ナタリー PowerPush - NICO Touches the Walls
「1125の日LIVE」振り返り&「カベ ニ ミミ」大打ち上げレポ
「カベ ニ ミミ」大打ち上げレポート
2月1日から3月1日にかけて、普段はギャラリーとして使用されている原宿の地下スペースを改装し、篭城型ライブ「カベ ニ ミミ」を開催していたNICO Touches the Walls。火曜日と金曜日の定休日以外は、男性限定、女性限定、社会人限定、アコースティックライブなど、毎回異なるコンセプトを用意し、連日連夜ひたすらステージに立っていた。
メンバー曰く、手応えのあった公演もあれば、「もう二度とやりたくない」と失敗に頭を抱える日もあったという。しかし、すべては8月19日に控える2度目の武道館公演に向けての実験。連日繰り広げられたステージでの経験は、4人の血肉となり、底力の強化にもつながったようだ。
そして迎えた「カベ ニ ミミ」最終日の3月1日。10代限定公演「門限 ハ マモラナイト」(※2月8日開催予定だったが大雪のため延期)が無事終わったあと、観客を入れ替え、夜21:30より20歳以上のオーディエンスとともに「大打ち上げ」が実施された。かしこまった雰囲気はこのときばかりは皆無。SE代わりに4人のゆるいセッションが観客を出迎えるところからイベントは始まっていた。
「これから『大打ち上げ』を開催します。乾杯!」ビールの缶を手にした光村が言うと、観客もグラスや缶を掲げて「乾杯!」と叫ぶ。続けて彼は「私たちも本気の演奏をする気はさらさらありませんから、皆さんと酔っ払いたいだけです」と宣言した。しかし、「スタッフもいるし、楽器もあるし、演奏しますか」と即座に前言撤回。「ここでは毎日楽しい実験をやってまして、今日はそのおさらいみたいなものをやろうと思います」と20日間を振り返る。
光村は、しりとりでセットリストを決めた初日公演に始まり、ベースが肝になる楽曲で構成された坂倉企画の公演、「夜」をイメージさせる曲ばかりで構成した3回にわたる古村企画のライブ、7曲をノンストップで演奏する対馬のアイデアを取り入れたハードなライブなど20日間で行ったライブの概要を説明。その後、ライブコーナーの口火を切ったのは、20日間のライブで一度も披露されなかったという「オーロラ」だった。ほろ酔い加減で楽器を手にした4人だが、演奏が始まれば表情は一変。難なくフルコーラスを披露すると、光村は「これで僕らがリリースした楽曲はすべてやりました!」と満足げに笑う。
「こっからは1カ月をハイスピードで振り返ろうかと思います!」という光村の宣言を経て突入したブロックでは、各メンバー企画による公演の中で印象的だった曲を1曲ずつピックアップ。4つ打ちのドラムをフィーチャーし、ディスコ風のアレンジを施した「アビダルマ」、古村の華麗なタッピングが炸裂する「カルーセル」、坂倉が社会人限定公演のために制作したボイスドラマが彩りを添えた「バニーガールとダニーボーイ」、光村1人の弾き語りによる「バイシクル」がパフォーマンスされた。
楽曲が終わるごとにメンバーの解説が挟み込まれ、「カルーセル」については古村が連日のサウンドチェックでひたすら同曲のイントロを奏でていたため、スタッフが飽き始めていたエピソードが暴露される。また2回にわたって光村が企画した「孤独」をテーマにしたライブで暗い楽曲ばかりを連発し、200人の観客をどん引きさせたことが明かされる。そして朗らかなムードが漂う中、イベント中盤では抽選大会も敢行。メンバーが好きな曲を目の前で歌ってくれるといったレア賞品の数々がファンを狂喜させていた。
お酒も進み、イベントも佳境に差し掛かると再びライブコーナーにシフト。現在のNICO Touches the Wallsのモードを刻んだ新曲「ローハイド」と、「カベ ニ ミミ」で最も多く演奏された「THE BUNGY」が再びフロアの熱気を高める。盛大なコール&レスポンスの余韻が残る中、光村は「無事に1カ月を走り切りました。必ずまたやりたいと思います。こんなに楽しくなるとは思ってなくて。始まる前と比べて全然違うバンドに生まれ変われたかな。今まで大変なこともあったけど、僕らは応援してくれる皆さんとの信頼関係で成り立ってるんだなと。今の俺らは無敵です。貴重な経験をさせてくれてありがとう。NICO史上もっとも楽しい1カ月でした。みんなを最高の武道館に招待したいと思います」と締めの言葉を述べる。そしていつものライブのように、4人は一列に並ぶとフロアにむかって深々と一礼。再び顔を上げたメンバーの顔は晴れやかな表情をたたえ、20日間のライブを終えた達成感にあふれていた。
8月の武道館公演の前には、ひさしぶりとなるZeppツアーを控えているNICO Touches the Walls。「カベ ニ ミミ」での実験の成果がツアーにどんな形で反映されていくのか、ライブの現場で確かめてほしい。
「カベ ニ ミミ」ナタリー掲載レポート
ライブ情報
- NICO Touches the Walls LIVE 2014
- 2014年5月31日(土)大阪府 Zepp Namba
OPEN 17:00 / START 18:00 - 2014年6月1日(日)大阪府 Zepp Namba
