ナタリー PowerPush - モーモールルギャバン”
ライブ活動休止の理由と“これから”
ビフォーアフターしたいよ
──年齢的にもここでリセットしたほうがというのもあった?
ユコ 年齢はないよね。もともと遅咲きだったし。
ゲイリー いや、俺はめっちゃあるよ。
ユコ それは最初からじゃん。
ゲイリー 最初からじゃないよ。だって昔は力だけでライブも押し通せたのがどんどん力を抜かないと、持たなくなってきてますから。
──体力的に。
ゲイリー まあ、僕はアスリート担当なんで。
ユコ そうだったんだ(笑)。
ゲイリー 最近は力で押し通そうとすると8曲目くらいでスティックが握れなくなるんですよ。こないだの活動打ち止めツアーで京都の磔磔でライブをやったときも最後のほう握力がなくなって、スティックを落としちゃって。途中から片手でドラムを叩いてがんばってごまかしつつもごまかせてないなって。
──でも、こういうライブスタイルは活動再開後も変わらないわけでしょ?
ユコ どうでしょうね? まあ過去を完全に切り捨てることはできないですからね。でも何かしら変化はあるかな。
ゲイリー いやあ、僕はスタイリッシュに力を抜いていく予定ですよ。
──その上でいかに熱量を込められるかっていう。
ゲイリー そうです。難しいですね。怖いですね。でも、考えないといけない。
──編成も変えるつもりはないだろうし。
ゲイリー そうですね。でも、僕は歌かドラムかどっちかに絞ってもいいかなって思わなくもないんですけど。
ユコ え、新しいボーカルが入るの?
ゲイリー 違うよ、俺が立ちボーカルだよ!
ユコ あ、ドラムが入るんだ。
ゲイリー ……冗談だけど。
ユコ ドラムを入れるんだったら3人くらい入れてね(笑)。でも、メンバーが増えるのはアレだけど、みんながビックリするようなビフォーアフターしたいよ。自分が飽き性なもんで。
──音楽的にいうとどういう変化をしたいですか?
ユコ 音楽的ってなるとまだみんなで話してないからアレですけど、今まではゲイリーくんが基本的に作曲をして、それを中心にアレンジすることが多かったんですけど。今後は自分の色を出して曲を作ってみたいなって妄想してます。
ゲイリー この人はいつもそれ言ってるんですよ。
ユコ 時間的なこともあってずっと言い続けて実行しきれなかったんですよ。でも、休止後は時間もできるし、腕を振るいたいなと。
ゲイリー 今度こそ振るってくれることを期待してますよ。ガンガンに曲を作っていただきたい。そしたらアレンジするときの文句を今度は俺が言うんで。いつもすげえ文句言ってくるから!
ユコ 人の曲のアレンジって難しいですね!(笑)
今までで一番達成感があった
──このバンドってホントにすごく音楽的に独自のポップサウンドを鳴らしてるのに、そこよりも“変態”っていうキーワードがひとり歩きしてる部分もあるじゃないですか。
ゲイリー でも、僕の大好きなQueenも変態と呼ばれてるので。
──だから褒め言葉として捉えてると。
ゲイリー そうですね。ただ、ひとり歩きはしてますよね。今回のミニアルバムの3曲目(「愛のテーマ」)の歌詞に「寒い夜 冬の香り 月は君の下着の形 僕は一人」っていうフレーズがありますけど。
ユコ ヒドいよね。
ゲイリー (無視して)この歌詞をかき消すほどの音楽性を持ててるとしたらそれはうれしい話ですけどね。今回のミニアルバムは録り終えたときの達成感がすごくあったんですよ。
ユコ うん。今までで一番達成感があったかもしれない。
──どういう部分で?
