噛み砕いて次につなげる一歩手前の状態

──個人的に前作の「100年後」ってアートワーク含め、ちょっと夜明けのイメージがあるんですが、今回の「confidential」は午前中の日差しの中で聴いてみたい作品だなと6曲目までは思ってました（笑）。

あはは（笑）。7曲目（「素敵な予感（alternate version）」）は朝から聴くもんじゃないですね。

──そういう意味では一筋縄ではいかないアルバムに仕上がりましたね。

そうですね。僕らも最初のアナログ盤「浮かれている人 Twilight Edition EP」のときから、レコーディングではどこに向けて演奏してるのかよくわかってなくて。でもそこでの経験は時間が経ってから、次のアルバム作りに反映されていくんです。だから今回の「素敵な予感（alternate version）」も僕は何が起こっているのかまだ把握できてないんですけど（笑）、それがたぶん次のアルバムに何らかの形で反映されていくんじゃないですかね。そういう意味では、噛み砕いて次につなげる一歩手前の状態を見せてるというか。

──なるほど。その考え方は面白いですね。実は僕、先日熊谷でOGRE YOU ASSHOLEのライブを観たんですが。

ありがとうございます。

──前回のインタビューで出戸さんは「CDとライブは別物」と言っていましたが、「confidential」で聴くことができるリアレンジバージョンのサウンドは先日のライブで聴いたサウンドに近付いているなと思いました。

うん、そうかもしれないですね。

──それこそ「素敵な予感（alternate version）」はライブ終盤のノイジーなパートにも通ずる狂気が表出してるし。

そうなんですね。僕もまだこのアルバムを噛み砕けてないんで、今度教えてください（笑）。

実験の場をあえて見てもらうのもいいのかな

──ところで、なぜ「confidential」というアルバムタイトルにしたんですか？

実はこれも石原さんが「confidential」にしようって言ってきたんです。僕なりの解釈としてはですね……完成する前の段階の、あんまり人に見せるものじゃない機密事項（＝confidential）を提供するというニュアンスなのかなと思ってます。

──ああ、それこそさっきおっしゃった「噛み砕いて次につなげる一歩手前の状態」という意味？

そうですね。普通は隠すような部分なのかもしれないけど、実験の場をあえて見てもらうのもいいのかなと。

──アナログ盤という場での実験も含まれてますし。

アナログ盤なんて500枚しかプレスしてないんで、まさにその通りですよね。

バンドとしての枠がひと回り大きくなった

──さて、このアルバムを完全に噛み砕いた先に見えるものが気になるわけですが。次のオリジナルアルバムはどうなりそうですか？

うーん……正直まだわかんないですね。

──まだ見えてない？

ですね。はい。

──個人的には今回のリアレンジという作業を経て、次にどういう作品が生まれるのかとても気になってます。「confidential」を聴くかぎりでは、次は相当面白くなるんじゃないかなって。

まあ「素敵な予感（alternate version）」1曲取り出しても、これまでやらなかっただろうことをやってるわけですし。実際にバンドとしての枠がひと回り大きくなったと思います。

──前々作「homely」と前作「100年後」は作品の感触は違うものの、対になってる印象がありました。ここからさらに別の地点へ進むためには、「confidential」でワンクッションで置くのもちょうどいいのかなと考えたんですが。

そうですね。次のアルバムがどうなるかはまだわからないですけど、「confidential」を作ったことでこの先どうなっていくのかは僕らも楽しみですね。