ナタリー PowerPush - ナオト・インティライミ
旅の果てに見つけた ナイスな瞬間をキャッチする
行動してダメなら受け止めつつも「次へ!」
──その受け止める力ってどうやって身につけました?
2回デビューに失敗したっていう経験があるから今があるんだな、とは思います。あのひきこもりみたいになっていた時期があったから、ガンガン外に出なきゃと思えるようになったし、実際旅にも出られている。そしてその旅先、要は海外って、よく言われるように、自分の意見を言わなかったり、自分から行動を起こさないと何も起きないから。躊躇していても誰も拾ってくれないし、救ってくれないんですよね。で、こっちが強気になって自分の意見を言ったところで、別に相手は傷付かない。それでケンカになっても、言い合いが終わってみれば別にスッキリしているというか。旅先では常にそういう環境の中にいるから「行動したけどダメでした」みたいなことが起きても受け止められるのかもしれない。「しょうがない。また声を上げたり、行動を起こしたりすればいいや」って。
古い付き合いのクリエイターと最新サウンドを目指す
──サウンドデザインについても伺いたいんですけど、まさに「今」っていう感じのアレンジャーを起用してますよね。ここ最近のモーニング娘。のEDM路線を引っ張っている大久保薫さんなんかが特に象徴的だと思うんですけど。
でもカオ(大久保)とはもう12年の付き合いだから。最初にデビューしたときのバックバンドのキーボーディストなんですよ。で、お互いすごく趣味が合って。当時は70年代のファンクやロックっぽいことをやってたんだけど、カオはロジャー・トラウトマンが大好きで「ZAPP、ZAPP」言ってて、オレはオレで「P-Funk、P-Funk」言ってる感じで(笑)。
──またお互い、よりにもよって音楽的にもメンバーのプロフィール的にもエグいバンドが好きっていう(笑)。
だから気が合ったんだよね(笑)。GRAHAM CENTRAL STATIONやプリンスやCAMEOみたいなメジャーどころももちろん好きなんだけど、C級みたいなファンクバンドの話で盛り上がったりもするし。そういうふうに感性が近いから、ナオト・インティライミ名義になってからも1stシングルのカップリング「風になれ」の頃から一緒にやってるんですよ。何しろイメージさえ伝えれば、オレの頭の中にあるものにかなり近い音を作ってくれるし、修正をお願いするときも「こうじゃなくて、こうなんだ」って1言えば10返ってくるって感じだからありがたくて。
──ほかのクリエイターとも付き合いは長いんですか。
そうですね。soundbreakersの大野(裕一)くんもFUNKY MONKY BABYSや湘南乃風なんかを手がけてて、今や日本のほっこり系サウンドはこの人に任せておけば間違いないって感じの大御所だけど、2ndシングルの「タカラモノ ~この声がなくなるまで~」からの付き合いだし。だから「365」や「君生まれし日」みたいなメロを際立たせたい曲には大野くんに魔法をかけてもらっていて。あと、ぽち(林田裕一)もやっぱり付き合いは長いんだけど、EXILEや西野カナちゃんみたいな最新のダンスミュージックがすごく得意だから今回もお願いさせてもらって。Jazzin'parkの久保田真悟は「ナイテタッテ」のカップリングの「BANANA」っていう曲をやってもらったらすごくよかったので「恋する季節」にも抜擢してみたっていう。確かに全部、人選は外してない。どの曲もこの人じゃなきゃいけなかったっていうラインナップになってますね。
初対面の日本人とペルーで食事し、ダンサーを獲得
──なぜナオト・インティライミ周辺にはそうやってライトスタッフが集まるんでしょう?
なんででしょうね(笑)。外すことももちろんたくさんあるんだけどなあ。ただ運命的なものはあるのかもしれない。というのも、今、オレのライブでダンサーをやっている義井翔大って、三浦大知くんやV6や、今度の剛力彩芽ちゃんのデビュー曲の振り付けなんかもやってる、ホントに日本のトップクラスのダンサーなんだけど、彼と知り合ったのは、だいぶ前に彼のお父さんとペルーでごはんを食べたからですからね。
──もともとお父さまとお知り合いだったってことですか?
全然(笑)。ペルーで知り合いを介してたまたまお食事をご一緒したのが翔大のお父さんで、そのとき「実は息子がダンスをやってるんですよ」なんて話を聞いただけで。そしたら1年後、オレの日比谷野音のライブに翔大が遊びに来てくれて「この前、ペルーでウチのお父ちゃんに会いましたよね」って。で、今となっては一緒にツアーを回るという(笑)。
──そのペルーの知り合いに「こっちに住んでる日本人と一緒にメシを食おうよ」って誘われたとき、ナオトさんが「いいっスね」って言ってなかったら……。
翔大とは一緒に仕事していなかっただろうね。そういう意味でもやっぱり「catch the moment」していくことは大事なんですよね。パンッて浮かび上がってきたものに対してフットワーク軽くアクションを起こせるようにしておかなきゃいけないし、それ以前にその浮かんでくるものをキャッチできるようにアンテナを立てておかなきゃいけないんです。
- ニューアルバム「Nice catch the moment!」 / 2013年5月15日発売 / ユニバーサル・シグマ
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3800円 / UMCK-9619
- 初回限定盤 [CD+DVD] 3800円 / UMCK-9619
- 通常盤 [CD] 3059円 / UMCK-1445
CD収録曲
- introduction~Do whatcha wanna~
- Brand new day
- 恋する季節
- I'm chi-zu-ers
- 365
- 君生まれし日
- ナイテタッテ
- Ballooooon!!
- しあわせになるために
- 未来スケッチ
- 声をきかせて
- I FEEL IT GOOD
- Catch the moment
初回限定盤DVD収録内容
- ナイテタッテ(MUSIC VIDEO)
- しあわせになるために(MUSIC VIDEO)
- 恋する季節(MUSIC VIDEO)
- Yeah!(Live at 横浜アリーナon 2012.12.07 「ナオト・インティライミ アリーナツアー2012」)
- Hello(Live at 横浜アリーナon 2012.12.07 「ナオト・インティライミ アリーナツアー2012」)
- 君に逢いたかった(Live at 横浜アリーナon 2012.12.07 「ナオト・インティライミ アリーナツアー2012」)
ナオト・インティライミ
三重県生まれ、千葉県育ち。世界29カ国を515日間かけて1人で渡り歩き、各地でライブを行うなど、世界の音楽と文化を体感。帰国後となる2009年には自らのソロ活動のほか、サポートメンバーとしてMr.Childrenのツアーにも帯同する。そして2010年4月、ナオト・インティライミ名義でのメジャーデビューシングル「カーニバる?」をリリース。同7月には1stアルバム「Shall we travel??」を発表し、メジャーデビューからわずか8ヶ月となる12月には東京・日本武道館公演も開催する。その後も2011年リリースの2ndアルバム「ADVENTURE」がオリコン週間アルバムランキング3位、2012年の3rdアルバム「風歌キャラバン」が同1位を獲得、同年末には紅白歌合戦に初出場するなど快進撃を続け、2013年5月、4thアルバム「Nice catch the moment!」をリリースした。