ナタリー PowerPush - 野宮真貴
30周年インタビュー&真貴とレキシのおしゃれ対談
鯖江系
──今だときゃりーぱみゅぱみゅ辺りに代表される渋谷のギャル文化も、野宮さんがやられてきたこととクロスするところがありますよね。
野宮 つけま暦は長いですよ(笑)。109の「EGOIST」にいた森本容子ちゃんとかも、彼女が「マウジー」ってお店を出した頃からずっと仲良し。ギャル系の人たちとも気が合うんです。
──「渋谷系」と言うとある種の固定観念がありますけど、意外と広がりがあったというか。
野宮 HMVの渋谷系だけじゃなく、マルキューの渋谷系というか……。近い感覚はあったんですよ。彼女たちは洋服の歴史をさかのぼって勉強するというよりも、その時代の「VOGUE」を眺めて「これかわいい」って思ったらすぐコピーして作っちゃう感覚。それが70'sのモチーフだったり、60'sテイストの洋服だったりするんです。
──ちなみに池田さんは、当時の「渋谷系」と言われる時代をどういうふうに過ごしてましたか?
池田 いくつくらいだろう。ザリガニ釣ってたかなー。
野宮 あはは!
──そんなに前じゃないですよね(笑)。
池田 高校生ぐらいのときですかね。僕はどっぷりPファンクだったので、無縁の生活でした。なにぶん田舎は福井県鯖江市なので。鯖江系でしたね。
──鯖江系(笑)。
池田 高校の修学旅行は東京でしたけど、ひたすらファンクのレコード買い漁ってだだけで何も覚えてないです。そもそも当時は邦楽をほとんど聴いてなかったですよ。デビューしてからですね、邦楽を聴き始めたのは。だから今日は非常に申し訳ないんです。なんで俺が呼ばれたのかっていう話で(笑)。
──そんな池田さんに、野宮さんの30周年記念アルバムでオープニング曲、エンディング曲を作るという大役が回ってきたと。
池田 以前、野宮さんのアルバム(2002年発売「Lady Miss Warp」)で「塀までひとっ飛び」(オリジナル:サディスティック・ミカ・バンド)のバックバンドをSUPER BUTTER DOGでやらせていただいたんですけど、共演はそれ以来ですからね。
──今回は野宮さんからのオファーなんですか?
野宮 はい。私の友人にレキシをすごく勧められて、それで聴いたんですね。そうしたらすごく面白くて。30周年の「レキシ」ってことで(笑)、なんかやってもらえないかなって。アルバムにちょっとユーモアもほしかったし。
池田 まさかの頭と最後ですからね。大役ですよ、ホント。そのご友人の推薦ひとつでね。推薦されてみるもんだなと思いますね。
──名前がレキシだったばっかりに。
池田 本当ですよ。
野宮 ウフフ。
江戸は丑三つ時
──今回は池田さんが野宮さんの作品に参加した形ですけど、今後レキシの作品に野宮さんが参加する可能性もありますよね。
池田 そうですよ!
野宮 参加したーい!
──なんだったら、今レキシネームを決めてしまいますか。
池田 レキシネームは参加しないと、やっぱりねえ。
──そこは厳しいんですね(笑)。
池田 でも多分、レキシネーム「マキのレキシ」で決まりでしょう(笑)。
野宮 タイトルが先に決まったんですよね。最初にね。
池田 パッと見たときに語呂もいいし、ビジュアル的にもいいですよね。これもうレキシネームですよ。「マキのレキシ」。レキシネームは「マキのレキシ」、曲は「江戸は丑三つ時」とかですかね。
──もう全部見えてるじゃないですか(笑)。
池田 全然見えてます。すぐできます(笑)。
野宮 できましたね。
──野宮さんも参加したいとおっしゃってるんだから、これはすぐにでも。
池田 怒られますよ、ご本人を目の前にして。
野宮 いやいや、本当にやりたいんですよ。
池田 大丈夫ですか? 言っちゃいましたよ?
野宮 私はいつでもOKです。
池田 よろしくお願いしますよ。本当に。今必死なんですから。新曲作るのに。死に物狂いで作ってるんですから。
CD収録曲
- マキのレキシ -OPENING- / Produced by レキシ
- 東京は夜の七時 / Produced by DJ FUMIYA(RIP SLYME)
- 私の知らない私 / Produced by テイ・トウワ
- ベイビィ・ポータブル・ロック / Produced by ヒャダイン
- スーパースター / Produced by 雅-MIYAVI-
- スウィート・ソウル・レヴュー / Produced by DAISHI DANCE
- マジック・カーペット・ライド / Produced by コーネリアス
- トゥイギー・トゥイギー / Produced by □□□
- 皆笑った / Produced by 高橋幸宏
- ウサギと私 / Produced by 鈴木慶一 & 曽我部恵一
- 悲しい歌 / Produced by 大橋トリオ
- メッセージ・ソング / Produced by カジヒデキ
- 陽のあたる大通り / Produced by YOUR SONG IS GOOD
- マキのレキシ -ENDING- / Produced by レキシ
<BONUS TRACK>
- スウィート・ルネッサンス / Performed by ポータブル・ロック
野宮真貴(のみやまき)
1981年7月にソロ歌手としてデビュー。その後、中原信雄、鈴木智文らとともにポータブル・ロックを結成する。1990年にはピチカート・ファイヴに加入し、その完璧なスタイルと美貌を武器に世界中の音楽シーンを席巻した。2001年のピチカート解散以降はソロ活動を再開。おしゃれな生き方を指南する「おしゃれ手帖」などの著書もあり、ファッションのみならずライフスタイルの面でも幅広い世代の女性から絶大な支持を集めている。2012年1月25日にはデビュー30周年記念アルバム「30 -Greatest Self Covers & More!!!-」をリリース。
池田貴史(いけだたかふみ)
1974年2月15日、福井県鯖江市生まれ。1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビューし、ハイクオリティなプレイとエンタテインメント性あふれるパフォーマンスで人気を博す。2004年からは中村一義が結成したバンド、100sのメンバーとしても活躍。2007年にソロプロジェクト、レキシとしての1stアルバム「レキシ」をリリース。豪華ゲスト陣とともに、日本史の登場人物や史実をポップミュージックに乗せて歌うスタイルで大いに注目を集めた。2012年5月2日には東京・LIQUIDROOM ebisu、6日に大阪・umeda AKASOにてワンマンライブ「レキシでも(金)」を行う。