MONKEY MAJIK Maynard&TAX|作り込まれた自然体から本当の自然体へ

MONKEY MAJIKが1月20日にベストアルバム「20th Anniversary BEST 花鳥風月」をリリースした。

本作は2000~2005年のインディーズ期の楽曲を収録した「花」、2006~2010年のメジャー進出初期の楽曲を収録した「鳥」、東日本大震災が起こった2011年から2015年までの楽曲を収録した「風」、新曲を含む2020年までの楽曲を収録した「月」の4枚組。240以上の既発曲の中からファン投票によって選ばれた人気の高い楽曲群に加え、書き下ろしの新曲「gift」や、瑛人とのコラボ曲「Believe」も収められている。

音楽ナタリーではMONKEY MAJIKの20年にわたる活動の集大成とも言えるこの作品について、Maynard(Vo, G)とTAX(Dr)にインタビュー。収録曲にまつわる思い出や、新曲の制作秘話などを語ってもらった。

取材・文 / 松永尚久 撮影 / 小原泰広

出会いとチャレンジの20年

──MONKEY MAJIKが結成されて20年が経過しました。感慨みたいなものはありますか?

Maynard(Vo, G) そうですね。結成して、生活における音楽の割合が徐々に増え始め、やがてそれがすべてを占めるようになって、今はそれを核にいろんなことに挑戦して、自分やバンドの裾野を広げているような段階になっているのかなって。20年前とは違う自分に成長していることは確かなんだけど、でもその根にある部分は当時と変わっていないような気もします。

TAX(Dr) 長く活動を続けられているのは、これまでにたくさんのいい出会いを繰り返してきたからだと思う。僕らの場合、出会いはあるけど別れはないんですよね。確かに1つのプロジェクトは一定の期間が終われば実質的になくなることはあるけれど、そこで生まれた作品はずっと生き続けることができるから。常に素晴らしい出会いによってもたらされた作品に囲まれた、充実の20年だったように思います。

左からTAX(Dr)、Maynard(Vo, G)。

──結成当初から20年も活動を続けることを視野に入れていました?

Maynard 当初から長く活動を続けられたらとは思っていたけど、別に何年続けるとか考えていなかったし、今もそこは同じ気持ち。でも20年活動を続けていると、この先50年とかもなんとなく見えてくるというか。逆に止めることのほうが大変で、続ける以上のエネルギーが必要になるんですよ。応援し続けてくれるファンの皆さんの存在があるから。その声が続く限り、活動は続けていくだろうし、またこのバンドのメンバーでいることが自分のアイデンティティにもなっています。

──活動をずっと続けていけそうだと確信した出来事はありましたか?

TAX(Dr)

TAX ちょうどメジャーに進出したあとくらいですかね。自分たちの作る音楽に対して信じられる気持ちが芽生えてきたし、またm-floさんや吉田兄弟さんをはじめ、さまざまな方とのコラボレーションによって、自分たちの想像以上の音楽が生まれることを知ることができた。すると次はこんなチャレンジをしたいという欲求が増えてきたり、もっと自分たちはいろんなことができるはずという気持ちが生まれてきた。そういうことを繰り返してきたことによってチャレンジする原動力が生まれ続けて、ここまでやって来れたのかなって。

──常に新しいことに挑戦し続ける行動力、そしてどんな音楽や考えも取り入れる柔軟性が、ここまで続いてきた要因なのかもしれないですね。

TAX 僕らは、結成前にそれぞれが社会人としていろんな経験をしていたことも大きかったのかなって思う。それがあったからこそ、日常のこういうシチュエーションで聴きたくなる楽曲は何かと想像しやすかったし。

Maynard 僕らは自分たちの置かれた環境を客観的に見ることができる目をずっと持っている気がします。ときどきそれを見失ってしまうこともありますが(笑)、基本MONKEY MAJIKが世間でどのように捉えられているのかを冷静に考える視点がある。それを忘れない限り、活動は続けられるのかなと思います。

カメレオンのようなイメージ

──では、楽曲を作るときには常に“MONKEY MAJIK像”が頭の中にあるということ?

Maynard(Vo, G)

Maynard あるにはあるんだけど、それは「固定されたイメージを持たない」ということ。固定概念に何も縛られずに楽曲を制作してきて、その自然体が好きという声をたくさんいただくので、自然なスタイルをやり遂げることが僕ららしいイメージにつながるのかなって。

TAX 僕らの場合、活動当初からジャンルレスな音を作るバンドというイメージを多くの人に持ってもらえたことが大きかったんだと思う。そのことで肩にかかる荷物が少なかったというか。きっとオーガニックなアコースティック曲ばかりやっていたら、今頃全員ヒッピーみたいな格好をしているだろうし(笑)。でもそういう楽曲を発表したあとに、エレクトロニックなものを取り入れたり、楽曲ごとにキャラクター分けをすることができた。カメレオンのようなイメージを持ってもらえたというか。

──また楽曲が放つ自由な雰囲気はメンバー間の風通しのいい環境からも生まれていると思うのですが、この20年で関係に変化はありました?

Maynard より密接につながる部分もできたのと同時に、以前よりも距離を取る場面も増えてきたというか。お互いやるべき役割がはっきりしてきたので、1人ひとりの考えを尊重できるようになってきた。だから昔も少なかったけど、今は意見がぶつかり合う機会がほぼないと思う。

TAX 基本的にMaynardとBlaise(Vo, G)が楽曲のアイデアを持ってきて、そこに何か加えたいアイデアを僕とDICK(B)が提案するという作り方がメインになっていて、最近は初めの段階からしっかりしたイメージを提示してくれているので、僕らが何かを言うようなことが少なくなった気がします。この楽曲はどういう方向に進んでいくのか、メンバーそれぞれが経験を積んで見えてきたのかなと思います。