音楽ナタリー Power Push - 南壽あさ子特集

「つながり」続けたその先に

南壽あさ子×上野憲二氏(株式会社ゼネテック 代表取締役社長)対談

家族の温かさを伝える歌を

──お二人が出会ったきっかけは?

上野憲二 2007年に位置情報を利用した防災・見守りケータイアプリ「ココダヨ」の特許を申請して、2014年の夏頃にはアプリの開発が本格的に始動することになりまして。そのサービスを展開するためのプロモーションビデオを作ることになった際に「『あったかい家族』というイメージにしたい」とスタッフに話したら、南壽さんを紹介してくれたんです。

左から上野憲二氏(株式会社ゼネテック 代表取締役社長)、南壽あさ子。

南壽あさ子 当時、私は積水ハウスさんのCMソングを担当させていただいたんですけど、上野さんもそのCMを観ていて、非常に気に入ってくださっていたようなんです。

上野 積水ハウスのCMソングが南壽さんの歌とは知らずに、「ココダヨ」のイメージにピッタリだなと思っていたんです。なので紹介されたときに南壽さんがそのCMソングを担当していると聞いたときはビックリしました。非常に縁があるなと思いましたね。

南壽 お話をいただいたときはうれしかったですし、自分の声で家族の温かさを伝えることができるよう心がけました。

上野 南壽さんのお母様は大分出身と聞きましたが、私は鹿児島出身。同じ九州ということで、これもまた1つの縁なのかなと思います。実は南壽さんは私の息子と同じ歳なんですよ。

さまざまな思いがリンクする「ここだよ」

──アプリ「ココダヨ」は防災・見守り用の位置情報・安否共有ツールですが、上野さんがこのアプリを作ろうと思ったきっかけはなんだったんでしょう?

上野 新潟中越地震とか、阪神淡路大震災がありましたよね。その際、家族と連絡が取れなくなってしまったというお話を多く伺ったんです。そうなると安否はもちろん、どこにいるかもわからない。東日本大震災のときは特に安否がわからず、津波が近付いている中、家族を助けに戻った人もいたようですし。でも事前に安否がわかれば、二次災害も抑えられる。そこで我々はポケベルや携帯電話といった情報端末に関するノウハウを生かして、常に位置情報をサーバーにアップし、警報が鳴ったときに連動して端末の持ち主の現在地を通知するシステムを作ったんです。

南壽あさ子と上野憲二氏(株式会社ゼネテック 代表取締役社長)。

──以前も「ココダヨ」のCMで、南壽さんの楽曲が使用されていましたね。

南壽 「歌うことだけ」という曲を、東北地方限定のCMで流してくださいました。

上野 「歌うことだけ」は既存の曲だったんですけど、今回は新たに書き下ろしという形でお願いして。

南壽 制作時は音楽スタジオに上野さん含め社員さんにお越しいただき、ピアノに向かって演奏したものを直接聴いていただきました。非常時に自分の存在を伝えるのもそうだし、心配している人の存在がわかるツールは、誰でも必要になると思うんです。そういうところを踏まえ「ちゃんと戻ってくる」という希望を込めつつ、「家族」について表現しました。モデルがいるわけではないんですけど、1人の少女が自分の存在感を放つ……といったイメージも込めています。

上野 南壽さんにはアプリのコンセプトだけを伝えて、そこからイメージしてもらったんですけど、本当にいい歌をいただきました。海外展開の際は、現地の言葉で歌ってもらうのもいいかもしれないですね。

──歌詞には「見つけてほしい」という思いが込められていますが、言われなければCM用の楽曲とはわからない内容になっていますね。

南壽 そこはすごく意識しました。企業のイメージをCMソングを通じて伝えることはもちろん大事なんですけど、捉え方によっては恋愛の曲にも聴こえたり、いろんな風に捉えられるように、入り口を広げつつ「ここだよ」というコンセプトにつながるように気を付けました。あまりに「災害用」というイメージが強すぎると重たく感じてしまうし、シチュエーションも限られてしまいますし、場合によっては「聴きたくない」と思われちゃうので。安らかに聴いてもらえて、ライブでも歌えるような曲にしようと心がけました。

上野憲二氏(株式会社ゼネテック 代表取締役社長)

上野 家族や恋人同士の絆や思いにリンクしてると思いましたよ。いろんな場所でこの曲が流れることで広まってほしいですね。

──上野さんは南壽さんの楽曲を聴いて、さまざまなイメージを思い浮かべたようですね。上野さんが感じる南壽さんの楽曲の魅力はなんですか?

上野 やっぱりほのぼのとした温かさのある曲調が非常にいいですよね。普段から落ち着くような感じの曲が好きなので。

──南壽さんのライブをご覧になったことは?

上野 残念ながらまだ観ていないんです。12月の東京グローブ座公演はうちの社員も連れて、ぜひ会場に押し掛けたいですね(笑)。

──今後、南壽さんと「ココダヨ」のコラボは継続していく予定ですか?

上野 「ココダヨ」は今後もバージョンアップしていく予定なので、その際には、また南壽さんに楽曲をお願いしたいです。いいサービスを構築して、どんどん皆さんのお役に立てるよう努力していきたいですね。

南壽あさ子と上野憲二氏(株式会社ゼネテック 代表取締役社長)。
南壽あさ子特集 Index
第1弾 「つながり」続けたその先に
第2弾 歌とゲーム、それぞれが描く「旅」
第3弾 南壽あさ子×鈴木惣一朗 2人が再び冬を描いた理由
配信シングル「エネルギーのうた(弾き唄いVer.)」/ 2016年7月28日発売 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ
「エネルギーのうた(弾き唄いVer.)」
通常配信 itunesへ
通常配信 レコチョクへ
通常配信 moraへ
ハイレゾ配信 moraへ
収録曲
  1. エネルギーのうた(弾き唄いVer.)
  2. エネルギーのうた(Piano Instrumental)
配信シングル「八月のモス・グリーン」/ 2016年8月10日発売 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ
「八月のモス・グリーン」
通常配信 itunesへ
通常配信 レコチョクへ
通常配信 moraへ
ハイレゾ配信 moraへ
収録曲
  1. 八月のモス・グリーン
ゼネテックpresents「南壽あさ子 × ココダヨ」プレミアムフリーコンサート
2016年12月3日(土)
東京都 東京グローブ座

防災・見守り用アプリ「ココダヨ」

株式会社ゼネテックが提供する、家族の「絆」、「安心」、「安全」をサポートする携帯(ガラケー・スマートフォン)アプリ。大地震など自然災害の発生時で通信が困難になる前に、災害警報に連動して自動的に登録してある家族間で直近の居場所を自動的にそれぞれに通知し、その後の安否も共有できる。また日常的には簡単な操作で安否情報や所在を共有できるほか、常に大切な家族の居場所を共有する見守り機能も備えている。

南壽あさ子(ナスアサコ)
南壽あさ子

1989年千葉県佐倉市出身のシンガーソングライター。幼少の頃からピアノを始め、大学時代に軽音部に所属。その後音楽活動を本格的にスタートし、2010年より東京を中心にライブ活動をスタートした。2012年6月には湯浅篤をプロデューサーに迎えたシングル「フランネル」でインディーズデビュー。2013年10月にはシングル「わたしのノスタルジア」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビューを果たした。2016年7月に所属レーベルをヤマハミュージックコミュニケーションズへ移籍することを発表。同月より「エネルギーのうた(弾き唄い Ver.)」を皮切りに、3カ月連続で配信限定シングルをリリースしている。


2016年11月28日更新