ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls

「1125の日LIVE」振り返り&「カベ ニ ミミ」大打ち上げレポ

坂倉心悟(B)

坂倉心悟(B)

──2013年の「1125(イイニコ)の日LIVE」はどんなライブでしたか?

自分の中で確変が起こった日でしたね。これほど攻めてるモードのセットリストってこれまでのワンマンではなかったから、それをちゃんと表現する必要があった。今までは攻撃的な曲って全体の一部でしかなくて、その曲が始まると前のめりになることが多かったんです。でも全編攻撃的だったから、逆に落ち着いてプレイしてた。グッと押さえる感じってのが肌でわかった。曲は攻撃的だけど、自分は冷静さを保ってる、そんな気持ちでやってましたね。

それとみっちゃんも言ってたけど、機材を全般的に変えたから演奏に対する意識も変わって。一時期イヤモニを使ってライブをしてたんだけど、それを外したのもこの頃で。会場の空気を感じつつ、バンドのグルーヴ感を4人でちゃんと出せるようにした気がします。

──印象に残ってる場面はありますか?

あの……DVDには入ってないシーンなんだけど(笑)、「SWEET MEMORIES」の前でヘリウムガスを吸って入りのカウントする芸をやったんですよ。本当は俺、そういうことが大嫌いなのに、アルバム「PASSENGER」のツアーのときは歌詞にコーラが出てくるからって「SURVIVE」の間奏でコーラを一気飲みさせられたりして……。それもこれも、ベースソロをいやがったりしたせいなんですけどね。で、去年のイイニコでも何かやれってメンバーから指令されて。3日3晩考えた結果、ヘリウムガスを吸うということをやったんですけど、ベース以外のことをライブで強要されることで自分のキャパシティは広がってますね(笑)。

──ライブでの自分の役割はなんだと思いますか?

ベーシストである以外は特に決まってないですね。祥太郎さんと一体感を出して歌を支えなきゃいけない場面もあれば、アップテンポな曲でうしろの人がノってなかったら煽りに行くこともあるし。ほかのメンバーに比べて自由自在に動ける位置にいる。ただ、俺が1人でできる何かは一瞬しかないってのは自覚してます。ベースって、ギターや歌と違って1人では成立しない楽器だと思うんですよ。だから4人で音を鳴らせてうれしい、っていうところに着地するんですけど、俺の場合。

──理想とするライブの形は?

学生時代に行ったレッチリ(Red Hot Chili Peppers)のライブが印象的で。会場が大きすぎて、ステージが遠いから、メンバーがやってることがあんまりよくわかんなかったんですよ。ガタイのいいお兄ちゃんたちの隙間から観るような感じで。ただ「Under the Bridge」のときにみんながライターの火を灯し始めて、それにつられて俺もライター持ってないのに手を掲げちゃったりして。一体感と言うには大げさかもしれないけど、曲に感化されて、お客さんのアクションが生まれる光景に感動して。自分たちの曲で言うと「チェインリアクション」みたいなことが起きたらうれしい(笑)。

対馬祥太郎(Dr)

対馬祥太郎(Dr)

──2013年の「1125(イイニコ)の日LIVE」はどんなライブでしたか?

俺の中では“枠の外に出た日”でしたね。ドラムを新しいものをローディさんに借りて演奏したんですけど、それがラディックで(※アメリカの打楽器メーカー)。俺が持ってるグレッチ(※フェンダー傘下の楽器メーカー)のとは真逆のサウンドなんで、もっと暴れる感じになった。ロックをぶつけるというテーマを掲げてライブをやることはこれまでもあったんだけど、この日は選曲とか意識とかそういうところ以外で、楽器や機材を変えて根本的に変えていった。新しい音や表現を、スタジオの中だけじゃなくライブで体現した最初のライブだった。

──印象に残ってる場面はありますか?

自分に火が点いたド頭の「1125のテーマ」。一発目の音が鳴った瞬間にライブうまくいく確信が持てたから、それ以降はあまり考えずに叩いてましたね。坂倉も言ってますけど、イヤモニを外すようになって改めて歌との絡みを意識するようになった日でもあって。ただ歌に寄せればいいわけじゃないし、我を出せばライブがよくなるわけでもない。そういうところを探り探りやってたのが、4人のバランスの取り方が一番わかるようになってきたかなと個人的に思ってて。4人ががっちりハマったのが「1125のテーマ」から出てる。

──ライブでの自分の役割はなんだと思いますか?

案外バンドの主役っぽいなって(笑)。うしろで叩いてると、みっちゃんはこう歌いたいんだなとか、フルは今前に行きたがってるな、坂倉は次のことで頭いっぱいかとか背中でわかるんですよ。そういうメンバーの思いをコントロールしたり後押しすることが、リズムを作り出す立場だとできるってことがわかってきましたね。その責任感にも目覚めたし。そういう意味で案外“主役”かなと。

──理想とするライブの形は?

具体的な例を挙げると、去年観たWilcoの来日公演。ライブというよりはプレイスタイルなんですけど、ステージに立ってるメンバーのプレイが水を得た魚のようなんですよ。なんの邪魔するものもないステージだったというか。自分だといろいろごちゃごちゃ考えたり、緊張したり、ライブ中に余計な“邪魔”が入るんだけど、そういうのが一切感じられなかった。って言っても、Wilcoのドラマーみたいに足元にエフェクター置いたりはしないですけどね(笑)。レインスティックを鳴らすだけでクスクス笑われる俺がやると、ネタ感が出ちゃうから。

ニューシングル「ローハイド」 / 2014年3月5日発売 / Ki/oon Music
完全生産限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / KSCL-2433~4
通常盤 [CD] / 1223円 / KSCL-2435
CD収録曲
  1. ローハイド
  2. 太陽が笑ってら
  3. イミテイション・ゴールド
完全生産限定盤DVD収録内容
  1. 1125のテーマ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  2. アビダルマ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  3. そのTAXI,160km/h(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  4. 衝突(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  5. 錆びてきた(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  6. サラ=レイニーデイ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  7. レオ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  8. demon(is there?)(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  9. 武家御法度(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  10. ストロベリーガール(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  11. GANIMATA GIRL(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  12. GUERNICA(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  13. ニワカ雨ニモ負ケズ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
  14. N極とN極(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
ベストアルバム「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」 / 2014年2月5日発売 / Ki/oon Music
初回限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / KSCL-2423~4
通常盤 [CD] / 2800円 / KSCL-2425

NICO Touches the Walls

NICO Touches the Walls
(にこたっちずざうぉーるず)

2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表し、翌2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」、7月にシングル「手をたたけ」、12月に4thアルバム「HUMANIA」を発表し、それぞれの作品でバンドの新たな音楽性を提示する。2012年には幕張メッセイベントホールでワンマンライブを実施し、成功を収めているほか、「夏の大三角形」「夢1号」というシングルを2作発表。2013年3月にシングル「Mr. ECHO」、4月に5thアルバム「Shout to the Walls!」、7月にシングル「ニワカ雨ニモ負ケズ」を発表。2013年2月にキャリア初のベストアルバム「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」をリリースした。なお8月には2度目となる日本武道館単独公演を控えている。