13曲目から聴いてもいい
──11曲目の「FOLLOW YOUR DREAM」は、you(G / Nicori Light Tours、ex. Janne Da Arc)さんがギターで参加していた、メタルっぽいサウンドの曲です。
オーストラリアのThe Living Endというバンドのイメージなんです。ロカビリーとパンクをごっちゃにして、ギターはブリッジミュートでズクズク刻む音も入っているような。僕自体、ハードロックやメタルはあまり通ってないけど、The Living Endにあるメタル要素は好きで。ああいうギターを自分では弾けないので、youさんに頼んだんです。ちゃんとリファレンスとしてThe living Endの話もしたので、よく聴くとギターフレーズがロカビリーっぽくなってます。音色こそ違うけどStray Catsみたいな音使いを入れてるので、そこも注目してもらえたらと思います。
──アルバムの終盤になるとSOUL的なアプローチの曲や、バラードが続きます。
レコードだとしたらA面で勢いのある曲があって、B面で力を抜いて聴きたくなる曲が並んでたらいいなと思いまして。アルバムの終盤にはなってますけど、13曲目の「変わる」から聴きたいと思ってくれる人がいてもうれしいですね。そして最後の「STONE,ROLLIN'」はタイトルにしてもいいかなと思ったくらい、アルバムの軸になっていると思います。
──壮大なロックバラードになっていますが、この曲も過去のストックから?
これはこの5年以内にできた曲です。ただ歌詞は新しいので、独立にあたって発信したメッセージのような、「もう人生あと半分で、どう生きてきたか、どう生きていくか、自分で決意して進んでいくんだ」という意思表明の曲でもあります。
今も卓偉はキーも下げずに歌っているぞ
──来年3月からのツアー「中島卓偉 LIVE 2023 VIVA LA BIG SUNSHINE TOUR」では、「古い曲をたくさんやる」と宣言していますね(参照:中島卓偉「古い曲をたくさんやる」と宣言、春に全国ツアー開催)。
アルバムのリリースツアーを普通にやると、どうしても古い曲が少なくなっちゃうんですよね。ずっと応援してくれているファンを思うとやっぱり古い曲もやってあげたいわけです。セットリストが3パターンあれば、新曲をうまくちりばめられる。「最新のポルシェが最良のポルシェ」なんて言葉があるんですけど、僕はそういうスタンスでやってきたんですよ。新曲に関してはこの先、覚えてもらいたいから、ライブでもしっかり演奏したいし、一緒に作り上げたい気持ちがあります。それもこれも長年ついてきてくれているファンへの感謝の気持ちがあってこそで。
──卓偉さんの“アニキ”的な一面を感じます。
「今も卓偉はキーも下げずに歌っているぞ」という事実が、ファンへの恩返しになるのかなと思うようになりました。古い曲ばかり求めないでくれと思う時期もありましたけど、新曲をたくさんやりたいからこそ、古い曲もたくさんやって、今の僕を知ってもらえたらなと。
──卓偉さんの人生のステージが変化していっているように、古くからのファンも一緒に歳を重ねて、素敵な関係を築けているなあと思いました。
2017年に「我が子に捧げる PUNK SONG」という曲を出して、そのタイミングで自分が結婚していて子供がいることを公表しました。その曲自体は子供のことを歌っているにもかかわらず、とてもパンキッシュな曲になりました。結婚したことも子供がいることも、自分が言いたくたって言えなかったですからね。これは大きな会社に所属している以上、自分の意見が通らない理由もわかるから仕方ないことだったんです。でももう振り切って「我が子に捧げる PUNK SONG」を出したわけですが、賛否が起こるんです。その先のことを考えると、自分をさらけ出したことで離れていく人はしょうがないし、残る人にしか歌えないと思ったんです。
──卓偉さんにとって、プライベートの公表はいい方向に進んだと思いました。
