06. Guilty Man
[作詞:逹瑯 / 作曲:ミヤ]
──「Guilty Man」はギターサウンドがめちゃくちゃカッコいいです。ミヤさんとしてはどんな曲想があったのでしょうか?
ミヤ この曲は「愛の唄」のタイミングで録っているので、1年くらい前には完成してました。90年代のミクスチャーロックに対するオマージュを入れつつ、そこにどんな新しい要素を乗せるか?を考えながら作ったんですが、ちょっと記憶がおぼろげですね。90年代の激しい音楽のサウンドって、録音機材のクオリティの問題もあるんですけど、ちょっと音がくすんでいるんですよ。当時を知ってる世代としてはそのほうがラウドに聞こえるので、「Guilty Man」はそういう匂いを意識して録りました。アナログテープを使ったから当時の感じも出てるんじゃないかな。
逹瑯 サウンドもメロディも強い曲だから、どういう歌詞を乗せようか悩みましたね。いつも頭から書いていくんだけど、サビのところで「ここにハマる言葉ってなんだ?」って止まっちゃって。タイトルっぽい言葉を探すのにも時間がかかったけど、「Guilty Man」を思いついてからは完成するまで早かったです。英語の文法的に合ってるかわからないですけど(笑)、罪を犯した人、罪人みたいな感じで。ダークヒーロー的なイメージですね。
YUKKE アルバムのダークな部分を担ってくれてる曲ですね。サビのメロディと歌詞も独特だし、すごく気に入ってます。
07. B&W
作詞・作曲:ミヤ]
──「B&W」はダンサブルなビートを取り入れた楽曲です。
ミヤ これは90年代末のブリティッシュロックのイメージで書きました。いろんな要素が混ざってるんですけど、一番大きいところではモリッシーかなと。
──モリッシーはネオアコシーンを象徴するバンド・The Smithsのボーカリストで、イギリスのポップミュージックに多大な影響を与えたシンガーソングライターです。ミヤさん、モリッシーもルーツなんですか?
ミヤ あまり言ってないんですけど、めちゃくちゃ好きですね。俺のギターのルーツが、ラウドな音楽以外ではcali≠gariの青さん(桜井青)で。師匠の青さんのルーツがそっちなんですよ。
逹瑯 「B&W」のノリはすごく好きですね。ただ、この曲も歌のアプローチが大変で(笑)。Aメロの歌い方もそうだし、ファルセットの種類や声の出し方もあまり得意じゃないことをやらなくちゃいけなくて。喉のコンディションを最高の状態に持っていかないと成立しない感じだったので、「いつ録るか?」というスケジューリングも大変でした。
YUKKE ベースはオクターブ奏法を使ったりして、踊らせるビート感を出すことをかなりがんばりました。この曲はかなり早い段階で作詞と歌録りが終わったんですけど、曲を聴きながら「自分も作詞をがんばろう」とモチベが上がったことを覚えてます。
08. October(2025 Remaster)
[作詞・作曲:逹瑯]
──そして逹瑯さんの作詞作曲による「October」でアルバムの雰囲気は一変します。
逹瑯 リズムが跳ねてて、エモいメロディのミドルテンポの曲はMUCCでそんなにやってないよなと思って。俺はバーンと広がりがある曲だったり、じっくり腰を据えて歌う感じの曲を作りがちなんだけど、この曲は「バラードに近いけど、リズムはシャッフル」にしてみたかったんです。歌詞に関しては、この曲を作りかけていた頃に、親戚に亡くなった方がいて。お葬式に参列したときに、旦那さんを亡くした奥さんの雰囲気や話されていることから、「かわいい夫婦だったんだな」と思ったんです。そういうふうに年を重ねられる夫婦ってどんな感じなんだろう?と勝手に物語を想像してたんですけど、それがこの曲の雰囲気に合うような気がして歌詞にさせてもらいました。
ミヤ すごく好きな曲ですね。ツアーでやっているときも感じたんですけど、MUCCが持っている音楽性が凝縮されているなと。やっぱりMUCCの根本にあるのはフォークなんですよね。俺らは現実に起きたこと、身の回りの出来事を表現していくのが好きだし、その姿勢はパンクと一緒なんです。自分の人生と向き合って、それをどう音楽で表現するかという姿勢。
