ナタリー PowerPush - MO'SOME TONEBENDER

やりたい放題!自由からもはみ出た爆発炎上アルバム完成

どんな曲順でもOK

──じゃあ話を戻すと、アルバム完成の最終的なフィニッシュは勇くんにまかせる形で。

うん、そうだね。曲順とかも勇の意見がすごく大きかったと思う。オレはもう「どういう並びでもOK」って最初から言ってたから。

──それは投げやりな意味ではなくて。

そういう意味じゃない。そういうアルバムだと思ってたからね。そんなこと言いながら「曲順だけは譲れない」とか言えないじゃん(笑)。

──じゃあ今までのアルバムとは違う手応えがあった。

百々和宏

今回は延べの制作期間がすごく長かったんですよ。結構古い曲も入ってる。だから達成感というより「あれ? できてた」みたいな。「もう曲が揃ってるわ」って。前作(「STRUGGLE」2010年リリース)から1年でこれを作れって言われたら無理だったと思う。すごく試行錯誤しながら作りましたからね。ライブでやって、レコーディングした曲ももう1回構成を変えたり、1回付けた歌詞を破棄してインストにしたり、アレンジを変えたり。ライブで披露してから新たにジャッジして直してみたりって作業を何度もやって。

──でも作り方としてはそっちのほうが無理がない気がしますね。今のモーサムに合ってるという。

うんうん、そうですね。「C.O.W.」なんかは、レコーディングスタジオと家での作業でガーッと集中して作らないと、ああいう作品にはならなかっただろうし。今回のは本当にライブに近い作品だと思いますね。

タイトルは「MO'SOME TONEBENDER」でもよかった

──4人モーサムになったときの「なんだこりゃ?」という驚きが、すごく出てますね。

うんうんうんうん。だからそれを出したかったんだろうね、わかりやすくね。わかりやすく出そうとしたら、かえってわかりにくいアルバムになったかも(笑)。

──はっきりしたコンセプトやテーマがないから説明はしづらいけど、聴けばすぐわかるんじゃないかな。

うんうん、そうだね。だからアルバムタイトルを「MO'SOME TONEBENDER」にしてもよかったぐらいだね。絶対にせんけど(笑)。そんなダサいタイトル。

──ははは(笑)。今回のタイトルはどういう意味があるんですか。

あのね……モーサムのステージの空気感ってそんな感じじゃないですか。

──はい。

……っていうのを、2日前に受けた取材でインタビュアーさんから言われたんですよ。で、「これからそういうことにします。その言葉ください」って(笑)。

──(笑)実際はどういう意味なんですか?

いや、なんもない(笑)。まあ、バカなタイトル付けたいなあと思って。すごい低能なタイトル。みんなですごいダサい単語出し合って(笑)。このタイトル、「名は体を表してますね」って結構言われるんだけど、それが一番びっくりしますね。意識してなかったから。全然決められなくて、ギリギリのタイミングでアイデアを出し合って。ほかのタイトルに決まりそうだったんだよね。なんだっけ。「ストレートアッパーカットキック」とか。みんなそれでOKって言って。

──そっちのほうがバカそうに聞こえるけど(笑)。

オレはそれは「絶対いやだ」って拒否して。武井なんて「絶対それだ!」ぐらいの(笑)。「お前ただ格闘技が好きなだけやろ!」って(笑)。

──「Strange Utopia Crazy Kitchen」だと、深読みができそうではある。

そうね。だからアルバムのタイトルとか、こっちが考えて考えて付けるより、これぐらい適当なほうがいいんだと思いますよ。重いやつ多いじゃないですか。何やってるのか聴かんでもわかるわ!ぐらいの。

──そうか、タイトルからだと何をやってるのかわからなくて想像力を刺激するぐらいのほうがいいと。

そうそう。「祈り」とかね(笑)。

──(笑)なるほど。そういうちょっとシャイなところも含め、これは今のモーサムを足し算も引き算もなく表したものであると。

そうですね! こんなにしっちゃかめっちゃかで統一性のない……まあ、そうは言いながらあると思ってやってるところもあるんですけど……。

──でもこれってモーサム以外にできないアルバムだと思いますよ。

そうそうそうそう。そういうことです。

──やろうとも思わないだろうし(笑)。

わははは! 誰もフォロワーがいないっていう(笑)……(小声で)孤独なバンドだなあ……。

百々和宏

MO'SOME TONEBENDER「Shining」

ニューアルバム「Strange Utopia Crazy Kitchen」 / 2012年7月18日発売 / 日本コロムビア

CD収録曲
  1. Door
  2. Shining
  3. Cat park
  4. Punks is already dead
  5. communication
  6. happy new year
  7. farewell party
  8. 24 hour fighting people
  9. bone head dandy
  10. ElectBoys
  11. Beach Side Moon
  12. Metaluca
  13. Anywhere (But Here)
初回限定盤 DVD収録内容

※2012年4月に都内某所にて行われた50名限定シークレットライブから下記楽曲の映像を収録。

  1. introduction(OUTDOOR~Young Lust)
  2. カム
  3. Metaluca
  4. NO WAY CITY
  5. L.O.V.E.
  6. Shining
  7. TIGER
  8. 凡人のロックンロール
  9. BIG-S
  10. ハレルヤ(THE DEADS)
  11. DRUM SONG
  12. ラジカルポエジスト
  13. HigH
  14. DUM DUM PARTY
Strange Utopia Crazy Kitchen Tour
  • 2012年9月16日(日)千葉県 千葉LOOK
  • 2012年9月22日(土・祝)宮城県 仙台MACANA
  • 2012年9月23日(日)新潟県 新潟CLUB RIVERST
  • 2012年9月25日(火)北海道 札幌BESSIE HALL
  • 2012年9月29日(土)広島県 広島CLUB QUATTRO
  • 2012年10月1日(月)香川県 高松DIME
  • 2012年10月3日(水)鹿児島県 鹿児島SR HALL
  • 2012年10月4日(木)福岡県 DRUM Be-1
  • 2012年10月6日(土)岡山県 岡山PEPPERLAND
  • 2012年10月7日(日)大阪府 梅田CLUB QUATTRO
  • 2012年10月8日(月・祝)愛知県 名古屋CLUB QUATTRO
  • 2012年10月13日(土)東京都 LIQUIDROOM ebisu
MO'SOME TONEBENDER(もーさむとーんべんだー)

1997年に福岡で結成されたロックバンド。メンバーは百々和宏(Vo, G)、武井靖典(B)、藤田勇(G, Dr)の3名。年間100本に達するほどのライブ活動を行い、2001年にはアルバム「HELLO」でメジャーデビュー。迫力あるロックサウンドで高い評価を獲得している。ダイナミズムあふれるライブパフォーマンスには定評があり、各地のフェスにも精力的に出演。2007年4月には初の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも成功させた。その後2年間にわたって試行錯誤を重ね、2010年からはドラマーだった藤田がギタリストにパートチェンジ。現在はサポートドラマーを加えた4人編成でライブやレコーディングを行っている。