音楽ナタリー Power Push - 南壽あさ子特集

「つながり」続けたその先に

絵でイメージを伝えた海外レコーディング

──「エネルギーのうた」以降にはさらに2作のリリースを予定されていますが、こちらはどんな内容になるんでしょう?

南壽あさ子

8月には「八月のモス・グリーン」という曲を配信するんですけど、まさにタイトルと同じ時期に発表することを夢見ていたんです。ライブではすでに何度も歌っていて、音源化を楽しみにしてくださる方もたくさんいて。私自身ライブで歌うごとにどんどん好きになっていくし、とても気に入っている曲です。

──録音は海外で行ったんですよね?

はい。初めて海外でレコーディングした曲です。オケは日本で録って、歌はロサンゼルスで録音してミックスしました。12回もグラミー賞を受賞しているラファ・サーディナさんにお願いして、彼の自宅スタジオを借りました。私の歌の強弱や日本語の言葉の流れをとても把握してくれて、強すぎるところなどを的確に教えてくれたんです。彼はスペイン出身で、地元の言葉と日本語がよく似てるみたいで、日本語もすぐに理解していました。日本人の女性アーティストのレコーディングは私が初めてだったらしいんですけど、そうとは思えないほどスムーズに作業が進みました。

──音の捉え方がとても繊細な方だったんですね。

海外での録音ってなんとなく大胆なイメージがあったんですけど、彼については日本人よりも繊細なんじゃないかなって思いました。すごく真面目で、私が「もっとこうして」って言おうとしたら、先回りして調整してくださったり。希望以上の対応をしてくれて、その仕事の姿勢から学んだことも多かったです。いい体験になりました。

──日本でのレコーディングと比べてみていかがでしたか?

やっぱり緊張はしました。海外だと歌うときは日本語、話すときは英語と切り替えることになるので、集中しっぱなしで頭をずっと回転させないといけないんです。でも徐々に、切り替えるっていう感覚はなくなって、自分の考えを伝えたいという気持ちがだんだん強くなって。それからは言葉遣いを気にしていた最初と比べて、相手にすぐ私の考えていることが伝わるようになりました。最後のミックスのときには言いたいことがいっぱいありすぎて、絵で主人公像を伝えたりもしました(笑)。

──再び海外でレコーディングできるとしたら、やってみたいことはありますか?

現地のプレイヤーと一緒にレコーディングもしてみたいし、ライブもしてみたいです。私は性格的にガツガツしているタイプではないので、今回のような機会がなかったら海外には行かなかったでしょうから、この縁を大切にしたいですね。

「『flora』の歌詞はゲームのテーマと一緒」

──9月にリリースされる作品はどんな内容ですか?

こちらはCDにもなるんですけど、「flora」という曲が収録されます。例えばニュースを見れば世界のさまざまな場所で傷付いたり、悲しんでる人がいることを知ることはできますけど、実際に自分では何もできていないのはどうなんだろうって考えたことがあって。そこからイメージを膨らませてできたのがこの曲なんです。自分にできること、身近な人をまず大切にする思いを見つけ出すという旅立ちの歌です。

──これまでに披露する機会はありましたか?

4月から6月に行った「南壽あさ子弾き唄いワンマン “flora” tour 2016」で、必ず最後に歌っていました。それから「flora」は「フィリスのアトリエ」というゲームのオープニングテーマに決まっているのですが、すごくゲームの内容ともリンクしているんです。

──ゲームのオープニングテーマにはどういった経緯で選ばれたんでしょうか?

南壽あさ子

「アトリエ」シリーズにはこれまで2回挿入歌を提供したんですけど、制作監督が私の楽曲をすごく気に入ってくれて。それで「次作はぜひオープニングテーマを」というお話をいただいて、「flora」はゲームの世界観にすごく合っていると思ったので、いくつかの候補曲と一緒に聴いてもらったんです。そうしたら監督さんも、「『flora』で歌われている内容はゲームのテーマにピッタリだ」とおっしゃってくれて。あと、このゲームには「flora」以外に「このごろ、そのひぐらしで」という曲がイベントのリスタートテーマ曲として使用されます。

──制作者自身が気に入ってオファーしてくれるのはうれしいですね。

監督が直々にオファーしてくれたからこそ、ゲームをプレイする人にもすっとなじめる曲になっていると思います。今まで使っていただいた私の楽曲も、大事な場面で映画みたいな映像と共に流れて、まるでミュージックビデオを観ているような感じでした。今回はオープニングということで、どんなふうに使われるかすごくドキドキします(笑)。

──それでは最後に、レーベル移籍した今、今後の目標を教えてください。

より丁寧に曲を作り、自分の音楽に向き合えたらいいなと思います。海外でレコーディングしたこともそうですけど、新しいことに挑戦して自分の音楽を成長させつつ、歌う姿勢や個性はそのまま変えずに持ち続けたいです。これからも共感してくれた方たちと一緒に歩んでいきたいですね。

南壽あさ子特集 Index
第1弾 「つながり」続けたその先に
第2弾 歌とゲーム、それぞれが描く「旅」
第3弾 南壽あさ子×鈴木惣一朗 2人が再び冬を描いた理由
配信シングル「エネルギーのうた(弾き唄いVer.)」/ 2016年7月28日発売 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ
「エネルギーのうた(弾き唄いVer.)」
通常配信 itunesへ
通常配信 レコチョクへ
通常配信 moraへ
ハイレゾ配信 moraへ
収録曲
  1. エネルギーのうた(弾き唄いVer.)
  2. エネルギーのうた(Piano Instrumental)
配信シングル「八月のモス・グリーン」/ 2016年8月10日発売 / ヤマハミュージックコミュニケーションズ
「八月のモス・グリーン」
通常配信 itunesへ
通常配信 レコチョクへ
通常配信 moraへ
ハイレゾ配信 moraへ
収録曲
  1. 八月のモス・グリーン
ゼネテックpresents「南壽あさ子 × ココダヨ」プレミアムフリーコンサート
2016年12月3日(土)
東京都 東京グローブ座
南壽あさ子(ナスアサコ)
南壽あさ子

1989年千葉県佐倉市出身のシンガーソングライター。幼少の頃からピアノを始め、大学時代に軽音部に所属。その後音楽活動を本格的にスタートし、2010年より東京を中心にライブ活動をスタートした。2012年6月には湯浅篤をプロデューサーに迎えたシングル「フランネル」でインディーズデビュー。2013年10月にはシングル「わたしのノスタルジア」でTOY'S FACTORYよりメジャーデビューを果たした。2016年7月に所属レーベルをヤマハミュージックコミュニケーションズへ移籍することを発表。同月より「エネルギーのうた(弾き唄い Ver.)」を皮切りに、3カ月連続で配信限定シングルをリリースしている。


2016年11月28日更新