中島愛|新たなフェーズで手に入れた後悔なしのニューシングル

8年越しの初タッグ

中島愛

──カップリング曲「夏の記憶」の作詞および作編曲は三浦康嗣(□□□)さんですが、三浦さんとはこれが初タッグですか?

初めてです。ずっとファンで、実は「Thank You」(2014年2月発売の3rdアルバム)のときくらいまで書いてほしいアイデアがあったんですけど、タイミングが合わなくて流れてしまって。そのあと私が音楽活動を休止してしまったのでご一緒できず、今回7、8年越しにようやく「書いてください」と言えました。

──ではこの曲は長年温めたアイデアがあって三浦さんにお願いしたんですね。

私は□□□が大好きなので、具体的な曲名を挙げながら打ち合わせをさせていただきました。歌モノが多いアルバム「JAPANESE COUPLE」の路線と、ラップともしゃべっているともつかない「00:00:00」の感じを合体させて、「恋はリズムに乗って」のポップさも欲しい……みたいな感じで。三浦さんはとにかく私のレパートリーにないものを作りたいとおっしゃってくれて、デモが届いたときにはうれしすぎてずっと聴いていました。聴きすぎて1時間後ぐらいにはもう「いつでも仮歌入れられます!」みたいな(笑)。

──欧米のポップスのトレンドを感じさせる音数の少なさが心地いいですね。

ラップでもなく、ポエトリーリーディングでもなく、セリフでもないけれど言葉を使った遊びみたいなものがこの曲の導入の部分に使われていて、そこではほとんど音が鳴っていないんです。自分の声が楽器みたいな扱いで面白かったです。

──演奏陣も千住宗臣さん(Dr)、村田シゲさん(B / □□□)、荒井岳史さん(G / the band apart)と豪華です。

千住さんのレコーディングは見学できました。機械みたいに規則正しいけど本当に人間が叩いているんだなっていうものすごいドラムで、これが曲の肝になったと思います。

──もう1曲のカップリング「Kailan」はフィリピンのアーティスト・Smokey Mountainのヒット曲をタガログ語のままで歌ったカバーです。ベストアルバムに映像で収録されていたのみなので、今回は満を持しての音源化ですね。

そうですね。どこかの作品には音源を入れたいと思っていたので、早く収録できてよかったです。

これは後悔ない

──聴き応えのある4曲がそろったので、いい環境で試聴会などがあると楽しそうですね。

あー、いいですね! どの曲もサウンド的に大好きなのでやりたいです。

──最初に新機軸満載とお伝えしましたけど、中島さんご自身はどのような実感をお持ちですか?

今まで作品を出すたびにいろいろなインタビューを受けてきて、「次はどんな新しいことに挑戦したいですか?」と聞かれることが多いんですけど、毎回難しい質問だなと思っていて。1日でめちゃくちゃ歌がうまくなることはないし、今までにない表現が急にできるようになるわけじゃないので、毎回新しいことを提示できるかな、という不安がここ1年ぐらいあったんです。だから無理に新しいことにこだわったり、奇をてらうことを一度手放したんですね。余計な考えを削ぎ落していったら今回のフェーズにたどり着いたみたいな。私の作品は人との出会いが重要になってくるので「ほかの誰とも出会ってなさそうな人と出会おう」という道を選択したら、そこから新しい道が開けていった感じです。

──新しい一歩として出したシングルとしては大成功?

これは後悔ないですね! 将来自分の年表を振り返ったとき、すごくいい繰り出し方をしたなと思えるんじゃないかなって。

──新しいフェーズを迎えた今なら、チャレンジしたいことも増えたのでは?

そうですね。まずはやっぱりフルアルバムをもう1回作りたいという気持ちがあります。まだまったく決まっていませんが、次にアルバムを出せるとしたら全然やったことのないタイプの曲にも挑戦したいので、これまでと違う角度から切り込んだフルアルバムを出すことが1つの目標ですね。……実はまだ誰にも話していないアイデアがあるので、それを叶えたいです。

中島愛