ナタリー PowerPush - 野宮真貴

30周年インタビュー&真貴とレキシのおしゃれ対談

90年代は忙しすぎて全く遊んでない

──30年間を振り返ったとき、野宮さんにとってどの時代が一番楽しかったですか?

うーん……80年代は念願のデビューも果たしたけど現実は厳しくて。でも若さがあったから、未来もあるって感じてたし、心配はしてなかった。お金がなくても音楽に携わって、絶対まだチャンスはあると思ってた。そんな10年。90年代はシンガーとして表現者として、たくさん自分のできることを小西くんたちに引き出してもらったと思うし、海外の活動にまでつながったり、自分で考えていたよりも大きく広がっていった。今でも海外にも根強いファンがいるし、そのおかげでブラジルにもライブに行けたりね。すごく貴重な10年でした。その反面90年代は世間のことがまったくわからなかったというか、忙しすぎて全く遊んでいなかった。

──90年代の野宮さんって「東京で遊ぶ」ということの象徴みたいな感じがあったと思うんですけど(笑)。

全然遊んでない。仕事場と家の往復みたいな感じ(笑)。結婚したり出産したりリアルな日常生活もあって、ピチカート・ファイヴの活動ではファンタジーの世界にいたというか。

──あはは(笑)。むしろこの10年のほうが自由に楽しめましたか?

そう。だからピチカート解散してからは遊びすぎちゃった(笑)。2000年代はソロでアルバムを3枚。それから、これまでとは違う自己表現として始めた「リサイタル」と呼んでいるひとり舞台。歌が中心なんだけど、すごくシアトリカルなものを演出家の林巻子(ロマンチカ)さんと一緒に作って、アルバム1枚作るぐらいの力を1年がかりでその舞台に注ぐ、というのを3年間続けました。これがこの10年では一番大きかったですね。

──この30周年記念アルバムもかなり派手ですけど、野宮さん自身の姿勢はこれからも変わらず?

そうね。特になんにも決めてないですけど。

──音楽的にはいろんなスタイルに挑戦されてきましたけど、ビジュアル的にも楽しくて、派手でっていうのは一貫してますよね。

うん。自分を分析していくとトゥーマッチなものが好きみたいですね(笑)。若いときに影響受けたもの、衝撃を受けたものって、ずーっとそれがベースになっていて。私の場合「ステージ101」にあこがれ、そのあとのグラムロック。そのあたりで固まっているのかも。

小西くんには手紙を書きました

──今回のアルバム制作ではこの30年の中でも、90年代、ピチカート時代のことを振り返ることが多かったと思いますが、制作にあたって改めて小西さんとお話したりはしましたか?

直接はお会いしてないけど、小西くんには手紙を書きました。

──いいですね、それ。

メールじゃなくてね。

──何を伝えようと思ったんですか?

インタビュー風景

「30周年なので、応援してくださいね」って(笑)。あとピチカートの曲を歌いますってことをお伝えして。

──この10年は、お2人ともあえてピチカート的なものと距離を置いたりするような気持ちもあったんじゃないかと思うのですが。

はい、多少はありました。この10年の間にも「パーティで歌ってほしい」って言われれば歌ったりもしてましたけど、昔のアレンジのままでやるのもどうなのかなって思って、生演奏で歌うとか、そういう形でやってましたね。

──10年経って吹っ切れたところもあるんですか?

はい。小西くんもソロアルバム(2011年5月発売「PIZZICATO ONE」)を出したし、私も歌いたかった。今まで歌ってきたものを、もう1回歌ってみたいなという気持ちになりました。本当に素晴らしい曲を歌ってきたんだなと改めて思いましたし。今回こうして新しいプロデューサーと組んで、新しい音になって、また新しい気持ちで歌えるのは楽しいです。3月にはライブも控えているので、みんなにも楽しんでほしいですね。

30周年記念アルバム「30 -Greatest Self Covers & More!!!-」

  • 2012年1月25日発売 / 3059円(税込) / Sony Music Associated / Records / AICL-2343 / Amazon.co.jp
CD収録曲
  1. マキのレキシ -OPENING- / Produced by レキシ
  2. 東京は夜の七時 / Produced by DJ FUMIYA(RIP SLYME)
  3. 私の知らない私 / Produced by テイ・トウワ
  4. ベイビィ・ポータブル・ロック / Produced by ヒャダイン
  5. スーパースター / Produced by 雅-MIYAVI-
  6. スウィート・ソウル・レヴュー / Produced by DAISHI DANCE
  7. マジック・カーペット・ライド / Produced by コーネリアス
  8. トゥイギー・トゥイギー / Produced by □□□
  9. 皆笑った / Produced by 高橋幸宏
  10. ウサギと私 / Produced by 鈴木慶一 & 曽我部恵一
  11. 悲しい歌 / Produced by 大橋トリオ
  12. メッセージ・ソング / Produced by カジヒデキ
  13. 陽のあたる大通り / Produced by YOUR SONG IS GOOD
  14. マキのレキシ -ENDING- / Produced by レキシ

<BONUS TRACK>

  1. スウィート・ルネッサンス / Performed by ポータブル・ロック
野宮真貴(のみやまき)

1981年7月にソロ歌手としてデビュー。その後、中原信雄、鈴木智文らとともにポータブル・ロックを結成する。1990年にはピチカート・ファイヴに加入し、その完璧なスタイルと美貌を武器に世界中の音楽シーンを席巻した。2001年のピチカート解散以降はソロ活動を再開。おしゃれな生き方を指南する「おしゃれ手帖」などの著書もあり、ファッションのみならずライフスタイルの面でも幅広い世代の女性から絶大な支持を集めている。2012年1月25日にはデビュー30周年記念アルバム「30 -Greatest Self Covers & More!!!-」をリリース。