中島愛|30の愛を込めて

母の故郷で収めたメモリアルイヤーの記録

中島愛

──映像としてはもう1つ、フィリピン訪問時の様子を収めた特典映像「Megumi Nakajima in Philippines」もMVと共に初回限定盤付属のBlu-rayに収録されます。この映像では音源化されていないタガログ語のカバー曲「Kailan」を歌われていますけど、詳しく教えていただけますか?

この曲は私が生まれた頃にフィリピンでヒットしていた曲で、私は高校生のときに母と行ったフィリピンでたまたまその曲をカーラジオで耳にしたんです。オリジナルはSmokey Mountainというバンドの曲なんですけど、私が聴いたのはM.Y.M.P.というアコースティックデュオのバージョンで。すぐに調べて現地でCDを買いました。その後デビューしてから何度かアジア圏で単独コンサートを行う機会があって、そのときにライブだけのカバー曲として「Kailan」を披露していたんです。当時のライブを観たファンの方から「あの曲はCDにならないんですか?」とたまに聞かれていたけど、音源化の予定は特になくて。でも去年、フィリピンの「Cosplay Mania 2018」というイベントに呼んでいただいたときに「フィリピンは母の故郷だし、そこで映像と写真を撮って、メモリアルイヤーの記録として残すのはいいんじゃない?」という話になって、そこで歌うのはどうだろう?って。母を発音指導でスタジオに呼んでレコーディングしました。

──それでもあくまで映像のみなんですね。

そうですね、今のところ。もし反響があれば……今回は西脇辰弥さんにアレンジとピアノの演奏をお願いしたんですけど、いつもライブでご一緒しているのもあって息ぴったりの出来になったので、私としても音源化できるとうれしいです。

──音源としては、やはり中島さん作品ではおなじみのラスマス・フェイバーさんが新たなミックスを施した「Ame(Rain)」の別バージョン「Ame(Rain)-10th Anniversary Remix-」も収録されます。

これはラスマスさんがいつも通り……「『Ame』を入れたいんですけど」とお伝えしたら「新しいのあるよ?」って(笑)。

──活動再開のときも依頼する前から曲を準備していたり(参照:中島愛「Curiosity」インタビュー)、ラスマスさんは何かと行動が早いですね(笑)。

「ずっとリミックスしたいと思ってたんだよね」って(笑)。びっくりしましたね。「Ame」はゲストボーカルものとして節目になった1曲なので絶対に入れたいと思っていたんです。オリジナルバージョンも大好きでしたけど、より前のめりで、よりあとを引く感じのアレンジが素晴らしいですね。

念願のアナログ

──そして今作はついに、アナログ盤もリリースされます。アルバム「Curiosity」の特典としてプレスされた7inchはあったものの、正規のリリースは初ですね。

中島愛

次にいつ「アナログ出してもいいよ」と言っていただけるかわからないので、話があったときは食い気味に「はい、出しましょう!」と言いました(笑)。

──音質を損なわないであろう曲数に絞って。

はい。そこは私のこだわりもあるけど、佐々木さん(FlyingDog代表取締役・佐々木史朗氏)のこだわったところです。CDのほうはDISC 1もDISC 2もそれぞれ時系列でまとめてあるんですけど、アナログは曲順も考えました。アナログは盤をひっくり返すという作業があるので、そこを考えながらの選曲は初めてで楽しかったです。「星間飛行」はランカ・リー=中島愛名義だけど、個人的にどうしてもレコードで聴きたくて。「『星間飛行』7inch切らないの?」といろんな方に言われてきましたけど(笑)、今後いつアナログが出せるかわからないので絶対に入れたかったんです。

──「マーブル」(2012年8月発売のシングル)はオリジナルバージョンではなく「マーブル -bis-」なんですね。

シングルのカップリングに入っていた、ラスマスさんの1分半ぐらいのピアノインストです。佐々木さん以外はスタッフの方もレコード時代を体験していないんです。B面3曲目の「金色~君を好きになってよかった」(2012年3月発売のアルバム「Be With You」収録曲)のあとに「ちゃんと畳むような1曲があったほうがいい」と佐々木さんがアドバイスをくださって。

──収録分数の問題に加えて、溝の内側と外側で音が違うみたいなところまで考えての判断ですかね。

その通りです。アナログは音の違いも考えて曲順が決まってたんだなと勉強になりました。

10周年ライブでひと区切り

中島愛
中島愛

──7月21日にはデビュー10周年を記念したワンマンライブも決定しています。これはやはりベストアルバム発売を前提としたライブになるのでしょうか。

そうですね。ただ、タイトルをアルバムと同じにしなかったのは、そうしちゃうとベスト盤以外の曲が歌えなくなるので。ベスト盤の曲を中心にしつつ、ベストオブベストな選曲でやりたいと思っています。

──長らく続いた10周年にまつわるあれこれが、このライブでいよいよひと段落ですね。

はい。30歳という新たな自分キャンペーンが始まるとは思うんですけど、ここまでの流れはライブでひと区切りになると思います。この半年ぐらいだけでも新しい出会いがたくさんあって、これだけ続けていてもまだまだ発見があるんだなとうれしくなりますね。

──ここから先については楽しみなことしかない?

いや……。

──えっ?(笑)

基本ネガティブなので(笑)。え? 楽しみしかないですか?(周りの女性スタッフに)先輩たちのポジティブな声を聞くと勇気付けられます(笑)。みんなに早いよって言われるんですけど、私、40代の自分を想像しているんです。30代をどう生きるかが、40代の顔つきに出るような気がして。自分の理想の40代になるためには、30代をがんばらなくちゃいけないんです。「楽しそうだな、楽しみだな」という気持ちはあるものの、いい意味で自分にプレッシャーをかけながらやっていくのがいいかなと思っています。

公演情報

中島 愛 10th Anniversary Live ~Best of My Love~
  • 2019年7月21日(日)東京都 恵比寿ザ・ガーデンホール