OPEN 16:00 / START 17:00 - 2014年6月3日(火)愛知県 Zepp Nagoya
OPEN 18:00 / START 19:00 - 2014年6月14日(土)東京都 Zepp Tokyo
OPEN 17:00 / START 18:00 - 2014年6月15日(日)東京都 Zepp Tokyo
OPEN 16:00 / START 17:00
- NICO Touches the Walls 日本武道館公演
- 2014年8月19日(火)東京都 日本武道館
- ニューシングル「ローハイド」 / 2014年3月5日発売 / Ki/oon Music
- 完全生産限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / KSCL-2433~4
- 通常盤 [CD] / 1223円 / KSCL-2435
CD収録曲
- ローハイド
- 太陽が笑ってら
- イミテイション・ゴールド
完全生産限定盤DVD収録内容
- 1125のテーマ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- アビダルマ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- そのTAXI,160km/h(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- 衝突(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- 錆びてきた(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- サラ=レイニーデイ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- レオ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- demon(is there?)(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- 武家御法度(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- ストロベリーガール(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- GANIMATA GIRL(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- GUERNICA(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- ニワカ雨ニモ負ケズ(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- N極とN極(1125-2013LIVE @Zepp DiverCity)
- ベストアルバム「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」 / 2014年2月5日発売 / Ki/oon Music
- 初回限定盤 [CD+DVD] / 3800円 / KSCL-2423~4
- 通常盤 [CD] / 2800円 / KSCL-2425
NICO Touches the Walls
(にこたっちずざうぉーるず)
2004年4月に光村龍哉(Vo, G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)の3人で結成。同年7月に対馬祥太郎(Dr)が加入し、2005年から渋谷と千葉・柏を中心にライブ活動をスタートさせる。2006年2月に初のミニアルバム「Walls Is Beginning」をインディーズレーベルから発表し、翌2007年11月にミニアルバム「How are you?」でメジャーデビューを果たす。2008年9月に1stフルアルバム「Who are you?」、2009年11月に2ndフルアルバム「オーロラ」をリリース。2010年3月には初の日本武道館ワンマンライブを開催した。2011年4月には3rdアルバム「PASSENGER」、7月にシングル「手をたたけ」、12月に4thアルバム「HUMANIA」を発表し、それぞれの作品でバンドの新たな音楽性を提示する。2012年には幕張メッセイベントホールでワンマンライブを実施し、成功を収めているほか、「夏の大三角形」「夢1号」というシングルを2作発表。2013年3月にシングル「Mr. ECHO」、4月に5thアルバム「Shout to the Walls!」、7月にシングル「ニワカ雨ニモ負ケズ」を発表。2013年2月にキャリア初のベストアルバム「ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト」をリリースした。なお8月には2度目となる日本武道館単独公演を控えている。