ナタリー×WOWOW ミュージックスタイルJAPAN PowerPush - 矢野顕子
新潟コンサートオンエア WOWOW連動インタビュー
「PRAYER」はいつでも歌いたい曲
──話は変わりますが「PRAYER」という曲を、今度「すーちゃん まいちゃん さわ子さん」という映画のために再録音されると伺いました。映画の制作の方から「この曲で」というオファーがあったんですか?
はい。映画の中でそれをフィーチャーしてくださる場面があって。まだ録ってはいないんですけどね。うれしいことだと思っています。
──矢野さんにとっても「PRAYER」はやはり大事な曲ですか?
あの曲はいつでも歌いたい曲ですね。パット・メセニーというジャズギタリストが私のために書いてくれたんですけど、本当にいい曲で。詞も、やはり彼のために書いているところもありますね。あの曲を歌うと、そのときの空気をちょっと思い出します。
お客さんに伝わっていることが大切
──そして8月にはライブベストアルバム「荒野の呼び声 -東京録音-」がリリースされますね。このアルバムを作ろうと思ったきっかけは?
オリジナルアルバムを作る状況がなかなかやってこないので(笑)。それとピアノだけでやるのもいいんですけど、バンドで生み出した良いものを多くの人に聴いてもらいたいなっていつも思っていたので。
──アルバムには素晴らしいメンバーとの演奏が収められていますね。
カッコいいですよ。自分で曲を選んでいて興奮しました。聴き終わって「カッコいい!」って拍手したりして(笑)。
──矢野さんが考える“いい演奏”というのはどういうものなんですか?
まず私の良い点がちゃんと出ていること。そしてそれが確実にお客さんに理解されていることですね。
──お客さんの理解が必要なんですね。
でも私が非常にいい演奏をしているときは、ほぼ間違いなくお客さんに伝わっているので。それを拍手の大きさで確認したりしています。
──今回WOWOWでオンエアされるビュー福島潟でのコンサートでも、矢野さん自身、お客さんに伝わっている実感を持てましたか?
はい。印象的な場面としては、一番前の席にお母さんと9歳ぐらいの娘さんがいたんです。それで何かの曲のときにお母さんと娘さんが目を合わせていたんですね。きっと自分たちが聴きたかった曲が聴けたからだと思うんですけど、それを見たときはうれしかったですね。そういう1人ひとりの様子が見えて、それがあのコンサートの一番良かったところだと思います。
──そんな風景があったんですね。
そうですね。それを作るためにコンサートをしているんだと思います。
収録曲
- People Got to Be Free <Blue Note TOKYO 2010>
- てぃんさぐぬ花 <Blue Note TOKYO 2010>
- The Letter <Blue Note TOKYO 2009>
- Reach Out <Blue Note TOKYO 2009>
- You Really Got Me <Blue Note TOKYO 2010>
- すばらしい日々 <Blue Note TOKYO 2009>
- こんなところにいてはいけない<新録>
- 学べよ <さとがえるコンサート2009(東京NHKホール)>
- ウナ・セラ・ディ東京 <さとがえるコンサート2009(東京NHKホール)>
- 気球にのって <さとがえるコンサート2009(東京NHKホール) >
- 椰子の実 <リサイタル2010(鎌倉芸術館)>
出演:柴咲コウ / 真木よう子 / 寺島しのぶ / 染谷将太 / 井浦新
劇中歌「PRAYER」矢野顕子
2013年春 全国ロードショー
©2012 映画『すーちゃん まいちゃん さわ子さん』製作委員会
矢野顕子(やのあきこ)
1955年東京生まれのシンガーソングライター&ピアニスト。幼少からピアノを弾き始め高校時代からジャズクラブで演奏。1972年頃からセッション奏者として活躍し、1976年にアルバム「JAPANESE GIRL」でソロデビュー。1979年から1980年にかけては初期YMOのライブメンバーも務めた。近年はrei harakamiとのユニット・yanokamiで新たな一面を見せるなど、そのチャーミングで独創的なスタイルは、後に続く世代のアーティストたちにも絶大な影響力を誇っている。