涙を流す演技に力を入れました

──「ヒリヒリの花」のビデオクリップの撮影はいかがでしたか？

今回はけっこう振りが激しいのでかなり大変でしたね。ヒリヒリしてる感じを表現した振りがあったりとか、ちょっと面白い感じになってると思います。

──Not yetはいつも振り付けが特徴的ですよね。

印象に残る振り付けがNot yetらしさでもあると思うので、そこはぜひチェックしてほしいです。あと今回は演技シーンがあったので、自分としてはそっちにもかなり力を入れましたね。

──4人のメンバーがそれぞれ恋人にふられてしまうという物語になっていますよね。

そうなんですよ。だから涙を流す演技が必要でした。女優としても活動させていただいてることもありますので、しっかりと本物の涙を流せるようにと思って真剣に取り組ませていただきました。時間はちょっとかかりましたけど、心情を体現できたと思います。

──どうやって悲しい感情を高まらせたんですか？

とりあえず涙がこのへん（瞳の下）に来るまでは、エースが死んじゃったシーンとかを思い出して。

──「ONE PIECE」ですか（笑）。

そうなんです。そういう涙を誘う事柄をいろいろ思い出しながら。でも実際、涙が流れる瞬間はちゃんとPVの物語に沿った感情にならないと意味がないと思ったので、そこからはちゃんと彼氏にふられたという気持ちに切り替えてブワッと。私、自由に泣けないのがけっこう悩みなんですけど、今回はちゃんと涙を流せたので安心しました。いやあ、なんか女優っぽいですね（笑）。

──そのシーンは必見ですね。

はい。メンバーみんないい表情をしていると思うので絶対観てほしいです！

絶妙な比喩表現がすごく好き

──先ほど面白い振り付けの話もありましたが、今回はアーティスト写真もシュールな雰囲気でよかったですよ。

撮影はすっごく楽しかったです。基本的に無表情がコンセプトだったんですよ。なおかつちゃんとしたポーズはとっちゃダメ、みたいな。決めじゃなくて、何かをしてる動作の途中みたいじゃないとダメで。そんな中、みんな自由に動きながら。

──北原さんはどんなイメージでポージングしたんでしょうね？

（通常盤Type-Aのジャケットを見ながら）私は……おなか空いてるんじゃないですかね（笑）。

──あははは（笑）。ではカップリングのお話も伺いましょう。まずすべてのCDに共通して収録されるのは、大島優子さんが出演する「外為オンライン」CMソングとなっている「次のピアス」ですね。

Not yetとしてイチ推しの、すごくいい曲です！ 4人とも大好き。なんかテレビでサビが流れてる曲って、フルで聴いたときに「アレ？」って思うことって正直あったりするじゃないですか。Bメロからのつながりがちょっと雑だな、みたいな（笑）。

──ありますね、確かに（笑）。サビになじみがありすぎて他のパートに違和感があるというか。

そうそう。でも、この曲にはそんなことがまったくないんですよ。むしろBメロからサビへの繋がりが最高だと思います！ メロディラインも歌詞も全部好きですね。レコーディングしたのは1年くらい前なんですけど、その当時の自分たちの声も含め、全部がいい仕上がりだと思います。Dメロに1人ずつのソロがあるんですけど、そこの自分の声が好きなんですよね。曲調に合わせた歌い方ができてるなって思いました（笑）。

──ひとつの恋を終わらせて、新たな旅立ちを決意する歌詞も素敵ですよね。

いいですよねえ。2番のBメロの「あなたと巡り会って / 優しく傷つけられて」のところが特に大好きです。この“優しく”“傷つけられて”みたいな反対な言葉を連ねた歌詞がすごい好みなんですよ。あと絶妙な比喩表現もすごく好き。前回作詞をさせていただいたときに私も例えに例えを重ねた歌詞を書いたくらいですからね。正直ファンの方にはあんまり伝わらなかったみたいですけど（笑）。

──例えすぎた（笑）。

そうなんです（笑）。っていう反省点もあるんですけど、聴き手がいろんな解釈をできる比喩表現はやっぱりいいなって思うんです。この曲のBメロは想像力が膨らむ最高の歌詞だと思いますね。やっぱり秋元（康）先生、尊敬します！

──そして、通常盤Type-A～Dにはそれぞれ、各メンバーのセンター曲も収録されます。この試みはNot yetにとって初めてですよね。

はい。それぞれの曲がちゃんとみんなの個性に合っているのがさすがだなって思いました。

──北原さんのセンター曲は、昭和の歌謡曲テイストを持った「ささやかな僕の抵抗」（Type-C収録）ですが。

松任谷由実さんが歌ってそうな曲ですよね。第一印象ですごくいい曲だなあって思いました。たぶんですが、私をすごくイメージして作ってくださった曲だと思うので、すごく歌いやすかったですね。歌割り的に自分のソロが多いのでちょっとヤバいなと思いながらも、私の歌声を好きと言ってくださる方々がきっと希望しているであろう歌い方をするように心がけました（笑）。