MUCC「1997」全曲解説インタビュー|自らの通過点を見据え、生み出した珠玉の16曲 (3/3)

11. △(トライアングル)
[作詞:YUKKE / 作曲:YUKKE、ミヤ]

──11曲目に収録されている「△(トライアングル)」は難易度高めのアレンジですね。

YUKKE これは2年くらい前に、これまでとは違うタイプの曲を作ろうと思って作曲しました。自分としてはプログレはそこまで通ってないんですけど、難解なプレイがカラフルな印象につながるところがあって。Pink Floydの「狂気(英題:The Dark Side of the Moon)」のジャケットのイメージを浮かべながら作りました。

YUKKE(B)

YUKKE(B)

ミヤ Pink Floyd、King Crimson、Yesのようなアプローチなので、90年代とは関係ないんですけどね(笑)。

逹瑯 難解だけど、楽器隊は楽しく演奏するんだろうなと。歌のパートは少なめなので、ライブで自分は何をやろうかなと思ってます。

ミヤ YUKKEがこの曲のようなラフな詞を書くのも初めてだと思うので、そこも新鮮でよかったです。

12. 不死鳥
[作詞・作曲:逹瑯]

──「不死鳥」もこのアルバムの軸になっていると思います。壮大なサウンドですよね。

逹瑯 作ったときはもっとテンポが速くて、キャッチーでシングルになるようなアレンジだったんです。そこからテンポを落として、アレンジも変えて。歌詞はあえてサウンドに寄らないという選択をしました。印象的なリフも入ってるんですけど、そこは一旦無視してメロディだけ口ずさみながら「この空気感、温度感をもとに歌詞を書こう」と。

──創作に対する思いが込められた歌詞なのかなと。

逹瑯 27、28年くらいバンドをやってると、歌詞を書くのもだんだん大変になってきて。「October」みたいに実際の出来事が元になる場合は違うんですけど、歌いたいこと、言いたいこと、明確なテーマみたいなものは出にくくなってくるんですよ。昔は湯水のように出てきたのに、昨今は絞り出している。そういう現状を歌詞にしてみようと思ったんですよね。最終的にはネガティブではなくて、「ここからもう1回、羽ばたいていきたいよね」と、光が見える感じで終わらせたいなと思いながら書きました。

ミヤ この歌詞、すごく好きなんですよ。俺のアレンジを真っ向から覆すような歌詞だったんですけど、それが逆によかった。そういう予想外のことがないとバンドじゃないので。

YUKKE 制作の中でどんどん曲が育っていって。その過程も面白かったですね。

「MUCC TOUR 2024『Daydream』」の様子。(撮影:冨田味我)

「MUCC TOUR 2024『Daydream』」の様子。(撮影:冨田味我)

13. 空っぽの未来
[作詞:逹瑯 / 作曲:YUKKE、ミヤ]

──続く「空っぽの未来」は、3人の共作による楽曲。すごくポップですね。

YUKKE 最初はバラードを作ろうと思ってたんですよ。逹瑯の書いた歌詞が乗って、アレンジを加える中でこの形になりました。アルバムの中でも異彩を放ってる曲だし、すごく好きですね。

ミヤ サビのメロディがすごくよかったから、「これをポップスにするにはどうアレンジしたらいいだろう?」と考えて。メロディを足したりして、サビを引き立てるアレンジにしていきましたね。これも「愛の唄」と同じ時期に作ったので、ちょっとうろ覚えですけど。

逹瑯 曲が明るくてキャッチーだと、俺は暗い歌詞を付けたくなっちゃうんですよ。明るい歌詞にもトライしたんだけど、やっぱりしっくりこなくて、だったら自分がイメージするものにしようと。今の世界って、このままいい方向に進まず、悪いことばかりが起きて終わっていくようにどうしても感じられてしまうんですよね……。俺、THE BLUE HEARTS「1000のバイオリン」が大好きで、この曲ではあの歌詞に通じるような景色をリスナーに見せたかったんです。曲調やテンポ感は違いますが。

