ナタリー PowerPush - 宮野真守
初の武道館ワンマン目前 “未来”を描いた4thアルバム完成
声優として活躍しながら精力的に音楽活動を続けてきた宮野真守が、通算4枚目のフルアルバム「PASSAGE」を完成させた。2013年は宮野にとって、音楽活動5周年、そして30歳という大きな節目。10月にはこれまでの音楽活動の集大成となるであろう東京・日本武道館でのワンマンライブも控えている。
ナタリー3度目の登場となる今回のインタビューは、アルバム「PASSAGE」の制作過程を通して、彼の音楽に対する真摯な姿勢がうかがえる内容となった。
取材・文 / 臼杵成晃
しっかり歩いてきた先の"未来"
──前回のインタビュー(参照:宮野真守「カノン」インタビュー)は宮野さんが30歳になる直前でした。実際に30歳になって、何か心境の変化などはありましたか?
やっぱり何かが急激に変わるようなことはないですね(笑)。30歳になったら何ができるかなと考えていましたけど、今はただ目の前にあるやるべきことを1つひとつこなしていきたいと思っています。
──その後の出来事としては、つい先日ですが「Animelo Summer Live 2013 -FLAG NINE-」への出演がありました(参照:アニサマ2013最終日、“ジョジョ”メドレーに2万7000人興奮)。今年はソロ、ユニット、コラボと大活躍でしたが、いかがでしたか?
今まで参加したアニサマの中でも一番濃密でしたし、とてもいい経験にもなりました。水樹奈々さんとステージでコラボさせていただけるなんて稀な機会ですから。水樹さんはレーベルの大先輩ですし、僕をレーベルに導いてくれた方でもあるので……感無量でした!
──音楽活動5周年、30歳という節目の1年を飾る集大成として、10月に行われる初の日本武道館ワンマンというのが大きな軸になっているのではないかと思います。今回のアルバム「PASSAGE」もやはり武道館に照準を合わせた1枚なのではないかと。
はい、もちろんアルバムは武道館を見据えて制作していきました。
──タイトルの「PASSAGE」は通過点、通り道といった意味を持つ言葉ですが、なぜこの言葉を主題に選んだのでしょうか。
まず最初にアルバム全体のテーマを「未来」にしようと思ったんです。それこそ先ほどお話したような、音楽活動5周年、30歳という年月を振り返ったときに、自分はこれからどうなっていくんだろう、どうなりたいんだろうというビジョンをしっかり考えていくべきだなと。今の30歳の自分というのは突然ここにいるわけじゃなくて、30年間というこれまでの人生、たくさんの経験があって、そして、それに加えて5年間の音楽活動があったからこそ今の自分がある……。SF的な未来じゃなく、しっかり歩いてきた先の目標のような未来というものを描いてみたくて、未来というものを描いてみたくて、それを音楽として形にしてみたらどうなるだろうと考えたんです。そして確実にこのアルバムの先には武道館があるので、それをしっかり意識した作品にするには、この「PASSAGE」というテーマがぴったりだなって。
──未来というとすぐに何年も先の話を想像してしまいますが、過去から見た現在や超直近の未来も含まれていると。
そうですね。「未来」という言葉には、もちろんはるか先のことも含まれていていいと思うので、いろいろと遊べるテーマだなと思ったんです。例えば、ジャケット写真も「PASSAGE」というタイトルから、旅のイメージと、近代的な建物で撮ったSF的なイメージを感じるものがあったりします。
武道館での鳴りを意識したアルバム
──サウンド面の全体的な印象として、「これは武道館で“鳴る”アルバムだな」と感じました。あの広い空間で大音量で鳴ったとき、スピーカーやヘッドフォンで聴くよりもさらに効果的な鳴り方をするような。
あはは(笑)。ありがとうございます! それはとても意識しました。
──全体を1つのコンセプトで貫きながらも、かなりバリエーションに富んだ楽曲が用意されていて。まずは1曲目の「UNSTOPPABLE」から度肝を抜くような展開ですけど(笑)。
まさかのドラムンベースから始まるという(笑)。実は今回のアルバム制作はこの曲から始まったんです。まず最初に、STYさんに今回のアルバムへの思いとテーマをお伝えして。「STYさんの描くドラムンベースで、疾走感のある1曲目が欲しいです」とお願いしました。
──ドラムンベースをやるというのは宮野さん自身の発案なんですね。
はい。最初に「UNSTOPPABLE」ができたことで、アルバムの方向性がしっかりと見えてきました。
──オープニングを派手に飾るのにぴったりな曲だし、歌詞もアルバム全体のコンセプトをわかりやすく明示しているような。
そうですね。STYさんにアルバムのテーマや思いを全部伝えた上で作ってもらっているので、この曲はアルバム全体の世界観をSTYさんの言葉で描いていただきました。
──音楽的にはけっこう冒険してますけど、ちゃんと宮野さんの楽曲として完成したものになっているし、宮野さんが伝えたいことがしっかり歌詞になっているという。もはや阿吽の呼吸というか、息の合ったコンビですよね。
一緒に制作を重ねてきたことで、こちらからも明確にオーダーできるようになってきたし、一緒にやってきたからこそちゃんと宮野真守のドラムンベースになったんだと思います。
- ニューアルバム「PASSAGE」/ 2013年9月18日発売 / KING RECORDS
- 初回限定盤[CD+DVD] 3500円 / KICS-91964
- 通常盤[CD] 3000円 / KICS-1964
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CD収録曲
- UNSTOPPABLE
- ULTRA FLY
- Identity
- THANK YOU(reprise)
- 愛の詩~Ulyssesの宴~
- GOLDEN NIGHT -futuremix-
- カノン
- 辻の華
- スーパーノヴァ
- Calling
- passage,
- 未来
初回限定盤DVD 収録内容
- ULTRA FLY(MUSIC VIDEO)
- カノン(MUSIC VIDEO)
- Identity(MUSIC VIDEO)
- MAKING
宮野真守(みやのまもる)
1983年6月8日、埼玉県生まれの声優、俳優、歌手。7歳から劇団ひまわりに所属し、子役として活動を始める。声優としてのデビューは2001年放送のNHK海外ドラマ「私はケイトリン」グリフェン役。以降はアニメ、ゲーム、洋画吹替など幅広く活躍し、2003年にはミュージカル「『テニスの王子様』 Remarkable 1st Match 不動峰」でも高い評価を集めた。ミュージカルや出演アニメのキャラクターソングで歌手としての実力も発揮し、2008年にシングル「Discovery」でメジャーデビュー。2009年3月には1stアルバム「BREAK」を発表した。ライブ活動も積極的に行っており、2012年5月には神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホールにてワンマンライブ「MAMORU MIYANO SPECIAL LIVE 2012~FIGHTING!~」を大成功に収めた。2013年9月18日には通算4枚目となるニューアルバム「PASSAGE」をリリース。10月4日には初の日本武道館公演「MAMORU MIYANO SPECIAL LIVE 2013 ~TRAVELING!~」を行う。