ナタリー PowerPush - ももいろクローバーZ
進化の先にある“5次元”の世界
ももいろクローバーZ JAPAN TOUR 2013「5TH DIMENSION」 振付 石川ゆみインタビュー
ももクロの「振り付け会議」
──ゆみ先生が振り付けをするときは、どういう流れで進めるんですか?
ももクロの場合ですと、最初に音と歌詞をいただいて。そのあと振り付け会議をして、みんなから出てきた案を私がまとめて、メンバーに伝えて、またやり直して……っていうやり方です。
──「振り付け会議」というのは?
川上(アキラ)マネージャーと宮本(純乃介)ディレクターと佐藤守道(A&R)さんと私、4人で集まって、曲を流しながら「今回はどうしようか」っていうところから始まるんですよ。最終的にはメンバーからのアイデアも入れていきます。
──メンバーからのアイデアはどのぐらい盛り込まれてるんですか?
今回はあんまり出てない(笑)。新曲を一気に9曲覚えなきゃいけないから、大変だったんだと思います。川上マネージャーから「ここをもっとこうしたいんだけど」みたいな意見をもらって、それをメンバーと一緒に「じゃあこうしてみる?」って感じで作っていきました。
マスクの壁
──今回のライブは、演出面では「ももクロっぽくなく」「宇宙っぽく」というようなオーダーがあったと聞いていますが、振り付け面でも「ももクロっぽくないことを」という意識はあったんですか?
まったくないですね。いつも通り1曲1曲を大事にするだけ。振り付けをするときはそのアーティストのことを考えて作るので、感じたまんま作るしかないんです。ただ今回のライブ本編では、振り付けプラス表情、曲間の流れも使って表現することをいつも以上に考えました。まあなにせ衣装もすごいし、マスクをずっと付けてたりもするんで。
──ずっとマスクを付けていることで、やりにくさはありましたか?
うーん。パフォーマンスは頭の先からつま先まで全身で表現するから、顔の表情もパフォーマンスの一部なんですけど、マスクでそこがちょっと隠れちゃうわけだから、最初はメンバーも戸惑ったと思います。いつも100%全開でやっていることができなくなっちゃうわけで。それをどうやって100%に持っていくのかは、私にとってもすごく勉強になりました。最初はびっくりしたんですよ。だって顔が見えないんですもん(笑)。このチームがさすがだなと思うのは、5人がステップアップできるように、乗り越えるべき大きな壁を毎回用意するんですよ。今回はマスクの壁。
──マスクの壁(笑)。今回はそれをどうやって乗り越えようと?
マスクをかぶったときに表現のレベルが落ちちゃうようなことには絶対したくなかったから、より表情に気をつけるようにしたりとか。見えてないんだけど、目力までグッと入れたりとかそういうことをメンバーとは話したりしました。その上で、さらにもう1ランク上に進みたい。だから作り方は変えてないけど、ちょっとした挑戦は入れてます。でもあえてメンバーには「挑戦するよ!」とは言わず、勝手に。
──それでメンバーはできちゃうんですか?
できるようにする。じゃないと意味ないから。これで「できないね」って戻したら今までと同じになっちゃうけど、せっかくこうやって違う世界を作ってみようって環境が用意された中で成長できるのであれば、やるべきだと思うから。前はよく「いやいや、無理無理」みたいなことを言ってたんですけど、たぶんみんなの意識が変わってきてるんじゃないですか? 楽曲を聴いてもわかるように。変わらないといけない、一歩進まなきゃいけないっていう気持ちを持ってるんじゃないかと思います。
メンバーの成長と変化:高城れに
──メンバーの変化や成長についてもう少し詳しく、1人ひとりについて聞かせてもらえますか? まず、高城さんはいかがでしょうか。
れにちゃんって人とちょっと違うじゃないですか(笑)。「最低限こう揃えて」っていうところは毎回言ってるんですけど、なかなか直らないんですよ。でも今回のツアーでは、これまでなかなか直らなかったところまで仕上げてきたんです。
──それは本人の意識がしっかりしてきたということでしょうか?
クセと一緒で、振りも体に入っちゃうと自然にできるようになるんですけど、そのぶん違うところを直すのも時間がかかるんですよ、習慣になっちゃうと。でも今回それを直してきたっていうのは、彼女自身がしっかり考えて意識して直したんだと思います。ノッてますよ、今。高城さん。
メンバーの成長と変化:玉井詩織
──玉井さんはどうですか?
詩織ちゃんはだいたいなんでもこなせちゃうんですよ。でもそれはいいことでも悪いことでもあって。なんとなくできちゃうから全部平均点でいいという感じになっちゃうんですよね。だから今は詩織だけにスポットが当たったときにもう1段階相手を引きこむような、そういう表現をしたいよねっていう話をしています。今回はマスクもあるし余計に難しかったとは思うんですけど、今は話し合ってる最中。次に向かっている途中かな。そこを見つけたら、あの人はまた器用にできると思うんで。なんかね、あの子はいろんなことに気付くんですよ。
──気付くから、先に感じ取ってできちゃうっていうのもあるんですかね。
そうですね。おっしゃる通り。発想も素晴らしいんですよね、彼女は。だからそれをどうやって生かすのかが詩織ちゃんの課題なんです。
- ニューアルバム「5TH DIMENSION」 / 2013年4月10日発売 / スターチャイルド
- 初回限定盤A [CD2枚組] / 3500円 / KICS-91899
- 初回限定盤B [CD+DVD] / 3500円 / KICS-91900
- 通常盤 [CD] / 2800円 / KICS-1899
CD収録曲(全仕様共通)
- Neo STARGATE
- 仮想ディストピア
- 猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
- 5 The POWER
- 労働讃歌
- ゲッダーン!
- Z女戦争
- 月と銀紙飛行船
- BIRTH O BIRTH
- 上球物語 -Carpe diem-
- 宙飛ぶ!お座敷列車
- サラバ、愛しき悲しみたちよ
- 灰とダイヤモンド
初回限定盤A DISC 2(CD)収録内容
2012年11月17日(土)東京・Zepp Tokyo「ももいろ夜ばなし第一夜『白秋』」第1部ライブ音源
初回限定盤B DVD収録内容
- Neo STARGATE(MUSIC VIDEO)
- BIRTH O BIRTH (MUSIC VIDEO)
※「BIRTH O BIRTH」の「O」は/付きが正式表記になります。
ももいろクローバーZ(ももいろくろーばーぜっと)
百田夏菜子、佐々木彩夏、玉井詩織、有安杏果、高城れにの5人からなるアイドルグループ。2008年に「ももいろクローバー」として結成。「週末ヒロイン」「いま、会えるアイドル」というキャッチフレーズのもと全国津々浦々でライブ活動を行い、2009年7月には1stシングル「ももいろパンチ」をリリース。2010年5月にはシングル「行くぜっ!怪盗少女」でメジャーデビューを果たした。 2011年4月に行われた中野サンプラザ公演を最後に、メンバーの早見あかりがグループを脱退。このライブ終了直後に「ももいろクローバーZ」へ改名し、5人編成での活動をスタートさせた。
2011年7月にはももいろクローバーZ改名後初のシングル「Z伝説 ~終わりなき革命~」「D'の純情」を発表。同年7月に発売された1stアルバム「バトル アンド ロマンス」は、全日本CDショップ店員組合が選出する「第4回CDショップ大賞」で大賞を受賞した。2013年4月10日には2ndアルバム「5TH DIMENSION」をリリース。
2013年4月9日更新