MONKEY MAJIK|旅の果てに得た神秘の音楽

昨年はバンド初となる47都道府県ツアーを大成功させたMONKEY MAJIK。以前にも増して充実した活動を行っている彼らが、3月21日に2年ぶりとなるオリジナルアルバム「enigma」をリリースした。今作は彼らがツアーを通じて感じた日本の多様な景色、またそれぞれの人生経験を通じて感じた「神秘性(エニグマ)」を音にしたという内容で、そこからはバンドの新たな可能性を見て取ることができる。

リリースに際して音楽ナタリーではメンバー全員にインタビューを行い、彼らが作品の完成に至るまでの話を聞いた。

取材・文 / 松永尚久 撮影 / 新元気

“ジャーニー”な2年間

──前作「southview」のリリースから2年近い時間が過ぎていますが、この間バンドはどんな活動を?

Maynard(Vo, G) なるべくいろんなことにチャレンジしたいなと思って、それを実行していました。

──まず大きなトピックとして昨年バンドのキャリア初となる47都道府県ツアーを大成功させましたね。

MONKEY MAJIK

TAX(Dr) 全国各地を回ることはバンドをやっていなかったとしても、自分の夢の1つであったので、まさかこういう形で実現できるなんて夢のような出来事でした。どこに行っても食べ物がおいしいし、人々の温かさに触れられ、土地ごとの魅力を知ることができた。それと同時に、自分たちが暮らしている宮城県という場所が、いかに心地いいかということも痛感しました。大切な仲間や家族に囲まれて過ごせていることの尊さを、改めて感じさせていただいた経験でしたね。つまり、旅をしたことで「当たり前」の素晴らしさに気付き、より地に足を着けた活動をしなくてはという気持ちの中で今回のアルバムを制作した部分があります。

DICK(B) またライブをたくさんやっていたのと同時進行で、配信曲も多く制作していました。だから、できあがったものをすぐにステージで披露して、お客さんのリアクションを感じて、そこからまた新しい楽曲が生まれる部分もあったし。

Blaise(Vo, G) ツアーという枠では言い表せないくらい、“ジャーニー”な2年間だったような気がします。その時間を使って僕らはいろんなことを考えて、今いる環境の素晴らしさを再確認しインスピレーションを受けて、今回の「enigma」が完成したというのは間違いないですね。

──タイトルの「enigma」とは、神秘やミステリアスを表す言葉ですよね。

Maynard タイトルは制作の最後の段階で浮かびました。今回の収録曲は、クラシカルでありながらもモダンな要素を持っている。また楽しさもあるけどディープな部分もある。和洋折衷な部分もあるし、普遍的なことからパーソナルな内容もある。いろんな要素が、神秘的な雰囲気で絡み合っているサウンドになっていると思って、パッと浮かんだのが「enigma」という言葉だったんです。

「enigma」という言葉で、すべてがつながっている

──ちなみに制作期間はどれくらいですか?

Blaise(Vo, G)

Blaise いつからいつまでというよりも、実質的にはアニメのオープニング曲に使用された2016年12月発売のシングル「A.I. am Human」を制作している頃から始まっているような気がします。

──当初からアルバム全体の青写真はあった?

Blaise まったくないですね。そのあとに、ドラマの主題歌に使用された「のぞみ」などタイアップのお話を多くいただき、自分たちだけでは決して見出せなかった情報や経験なども加わっていって、ようやく全体像が見えたという感じですね。

DICK 前作でけっこう新しいことに挑戦していたから「今回はスタンダードに戻るのでは?」と実は思っていたのですが、前作をさらに上回るチャレンジができた気がします。

──すると、楽曲制作のモチベーションや方法にも変化が?

Maynard あったと思う。とにかく今回は“日本っぽさ”を感じるものさえあれば、あとはルール一切なしでそれぞれが自由に描いたアイデアを音にするという感じだったし。

TAX それぞれの楽曲を聴くとバラエティ豊かな構成になっているんですけど、全体を通して聴くと不思議な一体感のある仕上がりになっているなって。つまり「enigma」という言葉で、すべてがつながっているような気がするんです。自分の意識していない部分で、何かに対して助けを求めていたり、希望を見出そうとしていると言うか。そういう感覚が、自然にこのアルバム1枚を通して表現されているような気がしました。

──なるほど。

TAX またさっきも言ったように、今回はありがたいことにアニメやドラマなど、自分たちでは表現できない世界とのコラボによって新しい音が生まれていて。そのことで新しいチャレンジが次々とできている。人間って、常に成長したり生まれ変わりたい願望を本質的に持っていると思うんですよ。それをきちんと叶えられているのは幸せなことなんだなって思います。

MONKEY MAJIK「enigma」
2018年3月21日発売 / エイベックス・エンタテインメント
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CD収録曲
  1. Tokyo lights
  2. 40 days
  3. A.I. am Human
  4. Seiko
  5. Is this love?
  6. Venom
  7. Fall Apart
  8. Ordinary Man
  9. Fight This Storm
  10. ray of light
  11. のぞみ
Blu-ray/DVD 収録内容

「MONKEY MAJIK "原点回帰" LIVE FILM」
昨年実施された47都道府県ライブハウスツアー千秋楽・沖縄公演のLIVE模様とインタビューやオフショットを交えたドキュメンタリー映像。

  • 虹色の魚
  • Fall Back
  • rise
  • Save the last dance
  • turn
  • Wonderland
  • wait
  • Frozen
  • ray of light
  • A.I. am Human
MONKEY MAJIK(モンキーマジック)
MONKEY MAJIK
カナダ人の兄弟Maynard(Vo, G)、Blaise(Vo, G)と日本人のTAX(Dr)、DICK(B)からなる仙台在住のロックバンド。 2000年に結成され、2006年1月にbinyl recordsより1stシングル 「fly」 をリリース。ネイティブな英語と日本語が交互に飛び出す歌詞と、洋楽と邦楽の双方の魅力を取り入れたメロディで好評を博す。2ndシングルの 「Around The World」 はフジテレビ系ドラマ 「西遊記」 の主題歌としてヒットを記録する。2011年1月には 「東北観光親善大使」 に任命され、同年から東日本大震災復興支援プロジェクト 「SEND愛」 を主催。その後も東北復興支援に向けた活動を継続している。結成15周年のアニバーサリーイヤーとなる2015年には2月にオリジナルアルバム「Colour by Number」を発表し、東京・日本武道館公演を開催。10月にベストアルバム「MONKEY MAJIK BEST -A.RI.GA.TO-」を発売した。2016年3月には通算10枚目のオリジナルアルバム「southview」を、2018年3月にアルバム「enigma」をリリース。