ナオト・インティライミ|J-POPに世界のトレンド掛け合わせた“新ティライミ”をご提案

ずーっとティライミ見てんな、この方々

──ちょうどライブの話も出ましたので、そちらの詳細もぜひ聞かせてください。現在47都道府県ツアー(「こんなの初めて!!ナオト・インティライミ 独りっきりで全国47都道府県 弾き語りツアー2018」)を開催中で、半分以上終了しました。1人っきりのライブはいかがですか?

日本広いな……って思った(笑)。旅人冥利に尽きるぞって感じ。路上ライブとか「ナオトの日」とか、ちょこちょこ1人で演奏する機会はあったけど、ツアー形式で単独のショーをやるのは今回が初めてですね。

──バンド編成と比べてみて、演奏時の様子もかなり異なるのではないでしょうか。

ものすごい面白いなって思ったのは、「ずーっとティライミ見てんな、この方々」ってところ。そりゃそうなんだけど(笑)。例えばバンドやダンサーがいたらいろいろ観るものがあるでしょ。でも今回はティライミしかいないから、みんな自分を集中して観てくれて。また違った充実感があります。

──アドリブで演奏するなど、ソロだからこそできるパフォーマンスもあると思いますが、何か試してみたことはありましたか?

例えば少しずつ高まっているところにバラードを入れると、“心の肉離れ”を起こしちゃうから、ワンクッションとなる即興のイントロを入れて、みんなをリラックスさせてから歌い始めたり。その場の空気に合わせられるのはいいね。

ナオト・インティライミ

──12月には愛知・ナゴヤドーム公演も行われます。こちらはバンド編成になるそうですね。

これはティライミ史上最大のバンド編成になります。史上最多のダンサーの数とスケール感、4万人の“オマットゥリ”をするためのエンタテインメントショーですね。2018年はみんないろんなことがあったと思うんだよね。歯を食いしばって闘ってきた人たちにはつらかった、悲しかった思いを引き連れて、ナゴヤドームに来てほしい。それを数時間だけでも開放できるような空間は確実にご用意します。ファンだけでなく「ティライミの曲1曲も聴いたことねえんだけど!」っていう方まで楽しんでいただけるようなショーにしたいですね。

──ナゴヤドームでの公演はひさしぶりですよね。

3年ぶりなんですよ。そもそもドーム公演をやっている人って、福山雅治さんとか桑田佳祐さんとか、国民的な人気のある方じゃないですか。ただオマットゥリを重ねてきた僕がやるのは無謀なことだけど、自分のキャパシティをオーバーしたことに立ち向かうのは大事だと思う。それに僕は47都道府県を回って、各地域の皆さんに会いに行ったわけです。だから今回は……わかりますね?(笑)

あんなインティライミ、こんなインティライミ

──ナオトさんの言葉は「アイデア渋滞」「心の肉離れ」など、キャッチーなものが多いですが、その中でも「インティライミ」を交えたものはさまざまなシーンで使われています。例えばCDのクレジットを見ると「マネージャー・インティライミ」「エンジニア・インティライミ」など全スタッフに「インティライミ」と付けられていたり。

あれはずっとやってるよね。もう引き際がわからない(笑)。

──あとはご自身のことを「ティライミ」とおっしゃいます。

ナオト・インティライミ

これはね、学生たちが「ティライミ」って呼ぶようになったから使い始めて。でも「インティ」が太陽で「ライミ」がお祭りだから、切りどころが明らかにおかしいの(笑)。だから本来は「ティライミ」じゃダメなわけ。でも学生たちが言ってたから、使い始めちゃった。そういえばネット上には「ナオト・インティライミで覚える前置詞」なんてのもあって、「ナオトonティライミ」とか「ナオトaboveティライミ」とか書かれていて……。

──Twitterで話題になった画像ですね。

ああやって学生の子たちが遊んでくれるのって素晴らしいなって(笑)。別に「なんだこれ……」とか全然思ってないから。音楽ってああいう遊びと同じくらい身近なものだし。街で僕のことに気付いてくれた人も、スゲーいい友達だと思ってる。「ナオトナオト! ナオトー!!」って言いながら近寄ってくれるの、いいよね。確実に呼び捨てだもんね(笑)。あと「インティライミ」を付けてるのは「熊本ンティライミ」「大阪ンティライミ」とかもあるし。ちょっと卑猥というか……会場が「?」ってなるのだと「高知ンティライミ」「鹿児島ンティライミ」とか。変な雰囲気になるけども動じない。「インティライミ」って付けてるだけだから。

──ライブの参加メンバーのお名前にも「インティライミ」と付いているのですが、1人だけ「キンタマーニ」さんが……。

ヒロアキンタマーニだね。

──彼はなぜ「インティライミ」ではなく「キンタマーニ」に?

