音楽ナタリー Power Push - 中田裕二

男気香り立つ“日本版ネオビンテージソウル”の神髄

自身のルーツに根付いた歌謡曲やブラックミュージックが持つロマンティシズムやダンディズム……それらを言葉とメロディににじませながら、作品を重ねるごとに音楽の味わいを深めてきた中田裕二。そんな彼が、2015年秋のアルバム「LIBERTY」に続いて届けるのが、ニューシングル「ただひとつの太陽」だ。

ソロでのキャリア6年目にして初のCDシングルを発表するというのも意外なトピックだが、それ以上に、人生観を忍ばせたロッカバラード調のラブソングをシングル曲として用意してきたことにも驚きを覚える。彼は現在の音楽シーンの中でいったい何を思い、どこに進もうとしているのか。じっくりと話を聞いた。

取材・文 / 久保田泰平 撮影 / 小原泰広

CDシングルを選んだ理由

──アルバム「LIBERTY」(2015年11月発売)を引っ提げてのツアーも4月17日の中野サンプラザ公演を残すのみとなりましたが、手応えのほうは?

けっこう混乱しながらも楽しくやってますね。今回はバンドセット、スリーピース、弾き語りの3パターンでツアーをやったので、バンドセットの翌日にアコースティックセットのライブがあったりして、おんなじ曲をまったく違うアレンジでやったりするから構成を間違えたり(笑)。でも、それはそれでスリリングで楽しかったりするし。

──バンドセットでのツアーは、中田さんにとって初のホールツアーですね。

中田裕二

そう、すごく評判もよかったですね。お客さんもみんな楽しそうな顔をしていて。あとね、スタンディングのところでやるときよりも盛り上がってたかな。まあ、音楽的にもこっちのほうが合ってるのかなあって、それはやりながら思いましたね。いい感じでしたよ。

──もうちょっとやりたかった?

そうですね、あっという間だったから。

──そのツアーファイナルを前にして新しいシングルが出ますが、意外にもパッケージとしてシングルを出すのはソロになって初めてなんですよね。

そうなんですよ。

──これはまたどういう流れで?

レコード会社をテイチクに移籍してきたときから「シングル盤を出したいね」という話はスタッフともしていたんです。でも、CDシングルって今どきそんなに売れるものではないし、配信という形態もだいぶスタンダードになってきてるのもあって、盤で出す意味があるのかどうかっていう。ただ、お客さんからはこれまでも“モノ”で欲しいっていう要望が多かったんですよね。それでまあ、スタッフも「出そう出そう!」と言ってくれたんで、じゃあ、出しましょうと。

──今言ったようなご時世で、レコード会社のほうから「出そう出そう!」となるのはありがたいですよね。

むしろこっちが遠慮するっていう(笑)。でもなんか、自分の音楽は雰囲気的にもCDシングルって合ってるかも……みたいな。

──中田さんの曲っていうのは、レコード会社の宣伝マンがせっせとラジオ局に皿を持っていって「よろしくお願いします!」っていう昔ながらのプロモーションが似合ってるようなところもある、と個人的には思うんですけど。

そういう感じなのかな(笑)。でもまあ、演歌の世界とかシングル文化ですもんね。だからまあ、今回はテイチクならではなのかもしれないです。テイチクに寄ったのかな、さらに(笑)。

LPは2回クライマックスが訪れる

──パッケージと言えば、最近はCDシングルではなく、配信とアナログ盤で出すという手段を取る人もいますよね。

中田裕二

それもやりたいんですよねえ。最近は自分でもアナログで音楽を聴くことが多いんですよ。だから出したくてしょうがない。

──アナログではどのへんの音楽を聴いてるんですか?

CDで持ってるものをアナログで買い直したり……だから、ほとんど昔のやつですね。だいたい洋楽ですけど。邦楽では、安全地帯のアルバム「II」~「IV」を買いそろえました。そもそもこれ(アナログ)で俺は安全地帯を聴いてたんだって、原体験に戻ってすごく感動しましたよ。「安全地帯 II」で言うと、5曲目に「あなたに」っていうバラードが入ってるんですけど、この曲がA面の最後の曲っていう感覚がね、CDだとわからないんですよ。なんでこんなド真ん中(10曲中の5曲目)にバラードが入ってくるのかって、CDで親しんでたときに思ってたんですけど、合点がいきました。なるほど、A面のフィナーレとしてここにバラードが来るんだ!って。つまり、LPはアルバムの中で2回クライマックスが訪れるっていうことなんですよね。だから、自分の次のアルバムはそうしようかと思って。

ニューシングル「ただひとつの太陽」 / 2016年4月13日発売 / IMPERIAL RECORDS
初回限定盤 [CD] 1944円 / TECI-501
通常盤 [CD] 1080円 / TECI-502
初回限定盤 収録曲
  1. ただひとつの太陽
  2. 夜をこえろ
  3. ひかりのまち
  4. BUG
  5. イニシアチブ
  6. モーション
  7. Steady
  8. ROUNDABOUT

※これまで配信限定でリリースされた未CD化音源6曲をボーナストラックとして収録。

通常盤 収録曲
  1. ただひとつの太陽
  2. 夜をこえろ
  3. ただひとつの太陽(カラオケ)
  4. 夜をこえろ(カラオケ)
中田裕二 TOUR 16 "LIBERTY" 最終公演

4月17日(日)東京都 中野サンプラザホール
OPEN 16:00 START 17:00
料金:全席指定 6300円
発売中

中田裕二(ナカダユウジ)
中田裕二

1981年生まれ。熊本県出身。2000年に宮城県仙台にて椿屋四重奏を結成する。2003年にインディーズデビューを果たし、2007年にはメジャーシーンへ進出。歌謡曲をベースにした新たなロックサウンドで多くの音楽ファンを獲得したが、2011年1月に突然の解散を発表した。同年3月に新曲「ひかりのまち」を中田裕二名義で配信リリースし、本格的にソロ活動を開始する。以降は精力的に新作リリースとライブを重ね、2015年11月には5作目のオリジナルアルバム「LIBERTY」を発表した。2016年4月にはソロ初のCDシングル「ただひとつの太陽」をリリース。