ももいろクローバーZ「イドラ」インタビュー|ももクロだからこそ掲げられる“偶像”というテーマ (3/3)

高城れに コメント
高城れに

7thアルバム「イドラ」の新曲について

「Heroes」

「イドラ」というタイトルが決まったときは、神々しい雰囲気の楽曲がいっぱい並ぶんだろうなと想像していたんですけど、届いた音源を聴いたら思ったよりもさわやかで明るくて、ポップで前向きな曲が多かったです。アルバム全体を通して「英雄(ヒーロー)の冒険」を描いている中、その始まりの曲「Heroes」は「みんなにとってのヒーローってなんだろうな」ということを考えたりしながら歌いました。何かに挑戦したり、一歩踏み出そうとしている人の背中を押せるような曲にしたいなって。まず歌詞を見たときに、モノノフさんのことが頭に浮かびました。

「MEKIMEKI」

体を動かしたくなる曲ですね。明るくてポップで、すごく好きな曲です。サビの部分がキャッチーで、口ずさみたくなります。MVは子供たちも交えながら体操するにぎやかな映像になっていて。私は4人の中で心のストレッチ、リラクゼーション担当なんですけど、サビの部分の振付はアクティブな感じで、ジャンプしたり体を伸ばしたりしてます。

「桃照桃神」

この曲も大好きで、アルバムの中で特にお気に入りの曲です。ポチョムキンさんが紡ぐ言葉が好きなんですよ。歌詞自体も好きですし、この独特なテンポ感もカッコいいなって。1回聴いたら耳から離れなくなるような、癖になるメロディラインがいいですね。今までのももクロのラップ曲と違うところは、ゴリゴリのラップになっているところで。前作の「満漢全席」はわりと楽しい雰囲気でしたけど、今回はカッコよくキメています。

高城れに

「追憶のファンファーレ」

アルバムの流れとして、ここまではかなりゴリゴリなテンション感が続いていたんですけど、この曲で1回自分の弱さと向き合うというか。でも決してネガティブな暗い感じではなく、人なら誰だって弱さを持っているし、みんなが思い描くヒーローやアイドルにもそういう一面があるということを表しています。聴く人に寄り添ってくれる雰囲気がありつつ、どこか懐かしくて、故郷を思い出すような楽曲になっていると思いました。人の愛情に触れることで、またがんばっていこうと思える。15年活動してきた私たち自身に当てはまる曲でもありますね。これまでたくさんの挑戦をしたし、その中にはやっぱり挫折もありましたが、15周年を迎えていろんな方々に「おめでとう」と言っていただけて。感謝の気持ちや愛に触れたことが活動を続ける原動力になっています。

「Friends Friends Friends」

友情を歌った温かい曲ではあるんですけど、歌やサウンド自体はすごく勢いがあって。アルバムのラストの畳みかけにふさわしい曲だと思います。今までいいことも悪いこともともにしてきたメンバー、スタッフさん、そしてモノノフさんは私にとって宝物ですし、ヒーローでも同志でもあるんですよ。今も一緒にいれることが何よりも幸せだという思いが、曲全体に表れてますね。清竜人さんに書いていただく曲はどれもももクロらしいハッピーな空気がありつつ、大きな愛であふれている印象です。

「idola」

ショートドラマを1本観たような感覚になるくらいの壮大な世界観と展開の曲で。アルバムを完結させるようなパワーにすごく引き込まれるし、この世界観の中に私たちなりの覚悟や、未来に対する思いを提示した楽曲になっていると思います。曲を聴き終えて夢や“偶像”をイメージする人もいるかもしれないし、人によって解釈が変わってくるんじゃないかな。あと、今回の新曲はどれも歌うのが難しかったんですけど、「idola」は特に大変で(笑)。4人の中で私が最後にレコーディングしたんですけど、メンバーみんな口をそろえて「れにちゃん、これ絶対できないよ。めっちゃムズいから」と言ってきました。「レコーディングはまぐれで歌えたとしても、ライブでは絶対できないよ」って(笑)。前作「祝典」でも「MYSTERION」に苦戦しましたし、15年以上やっていても毎回新曲に苦労しますね。でも「idola」は難しいからこそ、今後ライブで歌うのが楽しみです。

高城れに

結成16周年を迎える心境

自分の年齢に自分でびっくりするくらい、時間の流れに実感がないですね(笑)。「あれ、ついこの間じゃなかったっけ?」と思うこと、例えば私が骨折したのがもう7年前の出来事だったり。自分の中では何も変わってないんですよ。気持ちはまだ10代のままですし、考え方もまだまだまだお子ちゃまなところがたくさんある。メンバーも同じテンションでいつも一緒にいてくれるし、変わったと感じることがなさすぎて逆にどうしようかなと思うくらいなんです。でも現場に年下の方が多くなったりして……。前はメンバーが子供で、スタッフは大人という構図が当たり前だったので、周りの環境の変化で「私たち長いことやってきたんだな」と感じますね。

国立競技場でのコンサートから10年が経ちましたが、ここ10年間の濃さはすごいですね。10代の頃の10年って環境自体はあまり変わらないけど、20歳から30歳にかけてはいろんな環境が変わっていくじゃないですか。当時の私が、10年後の自分がこんなになってると知ったらすごいびっくりすると思う(笑)。それと同時にモノノフの皆さんと一緒に濃密な時間を過ごしてきた10年だったと思うので、ここから先の10年もすごく楽しみです。

プロフィール

ももいろクローバーZ(モモイロクローバーゼット)

百田夏菜子、玉井詩織、佐々木彩夏、高城れにの4人からなるアイドルグループ。2008年にももいろクローバー名義で結成され、2010年5月にシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。2011年4月に早見あかりがグループを脱退したあと、グループ名をももいろクローバーZへ改名。2012年にグループ結成当初から目標としていた「NHK紅白歌合戦」に初出場し、2014年3月には女性グループとして初となる東京・国立競技場での単独ライブを成功させた。2016年2月に3rdアルバム「AMARANTHUS」、4thアルバム「白金の夜明け」を同時リリースし、同月より初のドームツアーを開催。2018年5月には結成10周年を記念した初の東京・東京ドーム公演を行ったほか、ベストアルバム「桃も十、番茶も出花」を発表した。結成11周年記念日である2019年5月17日に5thアルバム「MOMOIRO CLOVER Z」、その3年後の結成14周年記念日である2022年5月17日に6thアルバム「祝典」をリリース。2023年5月に東京・国立代々木競技場第一体育館で結成15周年ライブを開催し、7月から15周年記念ツアーを行った。2024年5月に7thアルバム「イドラ」をリリース。

2024年5月9日更新