バリ島のキンタマーニ高原から取ったんですけど、何かの拍子でライブ中言ってしまったんでしょうね。すごい自然に名付けちゃった。

──なるほど。すごく気になっていたので聞けてよかったです。

ここまで詳しく話す機会、まずないよね。 僕も言えてスッキリしてる(笑)。

常に「自分ここにあり」という旗を揚げる

──今年ナオトさんは「SUMMER SONIC」に出演しましたが(参照:大トリ・ベックはDAOKOとコラボ!マイファス、レキシら集結「サマソニ」2日目)、ナオトさんが登場したステージのトリがジョージ・クリントン率いるGeorge Clinton & Parliament Funkadelicでした。ナオトさんはPファンクがとてもお好きで、ご自身のライブ中のMCでも触れていました。あの日ジョージのライブはご覧になりましたか?

もちろん。バンドメンバーと一緒に乗り込みましたよ。1回目のデビューのとき、僕は1970年代のソウルディスコ、ブラックミュージックに傾倒していて。ジョージは2002年にも「FUJI ROCK FESTIVAL」で来日したんだけど、それも会場まで行って、ステージの最前列で「ジョージー! ジョージーー!!」って叫びながら観てたんだけど、テレビ放送されたときに僕が映り込んでた(笑)。そのぐらい大好きだったから、同じステージに立てるなんてとてもありがたかったですね。

──バックステージでお話したりは……?

ナオト・インティライミ

これがね、帰っちゃった。僕がね(笑)。

──そうだったんですか(笑)。ナオトさんはアンドレス・セペーダやケス、ティト・パリスなど世界各地のミュージシャンと積極的に交流し、共演を果たしてきました。そういった経緯もあったので、「もしかしてジョージとも……?」と考えていたんです。

ジョージたちはあんまり楽屋から出てこないんですよね。でも今回はJ.バルヴィンと話した! 今ラテンが世界を席巻し始めていて、最近の全米チャートの上位50曲中、10曲はラテンが入るぐらい熱くて。実は僕もラテンマーケット向けにスペイン語を使い、マイアミで曲を作ってるんです。J.バルヴィンはラテンミュージック界のスーパースターで、マイアミではまず会えないような人。もう雲の上の存在。そんな人が日本に来て、「サマソニ」で一緒になるんだったら、絶対会いに行こうと思って。映画「旅歌ダイアリー」でアンドレスに絡んでいったときのように、ステージ横で待ってたら会えたんです。それで自分の曲を渡して、スペイン語で「いつか一緒に曲を作りたいんだ」って話して。

──おお!

これでJ.バルヴィンと一緒に何かできるようなことがあったら……事件ですよ。何年かかるかわからないけど、いつかJ.バルヴィンと共作できたときには、このインタビューが「あのとき確かに言ってた!」ってなるわけですよ(笑)。

──ナオトさんでしたら、実現できそうですね……!

いやいや、そんな甘っちょろい世界じゃないよ。確率的には1%にも満たない、奇跡的なことだから。でも「自分ここにあり」っていう旗を揚げておくことは大事。人生のキーマンとなる人に会えたとしても、そこで自分が旗を揚げていなかったら、そのキーマンになったであろう人に見つからないまま終わってしまうから。だからすごい方にお会いしたとき、「自分が何をしたいのか」「何ができるのか」を明確に伝えられるかどうかが、今後何かを起こすためにはすごく重要になると思うんだよね。

ナオト・インティライミ
ナオト・インティライミ
ナオト・インティライミ
三重県生まれ、千葉県育ち。世界28カ国を515日間かけて1人で渡り歩き、各地でライブを行うなど、世界の音楽と文化を体感。帰国後となる2009年には自らのソロ活動のほか、サポートメンバーとしてMr. Childrenのツアーにも同行する。そして2010年4月、ナオト・インティライミ名義でのメジャーデビューシングル「カーニバる?」をリリース。同年7月には1stアルバム「Shall we travel??」を発表し、メジャーデビューからわずか8カ月後の12月には東京・日本武道館公演を開催する。その後2011年には「NHK紅白歌合戦」に初出場。2015年12月には自身初となる大阪・京セラドームでのライブを4万人の観客と共に大成功に収め、2016年11月には全国アリーナツアー11公演を行い、計10万人を動員した。2017年1月31日、自分の原点に立ち返るため世界を回る旅に出ることを宣言し、約半年の旅を経て7月10日開催の「ナオトの日」でシーンに復帰。この旅の模様はドキュメンタリー映画「ナオト・インティライミ冒険記 旅歌ダイアリー2」として劇場公開された。2018年3月からは弾き語りワンマンツアー「こんなの初めて!!ナオト・インティライミ 独りっきりで全国47都道府県 弾き語りツアー2018」を行い、7月に20枚目のシングル「ハイビスカス / しおり」を発表。10月には21枚目となるシングル「Start To Rain」をリリースした。12月5日には7枚目のアルバム「『7』」を発売。12月29日には3年ぶり2度目となる愛知・ナゴヤドーム単独公演「ナオト・インティライミ ドーム公演2018~4万人でオマットゥリ!年の瀬、みんなで、しゃっちほこ!@ナゴヤドーム~」を開催する。
※アルバムタイトル「『7』」の二重カギカッコは一重カギカッコが正式表記。
ライブ情報
ナオト・インティライミ ドーム公演2018~4万人でオマットゥリ!年の瀬、みんなで、しゃっちほこ!@ナゴヤドーム~
  • 2018年12月29日(土) 愛知県 ナゴヤドーム
    OPEN 13:00 / START 15:00