音楽ナタリー PowerPush - 新山詩織

私の中にいた“絶対”

私はこういう人間なんだ

──カップリングの「分かってるよ」は短編映画「寄り添う」の主題歌ですね。この曲はお話をもらってから書き下ろしたんですか?

はい。藤井(道人)監督と初めて対面してお話をした中で、今回の映画のキーワードになる“寄り添う”っていう言葉が出てきて。それぞれ映画と音楽、作ってる場所は互いに違ったけど、監督と一緒に作り上げたような感覚があります。

──監督とはどんなお話を?

もともと藤井監督が私の「だからさ」を聴いてくださっていたみたいで、私の学生時代の話をしました。監督もその話からインスピレーションを受けてストーリーを書いていったそうなので、映画は自分とリンクする部分がすごくあった。歌詞も、台本を読ませていただいて、主人公の女の子……加奈子に学生時代の自分の気持ちを重ねて書きました。

──詩織さんがモデルの映画といってもいいくらいですね。

初め観たとき、主人公そのまんま私なんじゃないかと思いました(笑)。同世代にはかなり響くと思います。予告編が公開された直後に友達から連絡が来たんですけど、その子も「私も学生時代、進路を決めるときはあんな感じだったから、自分のことのようだった」って言ってました。たくさんの10代の子に観てもらいたいなあ。

──「分かってるよ」っていう言葉自体は「絶対」にも出てきますね。これがシングルを貫くテーマなんじゃないかと思うのですが、私はここから拭い切れない不安を隠そうと強がっている詩織さん像が浮かんできました。

不安は……もちろんあると思うけど、不安なんて日々常につきものだとも思うし。強がってるというよりかは、はっきり決意を叫んだというか……。もしかしたら、それは傍から見たら強がりだと思われてしまうかもしれないけど。でも自分を隠そうとして強がってるんじゃなくて、ありのままをさらけ出した上で、私はこういう人間なんですって決意表明してるんです。特に「絶対」の歌詞はそうです。

“ギタ女”であること

──詩織さんは最近“ギタ女”としてさまざまなイベントに出演していますが、そういった枠にカテゴライズされることへの窮屈さってあったりしますか?

窮屈さ……は、ないですね。ギター女子のライブイベントやフェスにいくつか出させていただいてるんですけど、そういう括りがあるからこそ、その中の1人としてちゃんと自分自身の個性や人となりを見てもらえると思うから。そういう面ではすごくうれしいなあって思います。ほかのアーティストさん目当てで来た人に、ちょっとでも興味を持ってもらえる機会でもあるし。

──詩織さんはよくTwitterで「大森靖子さんのライブに駆けつけました」とか、「青葉市子さんのこの曲が好きです」などと、同じシーンにいる女性アーティストについて発言していますよね。

大森靖子さんは、すごく好きな橋本愛さんがPVに出てたのをきっかけにライブ映像を観てたんですけど。迫力がすごすぎて、生で観てみたいと思うようになって。そしたら、ある日たまたまケータイを見てたら大森靖子さんがこれからフリーライブをやるっていうんで、行ってきました。すごかった……。

──大森さんのどんなところに惹かれるんだと思いますか?

やっぱり、独自の世界観を完全に作りきっているし、限度を一切決めたりせずにパーッと赤裸々にやってるところがすごくカッコいいなあと思います。ほかの人とは違った目線でいろんなことを見てるんだろうなあって。

世界を広く見た歌を

──詩織さんは12月12日でアーティストデビュー2周年ですね。3年目はどうしていきましょうか?

今までは内に秘めた心を率直に歌ってきて。これからもそんな歌は出てくるとは思うけど、それにプラスして、もっと世界を広く見た歌を届けていけたらいいなって思ってます。

──幸せいっぱいのラブソングとか。

そうですね……。でも、ちょっとでも経験がないと(笑)。なかなか難しいところもあります。

──そういえば、詩織さんはフラワーカンパニーズのトリビュートアルバムで「深夜高速」をカバーしていましたね。このカバーの経験は自分にどう影響しましたか?

率直に、今をもっと大事に、自分を大事に生きていきたいなと思いました。「生きててよかった」なんて、そんなに……思いきり叫ぶこともなかったから。それを歌ったことによって、毎日山あり谷ありだけど「ああ、生きててよかったな」って、正直に思えました(笑)。10代のうちに歌えたっていうことがすごくうれしかった。

──1月にはフラカンをはじめそうそうたるアーティストと共演するトリビュートライブも控えています。

たぶん、出演者の中では最年少だと思うんですけど……新山詩織っていう存在をしっかり覚えてもらえるような、そんなステージにしたいなあと思います。

ニューシングル「絶対」 / 2014年12月3日発売 / ビーイング
初回限定盤 [CD+DVD] / 1404円 / JBCZ-6012
LIVE盤 [CD+DVD] / 1620円 / JBCZ-6013
通常盤 [CD] / 1080円 / JBCZ-6014
CD収録曲
  1. 絶対
  2. 分かってるよ
  3. 絶対 -instrumental-
初回限定盤DVD収録内容
  • 「絶対」Music Video
LIVE盤DVD収録内容

1stライブツアー「しおりごと」東京・WWWライブ映像

  • ゆれるユレル
  • Don't Cry
  • ひとりごと
  • 今 ここにいる
  • だからさ
  • ※曲順未定

公演情報

新山詩織 アーティストデビュー2周年記念ライブ
「しおりごと ~acoustic version」
2014年12月12日(金)東京都 UNIT
OPEN 18:00 / START 18:30
新山詩織(ニイヤマシオリ)

1996年生まれのシンガーソングライター。幼少期より父親の影響でブルース、パンク、ロックを聴いて育つ。2012年、ビーイング主催の新人発掘オーディション「Treasure Hunt ~ビーイングオーディション2012~」に「詩織」名義で出場。オリジナル曲「だからさ」と椎名林檎「丸の内サディスティック」を弾き語りで披露してグランプリを獲得する。同年12月、新山詩織としてアーティストデビュー。2013年4月に笹路正徳をサウンドプロデューサーに迎えたメジャー1stシングル「ゆれるユレル」をリリースし、7月には映画「絶叫学級」の主題歌として書き下ろした「Don't Cry」を2ndシングルとして発表した。2014年2月、女子スキージャンプ選手の髙梨沙羅が出演する株式会社クラレの企業CMソングに4thシングル「今 ここにいる」を提供。3月の1stフルアルバム「しおり」と同時期に高校を卒業し、同年12月に5thシングル「絶対」をリリースする。