結局どうなったかと言うと、“野郎ファン”がものすごく増えました(笑)。子供がいると宣言して、子供を歌った曲がバラードじゃなくてパンクだったのが「卓偉さんらしいですね」という反応を得て。ハロプロのファンも「卓偉は信用できる」と思ってくれたみたいで、思い切った行動をすることで得られることもあるんだなと。女性ファンに関しても、僕が包み隠さずやっていくぞというタイミングで離れずにいてくれた。もともと結婚していようが子供がいようが、「そんな理由でファンになってないです」と。ビシッと男として家庭を持って、ロックしてるところを男性にも女性にも示していけるなと確信しましたし、自分の役割でもあると思います。これはあくまで自分の話であって、ロックミュージシャン誰もがそうしたほうがいいとは思わないですよ。ただ自分のこと、そして自分の音楽を愛してくれているファンをしっかりとつかんで離さない。ファンとともに活動していくというのはそういうことなんだろうなって。おこがましいとは思いますけど、長く続けていくにはそういったファンの存在は必要不可欠ですから。「ちょっとスキャンダルが出たからファン辞めます」っていうのは、ちゃんと音楽を聴いてもらえてない証拠なんだろうとも思います。
歌い続けるために必要なこと
──卓偉さんの今後の夢は?
昔から変わらず、日本武道館に立つことです。武道館に憧れてミュージシャンになったようなものなんですが、まだ一度もやったことがない。それをいつか叶えたいです。あとは全国ツアーで回れる場所を増やして、47都道府県を回れるようにがんばりたいです。アコースティックギターを1本抱えて、ドサ回りするところからでもいい。そしていつかバンド編成で47都道府県を制覇したい。そのサイクルが毎年のようになったら一番うれしいです。
──これまで以上に精力的にやっていくぞと。
そうですね。ネガティブなことはあまり言いたくないけど、僕が育った環境はとにかく貧乏で、両親が離婚して、家庭がめちゃくちゃな状況になって。高校受験もできずに音楽をやってきた人間なんです。そういう過去の経験からの反骨精神が、体の底から湧き上がっていたマグマのようなパワーに変わって、それは今も消えていないです。「貧乏が嫌だ、金持ちになりたい」という思いをパワーにして上京しましたし、武道館に立つ夢もそのときからありました。音楽でメシを食いたいという大きな夢の中の延長で、家庭を持ったからには自分が体験してきたようなつらい思いを自分の子供にさせるもんかというのもパワーになっています。話が少しそれますけど、スタッフに手配する弁当だって、自分が儲かったのなら少しでもいいものを用意してあげたいと思うし、そういうのも15歳の頃から描いていた夢や、理想の自分像の中に含まれているんです。
──それプラス、最近では「いかに長く続けるか」が加わって。
そうです。この喉がいつまで続くかわからない。24年も続けてくるとやっぱり枯れてきます。スティーヴン・タイラーしかり、矢沢永吉さんしかり、歳を重ねても体を鍛えてストイックにやっている人がいるわけですから、自分もそういう年齢の重ね方をしたい。だから酒もタバコもドラッグもやらずに今日まで活動してきたわけです。体にタトゥーが入ってるから勘違いされがちなんですが、喉のために生活を整えているので、デビューしたときから体型も体重も変わらずに今日まで来ています。だから果たして何歳まで歌えるのかは自分でも楽しみですね。80歳になっても歌っていたい。カート・コバーンやhideさんが生きていたら、絶対に今でも進化しているはずだし、そんなロックスターのことを思いながら、自分だって成長できると信じています。
──健康面の管理もこれからもっと大切になってきますよね。
健康を保つのは本当に大切です。小麦粉も控えているし、運動しない日はありません。食べたいものも食べれずに、だるい日も運動して、「自分は何と戦ってるんだ?」と思うこともあります。でも大好きな衣装を着て、大好きなお客さんの前で自分の歌を歌っていると、やっぱりストイックな生活を続けてきてよかったと思えるんです。ライブ前に鏡に写った細いパンツを履いた自分を見て、「ああこの日のためにがんばってるんだ」と思うから。「ヤバい、なんか太ったかも」と思うことがないように続けてきているし、ファンも絶対にストイックな自分を観たいと思ってくれているでしょうから、これからもっとがんばって、続けられるところまで自分のスタンスを貫き通したいです。
ライブ情報
音渦-otouzu-
2023年2月4日(土)東京都 新宿ReNY
<出演者>
中島卓偉 / 植田真梨恵
