はにかみながら積極的なことを歌ってみました

──今回のシングル曲の「Honey♥Come!!」って、まさにライブで小倉さんが再認識したことを言葉にした曲ですよね。兄弟姉妹の中から国民投票で次の王様を決めましょうというアニメ「城下町のダンデライオン」のエンディングテーマだから「pick me please」＝私を選んでね、から始まるんでしょうけど、この詞は小倉さんの宣言ともとれる。

そうなんですよね。アニメの内容にリンクさせつつ、小倉唯自身としても皆さんへの思いを届けるために今回は……なんというか、積極的なことを歌ってみました（笑）。

──「私推しのキミが大事 笑顔にさせたい」「私推しを後悔させないための努力は惜しまない」ですもんね（笑）。

わりとガツガツいってます（笑）。すごく直接的な歌詞だから最初は「気持ちを強く持たなきゃ歌えないな」とも思ったんですけど「『笑顔にさせたい』『後悔させないための努力は惜しまない』は私がいつも思ってることだ」って気付いたら自信が湧いてきて。俊龍さんのメロディや大久保（薫）さんのアレンジも「ここまでやるか！」ってくらいすごくキラキラして素敵だったから、レコーディングのときにはスカッと気持ちよく歌えました。自分で言うことではないのかもしれないんですけど「いい曲になったなー」って思ってます（笑）。

──しかもこの曲って温度感が面白くて。メロディやアレンジは派手だし、小倉さんのボーカルもかわいくて力強いんだけど、押しつけがましくはない。「私を推せ！」とは言っていない。

それは私がはにかんでるからなんだと思います（笑）。レコーディングのときに作詞の大森（祥子）さんにチラッとお聞きしたところによると、今回タイトルを「Honey♥Come!!」にしたのは、以前レコーディングでご一緒したとき私がよくはにかんでいたかららしくて。それで「はにかむところなおんない」っていう歌詞も生まれたらしいんですけど、そうやって曲の中の私がはにかんでるから、“私推しにさせてあげる”っていう曲であっても押し付けみたいなことにはなってないんでしょうね。それに歌っている私も気持ち的には「みんなついてきて」っていうよりも、下からお願いする感じというか、「一緒にいてね」っていう気持ちですから。

自信がないからがんばり続けられる

──でもそれこそパシフィコのライブには1stアルバム「Strawberry JAM」のジャケット写真の小倉さんと同じ赤いギンガムチェックのワンピースを着て、ピンクのペンライトを手にピョンピョン跳びながら「唯ちゃーん！」って声援を送る女の子のファンが……。

ホントにうれしいことに女の子もたくさん来てくださったんですよ。

──そうなんですよね。で、あの子たちにとって小倉さんはなりたい存在、憧れの対象。言うなればスターだと思うんです。でもご本人の目線はむしろ皆さんよりも下にある？

そんなに自分に自信のあるタイプではないですから。例えば、さっきの弱みを見せちゃいけないっていう話も、私がこういうタイプだからそう思うんだと思いますし。弱いところも含めてカッコいい人もいると思うんですけど、私が弱いところを見せちゃったら、みんなガッカリするんじゃないか、と思ってるというか。でもそうやってよくも悪くも自信がなくて、皆さんに憧れてもらえるような存在にはまだまだなれてないと思っているから、自分なりに、ではあるんですけどがんばり続けることができているし、応援していただけているのかな、という気はします。

──今の「自分なりに」発言が象徴的だと思うんですけど「私、人一倍努力してます！」なんてみっともないことはさすがに言わないけど、たゆまずがんばりたいと思ってるし、自信過剰になりたくないと思ってる感じが「はにかむ」の一語に集約されている、と。

そうなんだと思います。

──なんで大森さんは、はにかむ姿を見ただけでその小倉さんのありようがわかったんでしょうね？

ホントですよね。なんでバレちゃったんだろう（笑）。でもスタジオでの何気ない仕草ですらちゃんと見ていてくださっていたのはすごくうれしかったですし、その何気ない仕草から小倉唯という人間のことをちゃんと読み取ってくださったのは「さすが大森さん」というか。そこが大森さんのすごさの1つなんだと思います。