──メンバー3人のクリエイティブが混ざり合ってるんですね。

ミヤ そうですね。アルバムの終盤に合うと思うし、入れることにしたのはプロデューサーの宗清さん(THE YELLOW MONKEYのディレクターとしても知られる宗清裕之氏)がこの曲を推してくれたのもデカいです。

14. 蒼
[作詞・作曲:ミヤ]

──「蒼」はミヤさんの創造性が発揮されていますね。

ミヤ 歌詞の内容とかではなくて、精神世界を描写した曲がアルバムにねえなと思って。サウンドや歌を含めて、自分の精神そのものを表現するべきだと思って、制作の最後の最後に追加しました。

ミヤ(G)

ミヤ(G)

逹瑯 あえて言葉が聞き取れなくていい歌い方のアプローチをしてます。こういう空気感の曲は俺も好きだし、アルバムに入ってよかったなと。

YUKKE ベースはすごく淡々としていて、その中でボーカルやギターが生き生きと転がっていく感じがある。その対比がいいなと思うし、ライブで演奏できるのが楽しみです。俺が激しく動いても、微動だにせず弾いても成立する曲だと思います。

15. 愛の唄(2025 Remaster)
[作詞:逹瑯 / 作曲:ミヤ]

──「愛の唄(2025 Remaster)」はアルバムの起点になった曲でしょうか?

ミヤ そうですね。「愛の唄」は「MUCCでまだやってないアプローチ、いっぱいあるじゃん」というところから制作が始まりました。作りながらMUCCを始める前に逹瑯がボーカル、俺がドラムでBUCK-TICKのコピーバンドをやったことを思い出したり。昔、BUCK-TICKの「唄」をやったよね?

逹瑯 やったんじゃないかな。あとは「見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ」とか「密室」とかもカバーしてた。

ミヤ うん。そのことを思い出さなかったら、「愛の唄」は完成しなかったかもしれないですね。

逹瑯 この曲がアルバムのラスト近くにあることで、「この『1997』のプロジェクトは、ここから始まったんだな」と再認識できるというか。「愛の唄」にシングルらしさを感じられるのは、自分たちの音楽的なルーツが関係しているんだろうなと思います。

YUKKE 3度目のメジャーデビューシングルなんですけど、イントロから「ここから始まる」という感じもあって。改めて「すげえシングルだな」と思いますね。

16. Daydream Believer
[作詞・作曲:ミヤ]

──そしてアルバムのラストを飾るのが「Daydream Believer」。美しい曲ですね。

ミヤ 90年代をコンセプトにしたアルバムですけど、「Daydream Believer」だけは自分たちのルーツであり、ずっと消えない“もの”をもとに書いた感じですね。「これを表現したい」というきっかけもあるんですが、そこはあえて説明するつもりはなくて。ミュージックビデオを撮ったので、そのあたりから汲み取ってもらえたらと思います。

逹瑯 すでにライブでやってるんですけど、レコーディングしたときよりサウンドがドラマチックになっていて。歌のアプローチもかなり練ったし、お客さんからも「この歌い方はあまり聴いたことがない」と言われます。

YUKKE 「愛の唄」を作ったすぐあとにできた曲でもあるので、自分の中ではすごく印象に残ってます。この曲がアルバムの最後でよかったなと。次のツアーでは響き方が変わってくるんじゃないかな。

メンバー全員が感じる確かな手応え

──1つひとつの楽曲にストーリーがあって、音楽性、サウンドを含めて、めちゃくちゃ濃密なアルバムだと思います。アルバムを携えたツアーも控えていますが、この先のMUCCについてはどんなビジョンがありますか?

