ジェットコースターでは終わらせない

──8曲目の「Spread Your Wings」は、“旧みやかわくん”的というか「イダテンドリーマー」の系譜の曲ですよね。内容も応援歌ですし。

そうですね。ここからはさわやかゾーンです。この曲は「イダテンドリーマー」よりはラフな感じで、「とりあえず人生は一度きりなんだから自分だけが持っているその羽根を広げて自分らしくいたらいいんじゃない？」という思いを歌った曲です。

──そこから「イダテンドリーマー」へと続き、このアルバムは爽快に終わるのかと思いきや、最後には「失い」というメロウな曲で締めくくられます。「失い」というタイトル通り喪失感や失ってから気付く大切さを歌った1曲ですが、なぜこの曲を最後に持ってきたんですか？

「RÉBECCA」が1つのテーマパークだとして、収録曲をアトラクションのように考えて配置したんです。テーマパークはアトラクションを回る順番とかも大事じゃないですか。途中テンションが上がってきて絶叫マシンに乗って、最後はメリーゴーランドに乗って「楽しかったね」って余韻に浸りながら帰る、みたいな。「イダテンドリーマー」のようなジェットコースターに乗って終わるのもいいんですけど、最後に僕は「失い」という曲を用意したんですよね。「失い」は自分が今まで書いてきた歌詞の中で一番納得がいく歌詞が書けたんですよ。自信のある曲なので、この曲をしっとりと聴いて、余韻の中でまた1曲目の「OVERDRIVE」へと戻ってもらえたらと思っています。

──みやかわくんの曲はこれまでハッピーエンドなものが多かったですけど、この曲はバッドエンドとまでは言いませんが、決してハッピーエンドではないですよね。

はい。最後の最後まで失ったものは取り戻せないというしんみりした終わり方にしてみました。「みやかわくんが書く歌詞はハッピーエンド」という予定調和を壊したかったという理由もあります。アルバムが「イダテン」で終わったら「みやかわくんらしいね」で終わっちゃうなあとも思って（笑）。

このアルバムは大人にも刺さるはず

──1枚を通して聴いてみると、昔よりも歌詞に深みが増したなと感じました。「スターランド」を聴いた人が想像する情景はきっとみんな同じだったと思うんですけど、今回のアルバムの曲たちはいろんな捉え方ができる歌詞も多くて。これはみやかわくんの1年間の成長なのかなと思いました。

中身が濃くなったなと自分でも思います。

──今までの作品は楽曲のテーマがそのままジャケットアートワークになるというわかりやすいものでしたが、今回はモヤモヤとした深緑の背景にアルバムタイトルの「RÉBECCA」の文字が真紅で描かれたシンプルなものになっていますよね。

背景はもともと葉っぱのイラストだったんですよ。それをわざと崩してあえて抽象的なデザインにしたんです。「どんな曲が入ったアルバムなんだろう？」とワクワクしてもらいたかったんですよね。

──アルバムタイトルの「RÉBECCA」にはどんな意味を込めたんですか？

「これがアーティストみやかわくんだぞ」というのを今応援してくださっている方々に伝えて、名前ぐらいは知っているみたいな人には「みやかわくんはこれだ」と伝えたいという強い思いがあったからです。「RÉBECCA」は「魅了する」という意味なんですけど、このアルバムでいろんな人を魅了して、1つのジャンルにとらわれずにいろんな曲を自由に歌っている自分をもっとたくさんの人に知ってほしくて。きっとこのアルバムは10代のリスナーさんたちだけじゃなくて、もっと大人の方にも刺さると思うんですよね……そういう要素を散りばめているので。音楽通にはわかる仕掛けを生意気ながら盛り込ませてもらっていてるので、気付いてくれたらうれしいです。

──確かにこのオマージュは、例えば10代の子が家で流してたら親御さんが反応する、みたいなことも起こりそうですね。

ああ、いいですね。そういうふうになったらうれしいです。

──そういえば「略奪」のリリース直前にTwitterで「そんな僕は今書いている曲に3日間苦戦し続けてそろそろ病み期に突入しそうです」とツイートしていましたが、その曲は「RÉBECCA」に入っているんですか？

それはこのアルバムには入っていない曲なんですよ。また新しい一面を見せられる新曲を書いているので楽しみにしていてください（笑）。

──もうすでに新曲にも取り掛かっているんですね。楽しみにしています。でもまずはツアーと武道館を成功させたいですね。もうすでに構想はあるんですか？

えーと……ツアーはまだですが、武道館は演出にこだわりたいなと思っています。flumpoolさんのファンクラブツアーを観たときに、トークも面白いし、アンコールの演出とかもすごくこだわっていていいなあと思ったんですよ。僕も武道館では予算の許す限りいろいろやりたいなと思っています。