ゲイリー 今までの作品は単純に「ここヤだな、でもこれは今の自分の実力不足の証だ」ってところがすごくあったんですけど。例えば「サノバ・ビッチェ」はもっとテンポが速いほうがよかったなとか。でもようやく「MAD MADONNA」とか「LoVe SHouT!」あたりからうまいことコントロールできるようになってきて。
ユコ そうだねえ。
ゲイリー 「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」っていうアルバムは今聴いてもすごくいい作品だと思うんですけど、惜しいんですよ。演奏が。すごく惜しい。
──あれはストレートにロックと向き合った作品でしたよね。
ゲイリー そうですね。らしさは全開で出したと思う。そこに関してはまったく悔いはないですけど。単純に演奏者としてできてないことがいっぱいあったなって。テンポのキープだったり。僕らクリックを使わないで、3人で一斉にバーンって録るんで。でも、あの頃に比べたらちょっとうまくなったよね。
ユコ うん、そう思う。
──だからね、ホントにこのバンドはストイックかつ誠実に音楽と向き合ってると思う。だからこそのライブ活動休止なんだと思うし。
ゲイリー まあ、もうプロになっちゃいましたからね。普通は遊びでやるところを仕事として突き詰めていい段階に身を置かせてもらってるから。そこは追求しないとダメですよ。それこそ昔はね、アルバイトしながら寝る時間を削って練習していたものが、それだけ仕事として音楽、演奏を追求できるのは幸せですよ。あと何年音楽で食えるかわからないし、音楽で食えてるうちにがんばりたいんですよ。
──ユコさんもそう思ってるだろうし。
ユコ 私は彼ほどストイックではないですけどね(笑)。
ゲイリー いや、この人と僕はストイックのベクトルが違うんですよ。僕は鈍いからインプットとアウトプットを増やさなきゃいけないタイプで。逆に彼女はすごく敏感なので。僕が10インプットしないと理解できないことを、この人は0.3くらいで理解できちゃう部分があるんですよね。それくらい神経質だし。
──タイプの違う神経質ってことですよね。
ユコ そうだよ。タイプの違う神経質。
ゲイリー 俺のことは繊細って言ってちょうだい。
──この夫婦漫才みたいなのも本質的にいい関係じゃなかったらできないと思う。
ゲイリー (笑)。客観的にはまったくわからないですけど、「仲がいいね」とは言われます。
ユコ もっと穏やかにやりたいけどね。スタジオでなんか言うのとかもヤだもん。
ゲイリー 最近、レコーディングのときはだいぶピリピリしなくなってきたけどね。
ユコ なってきたね。最近はやっとやり方がわかってきた感じがあって。
- 2ndミニアルバム「モーモールル・℃・ギャバーノ」/ 2014年6月25日発売 / Victor Entertainment
- 「モーモールル・℃・ギャバーノ」
- 初回限定盤 [CD+DVD] 4860円 / VIZL-686
- 通常盤 [CD] 1728円 / VICL-64182
CD収録曲
- ハイヒールブルース
- クソまみれの僕ら
- 最後の青春パンク
- 頭が臭いと君に言われ5日ぶりに風呂に入った
- 愛のテーマ
初回限定盤DVD収録内容
<ライブ>
- 「“ライブ活動休止前”ラストワンマンツアー!! 『乱れうち。』からの、『打止め!』」初日の磔磔公演ライブ映像。
<ビデオクリップ>
- ユキちゃんの遺伝子
- Hello!! Mr.Coke-High
- ワタシハワタシ
- Good Bye Thank You
- サノバ・ビッチェ
- LoVe SHouT!
- MAD MADONNA
- ハイヒールブルース
モーモールルギャバン
ゲイリー・ビッチェ(Dr, Vo)、ユコ・カティ(Key, Vo)、T-マルガリータ(B)からなる3ピースバンド。2005年4月に5人編成で活動を開始し、紆余曲折を経て現在の体制となる。関西地区を中心に活動を展開し、インパクトたっぷりのサウンドと破壊力抜群のライブパフォーマンスでリスナーを獲得。2009年11月に初の全国流通作品となるアルバム「野口、久津川で爆死」をリリースする。2010年1月には「第2回CDショップ大賞」関西ブロック賞を受賞。同年6月にミニアルバム「クロなら結構です」をビクターエンタテインメント内のレーベルGetting Betterからリリースする。その後、「僕は暗闇で迸る命、若さを叫ぶ」「BeVeci Calopueno」という2作のフルアルバムやシングル「LoVe SHouT!」を発表。ライブも精力的に行い着実に動員を延ばしていく。2014年5月より制作に集中するためライブ活動を無期限休止中。