ミヤ 「1997」はここ何年かのMUCCの作品の中でも秀作だと思うんですよ。まずはこのアルバムを大切にしていきたいですね。ちゃんと曲を噛み砕いていきたいし、まだまだ広がる要素があるので。まあ、ツアーをやってみないとなんとも言えないですけど。

逹瑯 結成30周年が手の届くところまで来ているので、しっかりこの先について考えながら活動をしていきたいです。やりたいこともけっこう出てきているけど、どこまで実現できるか頭を使ってやっていかなきゃという感じですかね。

YUKKE あと2年で結成30周年というのもありますけど、とにかく今回のアルバムはすごく面白いものになったと感じていて。MUCCのお客さんはもちろん、90年代を知らない若い人たちにも、90年代を通ってきた人たちにも楽しんでもらえるだろうし、いろんな人に届いてほしいなと。この記事を読んで「聴いてみようかな」と思ってもらえればうれしいし、いろんな広がり方をしたらいいなと思ってます。

MUCC

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公演情報

MUCC TOUR 2025「Daydream 1997」

  • 2025年4月5日(土)新潟県 NIIGATA LOTS
  • 2025年4月6日(日)石川県 金沢EIGHT HALL
  • 2025年4月12日(土)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2025年4月13日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2025年4月19日(土)岡山県 CRAZYMAMA KINGDOM
  • 2025年4月20日(日)香川県 高松MONSTER
  • 2025年4月26日(土)京都府 KYOTO MUSE
  • 2025年4月27日(日)兵庫県 MUSIC ZOO KOBE 太陽と虎
  • 2025年5月3日(土)福岡県 BEAT STATION
  • 2025年5月4日(日)福岡県 BEAT STATION
  • 2025年5月7日(水)東京都 Zepp Shinjuku(TOKYO)
  • 2025年5月10日(土)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2025年5月11日(日)北海道 札幌PENNY LANE24
  • 2025年5月17日(土)宮城県 Rensa
  • 2025年5月18日(日)秋田県 Club SWINDLE
  • 2025年5月24日(土)大阪府 GORILLA HALL OSAKA
  • 2025年6月1日(日)愛知県 DIAMOND HALL
  • 2025年6月7日(土)神奈川県 CLUB CITTA'

MUCC TALK TOUR 2025「MC」

  • 2025年4月13日(日)茨城県 mito LIGHT HOUSE
  • 2025年5月4日(日・祝)福岡県 BEAT STATION
  • 2025年5月11日(日)北海道 札幌PENNY LANE24

2025スペシャルMUCC day!「ムックリ クエストLIVE-序-」恵比寿 The Garden Hall

2025年6月9日(月)東京都 恵比寿 ガーデンホール

プロフィール

MUCC(ムック)

1997年に茨城で結成された、逹瑯(Vo)、ミヤ(G)、YUKKE(B)からなるロックバンド。日本語にこだわった文学性の強い歌詞と、ヘヴィロックやラウドロックの影響をミックスさせた音楽性が国内外で評価されている。2002年にデンジャークルー・レコード内に自主レーベル・朱を設立。2003年にシングル「我、在ルベキ場所」でメジャーデビューし、2005年にはドイツで初の海外公演を行うなど活動の場を広げた。結成15周年を迎えた2012年には千葉・幕張メッセにてワンマンライブを開催。2019年2月には期間限定メンバーとして吉田トオルを迎えたアルバム「壊れたピアノとリビングデッド」を発表した。2021年10月をもってSATOち(Dr)が脱退し現体制に。2022年6月に現体制初のフルアルバム「新世界」を発表し、同年10月から過去のアルバムを中心とした再現ライブツアーシリーズ「Timeless」を開催。2023年12月に東京・東京国際フォーラム ホールAで結成25周年を締めくくるワンマンライブを行った。6月9日を「ムックの日」とし、毎年さまざまなイベントや企画を実施している。2024年6月にシングル「愛の唄」を徳間ジャパンコミュニケーションズからリリースし、3度目のメジャーデビューを果たした。2025年4月にニューアルバム「1997」を発表。