MONKEY MAJIK|“view”シリーズ最終章、20年間追求した鳴らしたい音

今年で結成20周年を迎えたMONKEY MAJIKが、ニューアルバム「northview」をリリースした。

2005年発表のインディーズアルバム「eastview」を皮切りに、2011年に「westview」、2016年に「southview」とタイトルに“view”を冠した作品をリリースしてきたMONKEY MAJIK。最新作「northview」は“view”シリーズの最終章として制作されたアルバムで、Maynard(Vo, G)とBlaise(Vo, G)の母国であるカナダでレコーディングされた全10曲が収められている。

音楽ナタリーでは収録曲の魅力やカナダでの制作エピソードを軸に、彼らが歩んできた20年間について話を聞いた。

取材・文 / 松永尚久 撮影 / トヤマタクロウ

あっという間の20年

──結成20周年おめでとうございます。20年を振り返ってみて、ここまでは早かったですか? それとも長く感じました?

Maynard(Vo, G) メジャーデビュー前の5年くらいは、日本での暮らしに慣れないといけないこともあって長く感じましたね。でもデビュー以降はあっという間。毎日が充実していて、目まぐるしいスピードで過ぎていった印象です。

TAX(Dr)

TAX(Dr) メジャー進出以降は「これが終わったら、次はこれ」という感じで、さまざまなプロジェクトに携わることが日常になっているので、本当にあっという間ですね。

Blaise(Vo, G) 音楽もそうだし、自分の人生においても大きく変化した20年でした。結成当初と比べると、風景や匂いが全然違うものになっていると思う。そう考えるとあっという間のような気もするけど、楽曲が完成するまでのプロセスはいつだって果てしなく長く感じます。

──ここまでメンバーチェンジ、活動休止をすることなく続けてこられた秘訣はなんでしょう?

DICK(B) なんだろう。でも秘訣があるんだったら、僕が知りたいくらいです(笑)。

TAX 知っていたとしても、お話しするつもりはないですよ。真似されると困るから(笑)。

DICK でも、そういうことを考える暇がないくらい、あっという間に過ぎた20年だったと言えるのかも。

リミットを作らない

──この20年で音楽的な変化はありましたか?

Maynard(Vo, G)

Maynard 先日、海外の著名なプロデューサーの講演の動画を観たんですけど、「作る音は、それを鳴らす会場のスケールによって変化していく」と言っていたんです。例えばThe Beatlesは、初めは小さなライブハウスで演奏する音を制作していたけど、徐々にスタジアム規模で響かせられるような大きなサウンドに変化させていったとか。とても興味深い話ではあったけど、僕らにはあんまり当てはまらないのかなと思いました。ずっと自分たちが“鳴らしたい音”を追求しているというか、もちろんライブで演奏できる音というのは意識しているし、またキャリアを重ねることで使う機材の数や、関わっていただけるサポートの方々が増えるなど広がりはできているけど、“場所”を想定してはいないなって。

──なるほど。

Maynard リミットをしていないんです。サウンド面で言えば、最新の洋楽を聴いて自分たちに足りないと思う部分があればすぐに取り入れますし。その姿勢は日本の音楽に対しても同じですね。ナチュラルにいいと思ったものを取り入れている感じ。なのでがんばって新しいものを表現しようとは思ってないですね。

──ボーダーレスってことですかね?

Maynard そう。僕らには壁がないんですよね。だからこそ20年間ずっと進化しながら、活動を続けてこれたんだと思う。

故郷・カナダでの制作

──そしてアニバーサリーイヤーの幕開けを飾るオリジナルアルバム「northview」が完成しました。2005年発表の「eastview」からスタートした“view”シリーズの最終章ということですが、今回はMaynardさんとBlaiseさんの故郷であるカナダで制作されたんですよね?

Blaise(Vo, G)

Blaise はい。北国の風景に囲まれた環境で制作できたらと考えていて、結果的に僕らの地元であるカナダにたどり着きました。カルガリー郊外にあるロッキー山脈の麓にいいスタジオがあって、そこで3週間くらいかけて制作しました。リラックスする時間も取れると思っていたのですが、時差ボケがひどくて大変でしたね(笑)。でも、とても充実したレコーディングになりました。

──カナダでの制作はゼロからスタートしたのですか?

Maynard 向こうでゼロから作ったのは2曲くらいかな。そのほかの曲は日本でも制作を進めていて、カナダのスタジオでは主にミックス作業をしていました。

TAX メンバー全員で生活を共にしながら、それぞれの役割を決めて制作に臨んだので、とても効率的に進めることができました。向こうで楽曲が生まれたのもよかったです。

──結成20年、そしてカナダでの制作ということで、これまでの作品とは異なる思いで向き合った部分はありますか?

DICK(B)

DICK 僕たちは常に新しいものを作り出そうとしているけど、制作に対してプレッシャーを感じたことはないんです。それは20年間続けてこれた要因かもしれません。なのでこれまでと特に変わりはなかったですね。

TAX 結果的にこれまで僕らを支えてくれた人たちへの感謝の気持ちを残せた楽曲もあるし、逆に自分たちの思い通りにいかず悩む部分も出せた。いろんな感情が凝縮したアルバムになったと思います。この節目の年にリリースする作品として、ふさわしい1枚になりました。

──今回、楽曲制作で意識したことを教えてください。

Maynard せっかく故郷で制作できるのだから、小学生の頃に好きだった音楽の要素を取り入れようと。自分自身のルーツを頭の中で思い浮かべていました。ほかの楽曲と方向性が重ならないように意識しながら、その作業を続けていたら自然とMONKEY MAJIKらしいサウンドに進化していくんじゃないかと思って。

Blaise MONKEY MAJIKはいろんな人のサポートがあったからこそ、20年も続けてこれたと思っていて。僕はそういうことを考えながら制作した楽曲ばかりですね。