中島卓偉サポートメンバー:you(G / Nicori Light Tours、ex. Janne Da Arc)、TAKUMA(B / wyse)、SHINGO(Dr / THE TERROR'S 666、ex. JURASSIC)
中島卓偉 LIVE 2023 VIVA LA BIG SUNSHINE TOUR
- 2023年3月11日(土)福岡県 DRUM Be-1
OPEN 15:00 / START 15:30
※Version 1 BIG SUNSHINE & GREATEST SONGS - 2023年3月12日(日)福岡県 DRUM Be-1
OPEN 14:00 / START 14:30
※Version 2 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK - 2023年3月18日(土)宮城県 仙台MACANA
OPEN 15:00 / START 15:30
※Version 1 BIG SUNSHINE & GREATEST SONGS - 2023年3月19日(日)埼玉県 HEAVEN'S ROCK さいたま新都心 VJ-3
[昼公演]OPEN 14:00 / START 14:30
※Version 2 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK
[夜公演]OPEN 17:00 / START 17:30
※Version 3 TAKUI SONGS ONLY LIVE - 2023年4月8日(土)東京都 Veats Shibuya
OPEN 15:00 / START 15:30
※Version 1 BIG SUNSHINE & GREATEST SONGS - 2023年4月9日(日)東京都 Veats Shibuya
[昼公演]OPEN 14:00 / START 14:30
※Version 2 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK
[夜公演]OPEN 17:00 / START 17:30
※Version 3 TAKUI SONGS ONLY LIVE - 2023年4月15日(土)大阪府 BIGCAT
[昼公演]OPEN 14:00 / START 14:30
※Version 1 BIG SUNSHINE & GREATEST SONGS
[夜公演]OPEN 17:00 / START 17:30
※Version 3 TAKUI SONGS ONLY LIVE - 2023年4月16日(日)愛知県 ElectricLadyLand
[昼公演]OPEN 14:00 / START 14:30
※Version 2 BIG SUNSHINE & BAD SPEED PUNK
[夜公演]OPEN 17:00 / START 17:30
※Version 3 TAKUI SONGS ONLY LIVE
サポートメンバー:you(G / Nicori Light Tours、ex. Janne Da Arc)、NAOKI(B / FANTASISTA)、SHINGO(Dr / THE TERROR'S 666、ex. JURASSIC)
プロフィール
中島卓偉(ナカジマタクイ)
1978年10月19日生まれ、福岡県出身のロックアーティスト。1994年に上京し、1999年10月21日にTAKUI名義のシングル「トライアングル」でデビューを果たす。以後、ライブを主軸に音楽活動を展開。2006年に名義を本名の中島卓偉に変え、「メッセージ」「3号線」などさまざまな楽曲を発表していく。また作家としても活躍し、安倍なつみやTHE ポッシボー、小川真奈、真野恵里菜、アンジュルム、つんく♂らに楽曲を提供した。2022年3月には約18年間にわたって在籍していた事務所ジェイピィールームおよびアップフロントグループを退所。4月に株式会社FOR ROOTSを立ち上げ、代表取締役に就任する。同年11月に東京・SHIBUYA PLEASURE PLEASUREでワンマンライブ「NEW RISE,BIG SUNSHINE」を開催し、12月に約7年ぶりのニューアルバム「BIG SUNSHINE」をリリースした。2023年には全国ツアーを控えている。
TAKUI NAKAJIMA OFFICIAL WEB SITE - 中島卓偉オフィシャルウェブサイト