います。ちゃんと動員が増えたということはうれしかったし、来てくれた人たちの熱量も違って、今までのツアーと比べて格段に盛り上がるツアーになったので。自分たちの1個の土台ができたような気がするというか。
──世間的に自分たちの見られ方は変わったと思います?
ショウ どう?
オカモトコウキ(G) より巻き込めてるなとは思います。世に出た頃は、10代でものすごくコアなルーツミュージックをやっているバンドっていう見られ方をすることが多くて。でもこの間のツアーでも同世代だったり、男性のお客さんが増えたし、対等な立場で巻き込めてるというか。それも今の音楽シーンにおいての戦い方で。俺らがそっちに寄ったっていうより、うまいこと成長できてるなって。
──お客さんと。
コウキ それは「Let It V」のインタビューで話したことを、お客さんがちゃんと理解してくれたっていうのもあると思います。状況がガラッとよくなったなという感じはありますね。
──そんな外の状況を受けつつ、バンド内の最近の状態はどうですか?
オカモトレイジ(Dr) 確実にいい方向に向かってるよね。
ショウ うん。
コウキ うん。盛り上がってます、単純に。
レイジ ツアーもよかったし、方向性も定まってきてやりたいこともいっぱい見えてきて、今回のコラボアルバムも無事に納得いく形でリリースできて。楽しい状況だと思いますよ。
──ライブも制作も楽しいと。
レイジ はい。フェスでもぶっちぎってやんぜっていう気合いがハンパじゃないから。
ショウ・コウキ・ハマ・オカモト(B) (笑)。
──確かに、今年のフェスのOKAMOTO'Sに期待してる人は多そう。
コウキ いやあ。すごいですよもう。
レイジ 反則技使いまくりますよ。
“幅広くコラボできるバンド”を形に
──「VXV」は、OKAMOTO'Sがリスペクトする5組のアーティストとのコラボ盤ということで。こういうコンセプト作品をリリースすることになった経緯は?
ショウ そもそも俺たちはいろんな人とよくコラボしていて。例えば大阪城ホールで、Charaさん、吉井和哉さん、奥田民生さん、YO-KINGさん、ムッシュかまやつさんなどさまざまなアーティストの方々が1人1曲ずつ歌っていくようなイベントのバックバンドを任されたり。すごくメジャーなシーンからルーツになってるシーンまで……。
──ジャニーズもやりましたしね。
ショウ そうそう。山下智久さんのバックをやったり(参照:今夜「僕らの音楽」で山P×真心×OKAMOTO'S真夏の共演)、「SMAP×SMAP」にも出たり(参照:OKAMOTO'S企画盤で先輩とコラボ&来週スマスマ初登場)、ハマがももいろクローバーZでベース弾いたりね(参照:ももクロ「GOUNN」作家陣&強力参加アーティスト判明)。ここまで幅広く活動してるバンドって少なくとも同世代ではいないので、それをちゃんと形にしたかったんですよね。しかも自分たち発信で。ただ、相手がOKしてくれるかどうかが第一なわけで。ようやくうまいこと噛み合ったのが今回っていう感じです。
──人選は迷わなかったですか? 候補はもっといました?
ハマ わりとこのままです。
ショウ そもそもやるなら5組だねっていうアイデアだったし。あと、初めて会うような人たちとのコラボというよりは、ここまでの自分たちが得た人間関係の中からやりたくて。基準は交流とリスペクト度合いと、みたいな感じですかね。
コウキ あと幅もね。年齢もうまい感じにバラけて、同世代から50代まで。そこまで呼んじゃうんだってちょっと驚かせたいところもあったし。
──そうですね。この5組とコラボできるっていうだけで、OKAMOTO'Sがどういうバンドかを表しているような気がしました。
ショウ まさにそういう感じになったらいいなと思ってたんです。
次のページ » 自分たちはRIP SLYMEに近いタイプの集団
- ニューアルバム「VXV」/ 2014年8月27日発売 / アリオラジャパン
- 「VXV」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3780円 / BVCL-603~4
- 通常盤 [CD] 2376円 / BVCL-605
CD収録曲
- Wanna? / OKAMOTO'S × RIP SLYME
- Heart On Fire / OKAMOTO'S × 東京スカパラダイスオーケストラ
- Never Mind / OKAMOTO'S × ROY(THE BAWDIES)
- 答えはMaybe / OKAMOTO'S × 奥田民生
- Family Song / OKAMOTO'S × 黒猫チェルシー
通常盤ボーナストラック
- SAD SUNDAY / OKAMOTO'S
初回限定盤DVD収録内容
- SHIBUYA-AX「Let It V」ツアーファイナルLIVE映像&RECドキュメンタリー映像
OKAMOTO'S(オカモトズ)
オカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)の4人からなるロックバンド。バンド名およびメンバー名は、彼らが敬愛する岡本太郎に由来する。抜群の演奏力とアグレッシブなライブパフォーマンスに定評があり、2010年3月にはアメリカのショーケースイベント「SXSW」に出演。続けて行われた全米ツアーでも高い評価を受けた。次世代のロックシーンを担うホープとして注目を集める中、2010年5月に1stアルバム「10'S」でメジャーデビュー。2011年7月には「FUJI ROCK FESTIVAL '11」に初出演を果たし、10月には初のアジアツアーを開催した。2014年はCDデビュー5周年を掲げ8月27日にRIP SLYME、奥田民生らを迎えてコラボレーションアルバム「VXV」をリリースし、秋にはアニバーサリーライブツアーを行う。ファイナル公演は10月25日に日比谷野外大音楽堂で行う予定。