YUKKE 「October」はバラード寄りの曲ですけど、演奏のアプローチとしては激しさが必要だと思っていて。逹瑯と同じ経験をしているわけではないんですが、そういったアプローチがこの曲のよさを伝える一番のやり方なのかなと。
ミヤ この曲、アルバムが出たあとは、ライブのアレンジを変えようと思ってるんですよ。今は後奏に激しいパートがあるんだけど、それをどこかに移動させます。メンバーにも言ってなかったけど(笑)。
09. LIP STICK
[作詞:YUKKE / 作曲:逹瑯、ミヤ]
──「LIP STICK」は80'sテイストを取り入れた楽曲で、アルバムの中ではかなり異色ですよね。
逹瑯 今回のアルバムのために書いた曲ではなくて、もっと前にデモがあったんですよ。確かに90年代の感じではないんだけど、アルバムの制作に入ったときにメンバー間で「あの曲も入れたらいいんじゃない?」という話になって。いろいろとアレンジを加えたので、元の形からはだいぶ変わったんですけどね。
ミヤ 曲の始まりは確かに80'sなんですけど、最後は90年代になって終わるイメージですね。80年代から90年代に向かっていく感じを音で表現したくて、ポイントはドラムのサウンドです。C-C-Bに始まって、BOØWYを経由して、最後は青春パンクが流行った頃の音になるという。
──フュージョンっぽいシンセソロも印象的でした。
ミヤ あれは完全に“ネタ”です。ライブではトオルさん(サポートキーボードの吉田トオル)が前に出てきます。もちろんショルキーで。
YUKKE そこは絶対に前に出たほうがいい(笑)。作詞も楽しかったですね。80年代から90年代に移っていく感じのイメージがすごく湧きやすくて。
──トレンディドラマみたいなフレーズもありますね。
YUKKE そのあたりはけっこう遊びました。「誰も気付かなくてもいいか」と思いながら入れた仕掛けもあって。
ミヤ リハスタがお台場のレインボーブリッジの近くで、「『LIP STICK』を聴きながら車で走ったら気持ちよさそうだな」と思って実際に流しながら走ったら、ヤバかったです(笑)。
YUKKE シチュエーションによって聴こえ方が変わると思います。そういう作品になってるのも今回のアルバムの面白さじゃないですかね。
ミヤ この前YUKKEも言ってたんですけど、ドライブに合う曲が多いアルバムなんですよ。
10. Round & Round
[作詞・作曲:ミヤ]
──「Round & Round」は緊張感にあふれたサウンドが素晴らしいなと。
ミヤ これは完全にZI:KILLオマージュですね。俺は90年代初めの尖ったヴィジュアル系、おっかないヴィジュアル系、しかもブリティッシュ寄りのアプローチをしているバンドが好きで。ZI:KILL、Eins:Vier、D'ERLANGERとか。俺らも思春期の頃にライブを観に行ってたし、当時の時代感を共有してたんですよね。ただ、これまでその影響を曲に落とし込んだことがなかった。でも、この曲を書いていて面白かったし、90年代のヴィジュアル系縛りというコンセプトでアルバムを作りたいくらいです。
──ぜひ聴いてみたいです。
逹瑯 最初は「この曲、冒険しすぎじゃねえかな」って思ったんですよ。これまでのMUCCの楽曲と明らかに毛色が違うというのかな。俺も好きな感じの曲だし、やろうとしていることもわかるんだけど、ZI:KILLをトレースしすぎかなと。でも、アルバムの中に入ったら思った以上にしっくりきたし、ライブでやったらめっちゃカッコいいんですよ、この曲。音源を聴いてアガる人は、ライブだとさらにアガると思います。
YUKKE ライブでやるときも、どうしても先輩方と同じ足の位置とか弾き方になってくるんですよ(笑)。レコーディングのときも当時の楽器や弦を使ったりして、いろいろ試せたのもよかったです。あとは歌ですね。自分がMUCCに入る前、逹瑯が歌ってるデモテープを聴いたときから、「このバンドだったら90年代前半のヴィジュアル系のアプローチもできるだろうな」と思っていたので。
ミヤ yukihiroさん(L'Arc-en-Ciel、ex. ZI:KILL)にもこの曲を聴いてもらったんですよ。目の前でフル尺で聴かれたあとに、「演奏がちょっとうますぎる」って言われました(笑)。
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